表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
出来損ないと呼ばれた伯爵令嬢は出来損ないを望む  作者: かぐや
終わりの始まり
127/136

122

 薄暗い森に、閃光が走る。


「ちっ」

『ムダ』


 クーリアの魔導弾は蔦の壁に阻まれ、少女に届くことは無かった。


(離れてる蔦なら奪えるのに……!)


 行使者から離れれば離れるほど、力の制御は奪いやすい。逆に近ければ不可能に近い。


「サラさん、私たちで蔦の柵を!」

「分かった!」


 少女の気をクーリアが逸らしているうちに、サラ達が蔦の柵を壊しにかかる。


「「《ウィンドカッター》!」」


 2人の魔法が、蔦の柵に牙を剥く。


『っ! サセナい!』

「貴方の相手はわたし達よ!」


 サラ達の魔法を邪魔しようとした蔦をナターシャが切り捨てる。

 邪魔されなかったサラ達の魔法が蔦にくい込み、一部分が崩れ落ちた。だが、全てを壊すには時間がかかりそうだ。


『チッ…』

「……驚いたよ。まさか貴方がそんな慌てるなんて」

『……』

「そんなにクーちゃんを逃がしたくないの?」

『…ジャマ、されナイたメ。わたシの復讐(・・)ヲ』

「復讐……?」


 その言葉を聞き、クーリアの表情に影が差す。


「……きっかけは、かつて起きた魔の氾濫」


 クーリアが、静かに語り始める。その当時を、思い出す(・・・・)かのように


「今から137年前、起きた魔の氾濫の復讐」

「な、なんでクーがそれを…」


 その話はサラ達が先程ドリトールから聞いたばかりのものだ。そこに居なかったクーリアが知るはずも無い。


「……サラ達が聞いたのは多分、代償魔法で国を救ったってだけ(・・)話じゃない?」

「だけって…まさか、続きがあるの…?」


 クーリアが静かに頷く。


「その代償魔法、本当に望んだ(・・・)もの?」

「まさか…」

『……ソウ、あノ()は、やさシカッたかラ』

「じゃあ貴方は……」

「かつて代償魔法を使った精霊使いの、契約精霊だよ」


 サラ達が息を呑む。まさか、まだ生きていたとは思わなかったからだ。


「でも、それをなんでクーが…」

「……わたしは、あなた。あなたは、わたし。わたしにとって、貴方は命の……いや、命そのもの(・・・・)だから、かな」


 そう言って少女のことを見つめるクーリアの瞳は、悲しげに歪んでいた。


「クーの、命そのもの?」

『…クーリアをたすケタのハ、ただノ偶然』

「そんなことない!」


 クーリアが珍しく声を荒らげる。


「もし偶然なら、貴方は既にわたしを殺していたはず。貴方がわたしを生かす理由がないもの」

『たダ、りよウできルト思ったカラ。憎悪ヲあつメル為に』

「それなら、なんで木偶の坊を操作できるようにしたの」


 クーリアと繋がっていた木偶の坊は、クーリアが操作していなかった。それが途中でクーリアに操作が移っていたのだ。


(だから、わたしの魔導弾を防がなかった…)


 クーリアが操作していなかったのならば、あの時のサラの魔導弾を避けるなりして防いでいただろう。それをしなかったのは、クーリアが操作していたからに他ならなかった。


「貴方は、本当は」

『チガウッ! わたシは、ワタシは…!』


 突如蔦の柵が崩れ、全ての蔦がその鋭利な切っ先をもってクーリア達へと襲いかかった。


「《防御》!」


 クーリアが咄嗟に行使するが、数の暴力には叶わない。防御を突き破った蔦がクーリア達へと迫る。


(言う事、聞かない…!)


 近付いてきた蔦の制御を奪おうとするが、全く言う事を聞かない。

 あっという間にクーリアの眼前へと蔦が迫り……































「ワンっ!」


 





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ