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出来損ないと呼ばれた伯爵令嬢は出来損ないを望む  作者: かぐや
終わりの始まり
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 魔導銃の銃口から放たれた魔封弾は、寸分たがわずクーリアの胸を穿いた。

 その直後クーリアの瞳から光が失われ、ドサッと横に倒れる。…しかし、サラはその様子を悲しむ訳でもなく見つめていた。


「……大丈夫?」


 ナターシャが恐る恐る声をかける。だが、その後の言葉が続かない。


「…ナターシャさん」


 ナターシャが言葉に迷っていると、サラが唐突に口を開いた。


「なに?」

コレ(・・)、本物だと思います?」


 サラがクーリアを……いや、クーリアだった(・・・)ものを指差す。

 

「え? ……っ!?」


 ナターシャが思わず言葉を失う。だが、無理もないだろう。倒れた時はクーリアそのものだったが、目の前でみるみるうちに皮膚が干からび、………物言わぬ木の人形になったのだから。


「木偶の坊……」

「なんですか? それ」


 ナターシャが思わず呟いた言葉に対して、リーフィアが質問する。


「昔からある呪術のひとつよ。木の人形を人に化かして操るというものね」

「じゃあ、何処かに操っている人がいるんですか?」

「そうなるわね。でも、よくサラちゃん気付いたわね」

「……実は、ほとんど勘なんです」


 サラが気付いた理由。それは雰囲気だった。


「何となく、無機質というか……とにかく、クーじゃないって分かったんです」

「何となくで撃ったのね…」


 思わずナターシャが苦笑いを浮かべる。それも当然だろう。勘だけで、自身の親友を撃つ判断を下したのだから。

 だが、リーフィアはサラの言葉に頷いた。


「サラさんの言いたい事、分かりますよ。お姉ちゃんってなんか普通の人とは違うんですよね」

「リーフィアもなのね」

「……まぁ、それは置いておきましょう。問題はこの木偶の坊を使ってきたのは、確実に私たちの敵だと言うこと。それと……クーちゃんが、捕らわれている可能性があるということね」


 クーリアの姿を使ってきたという時点で、少なくとも敵はクーリアのことを知っていると判断していい。しかもクーリアの魔法も使ってきたのだ。クーリアが捕らわれ、利用されている可能性がある。


「それですけど……多分、クーは見つかりますよ」

「「……え?」」

「これ見てください」


 サラが指さす先は木偶の坊……ではなく、その足に絡み付いた蔦。その一端は森の中へ続いている。


「木偶の坊についてはよく知らないけど……完全な遠隔ではないということかしら?」

「少なくとも、この蔦を辿った先には何かがあると思います」

「…行って確かめるしかないわね。でもその前にサラちゃんの手当てをしちゃいましょう」


 ナターシャがサラの腕を軽く洗い、布をキツく巻く。そこまで深い傷では無かったので、その程度で十分だ。

 そして3人は蔦を辿り、森の更に奥へと足を踏み入れたのだった。



 



 

 



 

 


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