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出来損ないと呼ばれた伯爵令嬢は出来損ないを望む  作者: かぐや
学園 高等部一年 始
10/136

5

「クーリアァァァ!!」


だだっ広い運動場でいきなり叫んだのは、ナイジェルだ。さけんだ理由はただ1つ。


「また戻らなかったなぁぁ!!」


そう。2時間経ってもクーリアが戻ってこなかったのである。

別に図書館は時間制限などはない。だが、一応は授業中なのだ。そのためクーリアは、終礼までには帰って来なくてはならなかったのだ。


「ねぇねぇ。これで何回目だっけ」


サラがヴィクターに尋ねる。


「確か…5回目か?」

「違うよ。7回目だよ」


ヴィクターの間違いをイルミーナが訂正する。


「クーはほんとに懲りないわねぇ…」


そう吹くサラは呆れたような、それでいてブレないクーリアに嬉しさを感じているようでもあった。


「あいつ!今度こそ呼びだ…「呼びました?」し…」


ナイジェルがバッと振り向くと、そこには悪びれる様子が全くないクーリアが立っていた。


「お、お前いつの間に…?」


ナイジェルが驚くのも無理はない。何せクーリアが立っていたのはナイジェルの後ろ。そしてナイジェルはずっと運動場の入り口を見ていたのだから。


「さっきからいましたよ?」

「んな訳あるかぁぁ!」


運動場にナイジェルの叫びが響き渡った。そしてその叫びは同じクラスの生徒の気持ちも表していた。


「えっとー…すいませんでした。ちょっと集中し過ぎてて…」

「そういうことを聞いてるんじゃない!」


ナイジェルがそう言うと、クーリアは心底面倒くさそうな顔をした。今では友人と話すことが多くなり、ある程度感情を表に出すことが多くなっていた。

……もっとも、それでも親しい人にしか気付くことができない程の変化なのだが。


「いいじゃないですか。それより終礼しないんですか?」

「だぁー!これで授業を終わる!そしてクーリア!後で職員室に来い!」


最後にそう言って、ナイジェルは去っていった。


「うぇー…めんど」

「仕方ないわよ。クーが悪いんだから」


ズーンと気持ちが沈んでいるクーリアを、サラが慰め…てはないが、励ました。


「それより、どうやって?」


ヴィクターはそんなことより、クーリアがどうやって現れたのかが気になって仕方がなかったらしい。


「どうやってって…普通にポーンって」

「「「ポーン?」」」


3人とも全くもって理解出来なかった。

……もちろん、クーリアがわざと理解できないようにしたのだ。


(ホントの事を言えば、それこそ一大事になるのは目に見えてるもんね…)


クーリアでも、それくらいの常識は持ち合わせていたのだ。


「じゃあまたね。早く行って帰らなきゃ」

「あ、ああ…またな」


3人に別れの挨拶を告げ、クーリアは職員室へと走っていった。



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