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 素朴な窓から朝日が差し込み、ベットに眠っていた少女を夢から引き戻した。

 

「ふわぁ~…今日もいい天気」

 

 他に誰もいない、決して広いとは言えない部屋で独りごちた少女は、()伯爵令嬢だった。

 みすぼらしい部屋で朝の支度を始めた彼女を見て、そう思う人はまず居ないだろう。

 

 身の回りの支度を整え、二階にある自身の部屋から出て、下へと降りていく。

 降りるにつれ、美味しそうなパンの匂いが漂ってきた。

 

 下に降りると、2人の老人が忙しく動き回っていた。

 

「おはよう。おじいちゃん、おばあちゃん」

 

 そんな2人をみて、彼女…クーリアは朝の挨拶を交わした。

 この2人はクーリアの実の祖父母にあたる。こぢんまりとしたパン屋をたった2人で切り盛りしているのだ。

 

「おや、おはよう。今日は早いね。さぁ、おじいさんを手伝ってきておくれよ」

「分かった」

 

 祖母に言われるがまま、クーリアはパンをせっせと焼いている祖父の手伝いへと向かった。

 

「おじいちゃん。これを運べばいい?」

「ああ。よろしくのう」

 

 焼きあがったばかりでホクホクと湯気をたてているパンを、クーリアは迷うことなく陳列棚へと並べていく。

 

「そろそろ時間だねぇ」

 

 祖母が壁にかけられた時計を見ながら吹く。

 

「じゃあ開けてくるね」


 クーリアはそう言うと、店の扉の鍵を開けて、扉にかかっていた札を、開店という文字が書かれた面へとひっくり返した。

 

 店の前には、今か今かと開店を待ちわびていた人達が列をなしていた。

 そんな人たちへ、クーリアはいつものように言葉をかける。

 

「お待たせしました。ようこそ、ミーナパン工房へ」

 

 これは小さな町外れのパン屋で働く、1人の少女の物語。

 

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