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第20話

 ケイトは考えた結果ケイデルスを連れて行くことにした。不用意に転移のことを話せないように、口封じの魔法陣を利用して、ケイデルスとアローネにケイトが使う魔法関連のことを他言できないようにしておく。


 ケイデルスに準備をさせる間、ケイトはアローネにお茶のおかわりを要求する。


 ケイトは忙しなく働くアローネの後ろ姿を見て、己の行動が本当に間違ってなかったのか、植え付けられた支配者達からの先入観と戦う。

 ケイトは盗賊団を率いて、法を犯し続けている。

 そもそも法とは何なのか? 弱者が強者と渡り合うためのルールだったはず。何故ならば強者にはルールが不要だから。いや、それとも強者にも弱者を支配するためのルールが必用だった? どちらでもよい。支配階級が頂点に君臨するための法であり、勝手に作って勝手に従わせようとしているだけなのだから。

 では支配階級とは? 武力、権力、財力、何かしらを手にした者たちを指すのならば、私は魔法を極めたものであり、支配者として相応しいはずだ。

 偶然にも衛兵を殺害してしまったケイト自身を安心させる力は、『毛糸』属性の魔法の力である。しかし、この力は確実に世界厄災安全保障などの敵を生み出す。それは知識を手に入れたケイトじゃなくても誰もが理解できることだ。

 ならば誰にも手出しできない魔法以外の力を手に入れたい。それは殺害も恐れない闇の組織の力であり、奪い取った他人の財でり、社会を裏から牛耳る恐怖であった。


「お待たせしやした。ケイト様」

「では、行きましょう」


 ケイトは二人の足元にピンクの毛糸で素早く転移の魔法陣を構築する。それは完成と同時に発動して二人を殲滅させる盗賊の拠点へ移動させた。


 体から崩れ去り再構築される感覚は未だに慣れない。それは初めての者ならば死と勘違いするだろう。うげぇ…。と、恐怖と緊張からか、死と隣り合わせの世界で生きる盗賊のケイデルスでさえ、足元に嘔吐してしまうほどだ。


 ケイトはケイデルスから視線を外し、周囲を見回す。砦の廃墟だろうか? 廃墟を中心に木で壁と作り拠点としているらしい。ケイト達は既に敵の拠点内、崩れかかった砦の石壁の上に立っていたのだ。


「さて、ケイデルス。ここからは貴方が盗賊の頭で、私がそれに従う魔女です。好きなように私に指示を出して殲滅して見せてください」


 ケイデルスは何かを思い出したのか恐怖に顔を歪ませた。恐らく、私が初めてケイデルスの前に姿を現して、非常なほど残酷に部下を殺すことで恐怖を植え付けたときのことでも思い出しているのでしょうか?


「へい…」


 ケイデルスは自分の身の安全について質問などしてこない。それは私が守ってくれると信じているからか? うん、信頼関係が生まれているのですね。


「壁から飛び降りやす。俺に近づく奴らは、その…片っ端から拘束してくだせい。誰が頭かわからないので、殺すのはなしで…」

「わかりました」


 ケイデルスが勢い良く壁から飛び降りると、その音を聞きつけ盗賊たちが集まってきた。ケイデルスは「俺ぁ、桃源郷のケイデルスだ。貴様らの様な流れ者のゴミが荒らしているのは、俺らの狩場だ。死んで償え!!」と啖呵を切る。


「ぷっ…と、桃源郷!? ぎゃはははっ。だせぇ…ぐぶばぁっ!!」硬質化された毛糸で、私が考えたお気に入りの名前を侮辱した男の首を刎ねる。


 ケイデルスの表情が曇る。あっ! 殺しては駄目だった!


 面倒になったので、拠点を覆い尽くす不動の魔法陣を構築して発動した。あっ、調子に乗りすぎて魔力を使いすぎちゃったかも…。

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