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第15話

 ケイトは備え付けの椅子に座り、適当なページを開く。名称と『印』が大きく書かれ、その実証実験による効果が書かれていた。また『詠唱』を元にした『魔法陣』の構築方法、そしてどのように『魔法陣』を簡略化し『印』にしたか等、一つの魔法を多岐にわたる視点で解説されていた。


 なるほど。『印』は『詠唱』を元にして作成られた簡略された『魔法陣』だったのね。


 私は魔導書を元に戻す。確かに属性ごとに魔導書を作れば、これだけの本が必用なのだろう。ちなみに『毛糸』属性を探したけどなかった…。


 私に必用なのは、残り1/3の本なのだろう。えっと…『古代語』、『詠唱と魔力の関係』、『魔法陣の書き方』、『印と魔法陣』などなど古そうな魔導書が沢山あった。何を読めば良いんだろう?


 順番通り? そんな気がしたが、今回は『特殊な魔法陣』という魔導書を抜き取ると、ラウが心配なので自室に戻った。


 ドアを開けるとき、ラウが死んでいたら…。そんな不吉なことを考えてしまった。私がそんな弱気でどうする? 覚悟を決め部屋に入ると、ラウはスヤスヤと気持ちよさそうに眠っていた。


 『特殊な魔法陣』を手にした理由は、内容をチラリと確認したときに見た挿絵の魔法陣がどれも美しかったから。しかし、美しい反面、どれも複雑で難しい魔法陣であった。魔法陣が描ければ、内容を理解していなくても魔法が発動するのかしら?


 ペラペラとページを捲っていると、『怠け者の魔法陣』というページに釘付けになる。難しい解説を要約すると、魔法陣の上に置いた書物の内容を脳へ強制的に覚えさせるというものであった。


 うん? これが…可能なら魔法の学習が捗るわね。でも魔法陣とは何か? という初歩的なところで躓く。魔法陣を描けば良いのであれば、このページにある魔法陣が使えるのではないか? では、魔法陣とはどうのように発動させるのか? 全くわからない。


 あっ! 書庫に『魔法陣の書き方』って魔導書があったはず!


 再び書庫まで足を運び、『魔法陣の書き方』を見つけ、床に座り込み魔導書を開く。魔法陣を描くには魔力が含まれるインクが必用らしい。インク以外でも絵の具でも何でも魔力が含まれていれば問題ないらしい。という事は、『毛糸』でも大丈夫かしら? 実験する価値はあるわね!


 『魔法陣の書き方』には簡単なサンプルを『毛糸』で描くことにした。


 発光の魔法陣。この程度なら…ここ数日間、編み物で鍛えた成果を発揮するときが来たわね!!


 右手の人差し指から伸びるピンクの毛糸は、見事な円を描き…その円の内側に魔法陣特有の模様を描き始める。驚くことに、位置や形を指定する必用がなかった。私の目に映る魔導書の模様をそのままトレースするのだ。どうしてそのようなことが出来るのか理解らないが、発光の魔法陣は完成した。そこにピンクの毛糸を介して魔力を流し込むと、魔法陣は発光して部屋を照らした。


 あれれ? もしかして、『怠け者の魔法陣』も見ただけでトレース出来てしまうのかしら?


 何だか楽しくなってきた。鼻歌を歌いながら書庫を出て一階に降りると、ユカが待っていた。


「ケイト様。夜はお静かに…」

「はい…」


 ユカに怒られて、しょんぼりと自室に戻る。


 いつものように裸になり、ラウの寝る隣で静かに横になる。結局、ラウと同じベッドで夜を過ごすことになったのだ。別に嫌というわけでもない。裸も何度か見られてしまったが、特に恥ずかしくもなかった。これが姉弟ということなのかな? 


 私は、そのうち…誰かと…キスしたり…。いつかは結婚して、子供を産むのだろう。でも、ラウは…キスすらせずに、いや、したことあるかも知れないけど…。でも、子供のまま…死んでしまうのだ。やっぱり…納得できない…。

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