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<R15>15歳未満の方は移動してください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

回復魔法の間違った使い方 ~男なのに職業《聖女》ってマジですかッ!?~

作者: WING/空埼 裕

 この世界、アウラールには15歳になると女神メーテルからその人にあった職業が授けられる。

 職業は戦闘系から鍛冶系など様々である。


 この世界にもまた一人。成人した少年がいた。名をセシル。銀髪碧眼の目鼻が整ったイケメンである。


 孤児院生まれのセシルだったが、何不自由なく育ってきた。

 それは孤児院へと国からお金が入るからである。よってセイシルが住むこの国、イグレシア王国の孤児たちは成人するまでは飢えることなく生きていけるのである。


「セシル。今日が何の日かわかっているわね?」

「分かってるよ。今日で僕の職業が決まるんでしょ?」


 セシルは声をかけてきた年配のシスターさんに笑ってそう言った。

 準備をしに自室へと戻るセシル。

 数分して自室から戻ると、先程のシスターに声をかけた。


「それじゃあ行って来るよ!」

「ええ、行ってらっしゃい」


 シスターは出て行くセシルを見送った。


「どうかセシルに見合った職業を……」


 セシルの背中を見つめながらそう神へと願うのだった。



 セシルが教会に着くと、そこには一人神父がいた。年は40代といったところだろうか?


「セシル君だね?」

「はい! 今日はお願いします!」

「私より女神メーテル様にお願い、かな?」

「あっ……」

「ははっ、では始めようか」

「分かりました」


 神父は優しそうな笑みを浮かべる。セシルは神父の元まで行く。


「あの、どうやれば……?」

「私の指示通りにすれば大丈夫ですよ」

「はい」

「では祭壇手前まで歩み寄って下さい。そうしましたら、両膝を突きを両手の平を胸の前で組み、目を瞑り女神メーテル様に祈りを捧げてください」


 セシルは言われた通りに女神へと祈りを捧げる。

 今一番欲しい職業。それは――冒険者として活躍できる職業であった。


(どうか女神様、僕に戦闘系の職業を――)


 セシルの体が光り輝いた。


(あっ……)


 何か脳内に声が聞こえた気がした。

 それもやらかしたような感じの声が……気のせいだろう。うん、気のせいだ!

 光が収まると神父が声をかける。


「無事に終わりました。では職業の確認に入ります」

「は、はい」


 滅茶苦茶不安である。


「ではこの水晶に触れてください」


 言われた通りに振れると、目の前に文字が浮き上がる。


 名前:セシル

 性別:男

 レベル:1

 職業:聖女


 そう映し出されていた。


「「……え?」」


 セシルと神父の声が重なった。

 だって職業が――《聖女》だったのだから。


 二人同士に目を擦り再度見返すも……


「「……は?」」


 やっぱり職業の《聖女》は見間違えではなかった。

 恐る恐ると言った感じで神父に声をかける。


「これって一体……もしかして女神様の、ミス……?」

「そ、そんなわけが……聖女の職業は女性のみしか授けられないのでは……」


 神父にもわからないようだった。

 神父が分からないのならセシルにだってわかるはずがない。


「どうしましょう……?」

「まず聖女の職業は100年に一度しか現れない職業なのですよ。しかもそれが君のような少年に……。取り敢えずこのステータスカードを」

「ステータスカード?」


 渡された薄いカードを受け取りそう尋ねる。


「ステータスカードとは、先程現れたレベルなどを確認できるカードですよ。取り敢えずこれを持っておきなさい」

「は、はい……」

「それにしても聖女とは……」


 神父は頭を捻らせ考えているようだが、それも時間の無駄であった。

 聖女の職業が何をするものかいまいちピンと来ていないセシルは、神父に聖女に関して聞いてみる。


「あの神父様、聖女というのは何をする職業なのでしょうか?」

「聖女とは回復魔法士の最上位職業となっているのです。それはその回復の威力は絶大です。歴代の聖女様は何万人をも助けています」

「なるほど。つまり凄い回復職ということですか?」

「ええ。謎でしたがこれで終わりました」

「ありがとうございました。では」


 そう言ってセシルは教会を出て孤児院へと戻った。

 孤児院に戻ったその日、シスターのみならず、全員から驚かれることになるのだった。



 ◇ ◇ ◇



「ま、間違えた……」


 とある場所にて一人、いや一柱の女性が顔面蒼白な表情でそう呟いた。


 この人物こそ。みんなが崇める女神メーテル、その人であった。


「どうしましょう。これが上司にバレたら大変なことに……あっ、良いこと思い付きました!」


 蒼白だった表情が、気が付けば笑顔になっていた。


「女の子にしちゃえば問題ないですね!」


 この女神、バカである。


「ふふっ、気持ちよさそうに寝ていますね。では……っと完了。これで起きた頃には女の子になっているわ。私ってば天才だわ! 流石出来る女!」


 二回言おう。この女神、正真正銘のバカである。



 ◇ ◇ ◇



 翌朝。

 セシルは目を覚ました。


(う~ん。眠い……)


 でも起きなければシスターに怒られてしまうので、セシルは重い体を起こしベットから立ち上がった。

 やけに胸が重いなと思いつつも、朝食を食べに食堂へと向かうと……


「あなた誰ですか?」

「ん? 誰って僕だよ? セシル」

「セシルが女の子のわけないじゃないか!」

「え、女の子? シスター何言って――」


 そこで異変に気が付いた。いつもより重い胸。高い声。

 そしてなにより――息子がいないっ!!


「僕の息子が……」


 床に膝を突き項垂れる。サラッと白く艶やかな髪が肩から流れ落ちる。


「あなた名前は?」

「セシルだって。シスター……」


 そうしてシスターはセシルの顔をしっくりと見る。


「その銀色の髪に青い瞳。確かにセシルそっくりね」

「だから本当に僕なんだって! 起きたら何故か女になってたの! 何故かね!」


 瞳から涙が零れ落ちる。

 証拠として先日貰ったステータスカード見せる。

 ついでにセシルも確認する。


 名前:セシル

 性別:女

 レベル:1

 職業:聖女


 性別が男から女に変わっていた。

 それからシスターや他のみんなは信じてくれた。

 朝食を食べた俺は教会へと向かうことにした。


「神父さん」


 教会に入り声をかける。中には神父一人だけであった。


「君は? ここの子ではないように見えるが?」

「……僕です。セシル。昨日職業が聖女になった」

「……………は?」


(やっぱり信じてねぇ……)


 そう思うも、証拠としてステータスカードを見せると。


「ま、まさか本当にセシル君、なのかい?」

「はい。朝目が覚めたら僕の息子が無くなっており、女性になってました……こんなのあんまりです……」

「そ、そうか……まあ、一応は女性になったからよしとしよう。問題解決だ」


(このクソ神父めっ! 僕の息子が無くなったんだぞ!)


「女神様がそうしたのだろう」


 祭壇後ろにある女神像をみながらそう祈りを捧げるクソ神父。

 セシルはというと、女神を思いっきり睨みつけた。


(このクソアマ。唯一無二の息子を奪いやがって! 絶対許さねぇからな!)

(ヒッ!?)


 何か声が聞こえた気がした。

 セシルは祈りを捧げる神父をそのままに、教会を後にした。

 向かう場所は孤児院。日課の筋トレをするためだ。


 戻ったセシルは早速筋トレを始めた。


 ――数時間後。


 疲れ果てたセシルは大の字に横になっていた。


「回復魔法って言っていたな。筋肉の疲労も回復したりして」


 そう思うが今は疲れて出来ないので翌日にすることにした。


 ――翌日。


「シスター」

「おやセシルかい。どうしたんだい?」

「回復魔法の使い方を教えてほしい」

「そうね。わかったわ」


 シスターから回復魔法を教わること数時間。

 セシルとうとう回復魔法の発動に成功した。


「ありがとうシスター!」


 そう言ってセシルは自室に戻ってしまった。



 ――それから2年後。


 セシルは回復魔法をマスターした。

 さらに、回復魔法で筋肉疲労が癒えるということが判明し、この2年ひたすらに筋トレをしてきたのだ。その結果……


「はぁぁぁっ!!」


 数メートルはある目の前の巨石にセシルは――正拳突きを放った。

 普通ならば腕を痛めるのを想像するだろうが、その巨石はドゴォンという大きな音を響かせながら粉砕したのだ。


「これで私も冒険者になれる!」


 冒険者の夢を諦めてはいなかったのだ。

 冒険者の登録は17歳から。そう。今が17歳で登録できる年なのだ。


 翌日セシルは近くの街にて冒険者登録をする事にした。

 隣街となっており、距離はそこまでない。半日と行ったところだろう。


 二年も経てばこの女性の体にも慣れた。


(自分でいうのも癪だが、滅茶苦茶美少女だよな~)


 だが女神は絶対許さないマン。


「へっへっへ。嬢ちゃん一人かい?」


 街道を進んでいると、三人の盗賊が現れた。


「俺達と良いことしないか?」

「気持ちいいぞ?」


 フードを下ろし睨みつける。フードを下ろしたことによって露わになる素顔。

 そんな素顔に、下から上まで舐めるような気持ち悪い視線。


「こりゃ上玉だ!」

「売り払う前に味見をしないとなぁ~?」

「あひゃひゃひゃっ!」



「クソが。命が欲しかったら今すぐ失せろ」


 そんなゴミを見るような視線でセシルは言い放った。

 盗賊の目元がピクピクと痙攣している。


「んだとっ!」

「さっさと捕まえろ!」


 三人が一斉に襲い掛かってきたが、セシルは両手に装備するガントレットで、地面に一撃。

 ドゴォンという音を響かせ、突いた場所から盗賊の方に向かって地面が隆起し襲い掛かった。


 吹き飛ばされ空中に躍り出る盗賊達三人。

 そして落ちてくる盗賊を一人一人腹目掛けて拳を放ち気絶させる。


「ふぅ……行くか」


 盗賊の首根っこを片手で掴みながら街へと到着するのだった。





中途半端ですが最後までお読みいただきありがとうございます。


完全にネタ作品であり、短編の内容は3話までとなっております。

てか三話までしか書いていなかった・・・


面白いぞっ!、と思っていただけましたら下の☆で評価していただけたらと思います!

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― 新着の感想 ―
[一言]  数多くの作品を読みましたが、この系統はなかったような。。。  連載番希望。。。
[一言]  是非続きを
[一言] たのしいだから。短編て もったいない?連載するのわどうおもう?
感想一覧
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