3 帰れない
3 帰れない
「どうしました?レイ様?」
「えッ?い、いや・・・」
と戸惑っていると
「とにかく行きますよ!」
とルーは僕を
抱っこしたまま、
食堂に連れて行った。
食堂につくと
ガタッ!ガタタッ!
「レ、レイ!」
「レイ!もういいの?」
とドレスを着た女の人や
数人のメイドさん
そして、シュッとしたイケ面男性
が椅子から立ち上がり
「よかったなあ!レイ!
元気になって!」
と僕をルーから
無理やり奪い取ると
高く高く抱き上げた。
(あれ?僕知ってる
・・・この人お父さんだ)
どうも、さっきから
チラチラとこの体の本来の持ち主レイ
という子の記憶が出てくる。
僕は高く抱えられながらも
(やっぱり分かるな!
こっちがお父さん
であっちがお母さんだ!)
お父さんのすぐ後ろで
僕を涙目で見るこの部屋の中
で一番綺麗なドレスを着た
これまた美人が
「よかったわね!レイ!
みんなで心配してたのよ」
「そうだぞ!レイ!
私など夜も眠れなかったほどだ!
はーはははッ!」
と威張るようにいうが
(うそうけ!
昼寝してたんだろ!
知ってんだぞ!)
と無言のまま
ブチャッ!とした顔で
お父さんを見下ろした。
「さッ!それより、
お祝いしましょう!
レイが元気になるようルーや
メイド長も腕によりをかけて作ったのよ」
とお母さんが
僕を受け取りテーブルの上の料理を
見せてくれた。
(すッすげー!
なんて豪華な料理なんだ!
豚の丸焼きなんて初めて見たぞ!)
テーブルの上には
今にも光出しそうな位高そうな食器に
キラキラしたフルーツや料理、
そして
中央には誕生日ケーキでいいのだろうか
5段重ねのケーキが陣取っている。
僕はなんでこうなったかは、
まったく分からなかったが
とにかく、お腹もすいていたし、
食べさせてもらう事にした。
しかし、メイドさん達が
どうもおかしい・・・
両親の席とはテーブルの
反対の椅子に座ったのだが
両隣も後ろもメイドさんに囲まれた。
「はい!レイ様、あ~ん!」
とえるふのルーが長い耳をピクピクさせ
ケーキを僕の口に入れてくる。
(は、はずかしいな・・・)
「あッ!レイ様!お口に」
と反対のハンカチを持った
猫耳のメイドさんミャーが
僕の口びるについたクリームを
プリップリの口びるで舐め取った。
(えッ?えッ?!なんで?
なんで手にハンカチ
持ってるのに舐めるの?)
とビックリしていると
「レイ様~・・・いかがですか~?」
と牛の耳が頭についたような
メイドさんモーがゆっくり喋りながら
後ろから抱き着いてきた。
(むがッ!く、くるっひい・・・)
もの凄く大きくて柔らかい胸が
僕の顔の上に乗り呼吸ができない。
なんとかその重たい物を押しのけ
「ちょ、ちょっと
・・・過度過ぎませんか?」
しかし、この後も執拗に
メイドさん達のセクハラは続いた。
一 週 間 後
ピラッ!
ピラッ!
パタンッ!
僕は目を血走らせながら、
禁書を閉じた。
家中にあるお母さんの
冒険者時代に購入した魔導書を
読み漁り、
とうとう禁書と書かれたのも
たった今読み終わってしまった。
「ダ、ダメだ!書いてない!
どこにも書いてない!
なにが禁書だよ!
あ――――――――!!!」
バサッ!
と帰り方がわからず
頭を抱えながら、
書斎で叫んでしまった。
今日でこの世界に来てから
一週間がたったが
メイドさん達の
過度なスキンシップは
止まる所を知らない。
僕はなぜかは知らないが突如、
5歳になったため
まったく性欲がないのに対し
メイドさん達はに明らかに
その逆をいっている。
トイレ、お風呂は
覗かれるのは当たり前!
食事はいつも数人のメイドさんが
過剰に食べさせてくる。
そして、それらを我慢しても
一番恐ろしいのが夜やってくるのだ
僕がいくら部屋に鍵をかけ、
本棚でバリケードをし
窓に板を打ちつけようと
朝には裸のメイドさん達が
添い寝している。
「あ―――、どうすりゃいいんだよ!
うっ・・・うっ・・・
も、もうイヤなんだよ・・・
真夜中にルーのお尻が顔の上に
乗って重くて起きるのも
それが嫌で夜中に外で
フクロウと野宿するのも
うっ・・・うっ・・・
か、帰りたい・・・
で、でもどうすれば・・・
帰り方は全然わかんない
この最後の望みだった禁書にも
書いてないし
日に日にメイドさんも
凄い事してくるし、
もう怖いんだよ!狙われるのが!
くっ!くっ!
だ―――――――!!!
僕が何したってんだよ!
なんで僕が異世界の知識を本で
会得しないとなんないんだよ!
おかげ様で知識だけなら、
賢者クラスってなんだよ!
もうヤダ!もう帰りたい!」
僕は必死に帰り方を探るため本を
大量に読んでいたら、いつの間にか
僕のステータスに賢者の知識と
表示が出てしまっていた。
ドサッ!
僕は膝から崩れ落ち
「だ、だれか・・・助けて・・・」
すると
コン!コン!とだれかが
ドアをノックした。
「レイ!どうしたの?」
「や、やばい!お母さんだ!」
この家、唯一の安全地帯の
お母さんを敵には回せない!
「ま、待って!今、片付けるから!」
ボワーン!
僕は魔法を使って散らかした書斎を
あっと言う間に綺麗にした。
「ど、どうかした?」
ガチャッ!
ドアを開けるとお母さんが
「お客様がいらっしゃったから客間に来なさい!」
「お客様?」
明日休みます。嫁の実家に行くので