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5.ゴブリンどもが遊んでいるように見えるのだが

 吾輩は魔王である。魔王であるはずなのだが、王自ら部下に会いに行かねばならなくなった。


「ゴブリンはいるか?」

「いますが……今は手が離せません」


 ゴブリンどもの部屋に訪れる。声をかけたらそんな答えが返ってきた。

 手が離せないとはどういうことだ? 魔王である吾輩が来たというのに出てこないとは。もしやとんでもなく大変な事態になっているのではないだろうか。

 心配になって部屋のドアを開ける。

 そこにはゴブリンが四匹。何かを取り囲むように地べたに座っていた。


「何を、している?」

「ポーカーです」

「ポーカー?」


 ポーカーとは何だ? ぽかぽか……ふむ、下手に予想するのはやめておこう。

 四匹のゴブリンは何やらカードらしきものを手にしている。遊んでいるように見えるのは吾輩だけだろうか。

 ここで気を遣うのもおかしな話だ。魔王らしくびしっと命令してさっさと玉座に戻ろう。


「ゴブリンよ命令だ。勇者を倒しに行け」

「は?」


 ものすごく怪訝な目を向けられた。なんかゴブリンのくせにふてぶてしくないか?


「魔王様、前に言いましたよね? 俺達ゴブリンがのこのこ勇者の元に行ったところでいい経験値にしかならないと」

「うむ、言ったな」


 ゴブリンの一匹が反論するように言った。ちなみに前回話をしたゴブリンがどいつかは覚えていない。というかわからない。ゴブリンは皆同じ顔だからだ。


「なのに今更俺達を行かせてどうしろってんですか。とっくに勇者は強くなって俺達じゃあ1ポイントのダメージも与えられませんよ」

「1ポイント? ……そうなのだがな、吾輩の側近に言われてしまったのだから仕方がないのだ。それに魔物は戦う生き物であろう?」

「ふぅ、戦うだけが魔物の仕事だと思っているのなら大間違いですよ」

「む」


 やれやれと肩をすくめるゴブリン。他のゴブリンもマネるように同じ動作をした。なぜだか苛立ちを覚えたぞ。


「いいですか魔王様。俺達のような弱い魔物に戦えと言ったところで屍の山を築くだけです。ならばもっと有用なことに使うべきなのです」

「つまり、何が言いたい?」

「……勇者は確かに強いです。ですが、たくさんの人間から手助けをされているのですよ」

「ほう」

「勇者は他の人間からアイテムや情報をもらったりして強くなり、着実にここ魔王城へと近づいてきているのです。つまり、勇者に手を貸す人間どもをどうにかしてやれば、逆説的に勇者は強くなれずに魔王城にも辿り着けないというわけなのですよ」

「なるほど」


 ゴブリンのくせになんという慧眼であろうか。

 それで、そこからどうゴブリンが戦わないということになるのか。その答えは次のゴブリンの言葉にあった。



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