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三雲ルート⑩

 01


 三雲の父 正和の願いを聞き入れた俺は翌日山本と吉澤を別荘へ来させた。

 真梨亜の結婚式を潰すための作戦を練らないと、赤城によって俺や東雲たちがしてきたことが無駄になってしまう。

 何とかして避けなければいけない。


「山本、吉澤。よく別荘の方へ来てくれた」


 俺は別荘に来てくれた山本と吉澤にまず頭を下げた。

 一人だと俺は何も出来ない、だけどこの二人が協力してくれるならとても心強い。


「……赤城とはけじめをつけなきゃいけないとは前々から思ってたんだ、だから頭を上げろよ」


「僕も和也と同じだ。もう弱いままの僕に戻りたくはない」



「お前ら……」


 俺のせいで解散したグループが再び集まれたことに嬉しくて、目を潤ませた。

 ……真梨亜を助けるまでは泣くわけにはいかない。

 気を取り直して、俺達は二週間の真梨亜の結婚式に向けて作戦会議をすることにした。


「俺達の分の招待状は手に入れたのか?」


「ああ、真梨亜の父さんから貰っておいた。今回の作戦を決めたのはあの人だから思い切ったことをしても良いよ」


「じゃあ会場の電気を落として赤城をタコ殴りにするのは?」



 山本は待ってましたと言わんばかりにぶっ飛んだことを言う。

 爽やかイケメンのフリをして、実は暴力的な考えを出す野生児とは思いもしなかったな。

 確かに赤城をぶん殴って、真梨亜を取り戻すという手は確かにありかもしれない。

 でも奴の周りにはいつも屈強そうな大男たちがいたのを思い出した。


「良い案だけど……アイツボディーガードいたよ」


 俺が赤城の傍にボディーガードがいたことを山本に告げると、枯れた植物のように項垂れていた。


「良い案だと思っていたんだけどな……」


 山本と俺は苦虫を噛み潰したような顔で足りない頭をフル回転してアイデアを浮かばせようとしていると、さっきまで黙っていた吉澤が真剣な顔で手を挙げていた。


「ねぇ、工藤。先日メールに添付した動画はちゃんとバックアップ取ってくれた?」



「ああ、一応念の為にな」


 俺があの動画のバックアップを取っていたことに満足げな顔をしていた吉澤だった。

 吉澤は俺や山本に真梨亜を必ず助け出す手段を教えてくれた。

 これならボディーガードと対決なんかしなくても赤城を今の地位から引きずり落とすことができる。

 二度と赤城みたいな人間を出てこさせないためにも派手にやらないといけない。

 俺たちは早速作戦の準備に取りかかることにした。

 作戦を成功させるには全員のチームワークがカギだ。

 チームワークに関しては昔同じグループに所属していたから問題はないと思いたい。

 二週間後に真梨亜を奪還する計画が始まる。

 失敗は許さない、気を引き締めて俺の作業を終わらせなくては。



 02


 俺は吉澤と山本を空いている部屋に案内したあと、突然叶枝から外に来てくれと伝えられた。

 覚悟を決めるしかない。

 想定した出来事がきてしまった以上は覚悟をしないと、泣いてしまう。

 叶枝といられる時間は少ない、これが最後だと思うと心苦しい。


「話があるの、ハジメちゃんに」


 叶枝の体は透けていた。



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