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三雲ルート②

 01


 一学期最後の日、俺たち生徒会は集会で学校側が用意した書類を元に生徒に長々と話をした。 

 俺がまさか演説する側になるとは昔の俺だったら想像はできないだろう。

 HRが終わり、兵藤が俺に何か言っているみたいだが無視して自宅へと帰る。

 一ヶ月ぐらい家に帰らないと思うから大きいバック持っていかないと。


「まさか真梨愛からあんなこと言われるとはなぁ……」


 約束の時間までまだあるから俺は今日向かう場所をネットで検索する。

 昨日、真梨愛は俺といっしょに別荘で住もうと言ってきた。

 確かに俺は正和に真梨愛と付き合っていると嘘を言ったが真梨愛は俺の上手をいっていった。

 流石生徒会長だ。

 もっとアグレッシブな部分を出していけば周りの人も真梨愛の意外な一面を見て好きになってくれるだろうに。

 すごくもったいない。


 俺は真梨愛が自由に生き生きしているところが好きだ、だから別荘に行ったら色々な遊びができるようにゲームを持っていこう。

 プレステは重たいからVITAにしとくか、軽いし。

 持って行く際に壊れたらショックで死ぬな、多分。

 あー、やめやめ!

 真梨愛を楽しませたいんだから細かいことは気にしてられない!

 真梨愛はゲームとかしたことないと思うし、一から教えるしかないな……

 ネットで調べるのは後にしとこう。

 ――

 ――――


 正午、俺は待ち合わせ場所の桜ヶ丘に来ていた。

 真梨愛は車で来るって言っていたけど家出を手助けするメイドや執事はいるのか?

 竜宮寺さん以外は三雲正和の手にかかっていると真梨愛自身が言っていた覚えがある。

 不安だ……真梨愛大丈夫かな?


「ん?」


 ポケットに入れたスマホが振動していたから俺は手に取った。

 もうすぐ着くよ?

 やっぱり車じゃないんだろうか。

 スマホを見ていた俺の視界が急に暗くなった。


「だ、だれ??」



「私だよ、私」


 この声は真梨愛か……?

 こういう()()()()()()()をする奴だっか?


「真梨愛、離してくれちょっと変な気持ちになるから」


 もうすぐ着くとメッセージが着てから数分もしないうちに真梨愛は来ていた。

 電車か?


「車で来たのか?」


「いや車で来たよー、私とハジメくんを手助けしてくれるメイドがたまたま家にいたんだよ!」


 真梨愛はそう言って反対側の道路にいた車を指さしていた。

 ……昨日と言動が違っているような気がする。

 まるでピクニックを楽しみにしている子供のようにワクワクしている目をしていた。

 先日までの真梨愛は勇気を振り絞って三雲家から逃げ出す為の案を出していたのに。

 どうも嫌な感じがするな、気の所為であってほしいけど。


「どうもハジメさん」


 車から出てきたのは三雲家では見た事がないメイドだった。

 前にも見たような気がする。

 どこかしら竜宮寺さんみたいな温厚な風貌をしているからかな。


「真梨愛様、そろそろ行かないと追っ手が追いついてきますよ」


「そうね! 早く逃げないとね。ハジメくん行きましょう!」


「お、おう……」



 俺は状況が掴めないまま、真梨愛に車に乗せられた。

 昨日といい、今日といい真梨愛の様子がおかしい。

 紫吹と何かあったんだろうか。

 聞きたかったが今の真梨愛は俺の話を聞くかどうかわからない。

 車に乗りながら今後の方針を一人で決めることにした。

 真梨愛を守りきれる自信がない。




 02



 車に揺られること二時間。

 東京に近い桜ヶ丘と比べると現在いる場所は自然しかなかった。

 車窓からは濁っていない透き通っている海が見えた。

 思わず写真に収めたが真梨愛は俺と違って黙って海を見つめていた。

 つい俺は真梨愛の横顔を見つめていた。


「……綺麗だな」


「……」


 あっぶない、思ってたことが口に出てしまった。

 よかった聞いてないみたいだ。


「そろそろ別荘が見えてきますよ」


 森林を抜けるとメイドは車のスピードを緩めていた。

 もう着くのか、案外早いな。

 別荘っていうけど正和も知っているならやばくないか?

 そう疑問に思っていると突然メイドは俺の心を読み取ったのか別荘について語りだした。


「三雲家の別荘は全国で四件あるんですが、今から行く場所は正和様も知らない別荘なんです。だから安心してください」


「知らない別荘?」


「真梨愛様のお母様が小さい頃に使っていた別荘です、どうしてか正和様には言わないで娘の真梨愛様には場所を教えていたみたいなんです」


 娘の未来をわかっていたのかってぐらい準備が早い。

 能力者だったのか?


「到着しました」


 メイドの声で俺は起きた。

 いつの間にか知らない間に寝ていたみたいだな。

 俺は重たい瞼をこすり、別荘を視認する。

 別荘というともっと小さい感じをイメージしていたけど……


「でっかいな!!」


 真梨愛が住んでいる屋敷とさほど変わりはなかった。


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