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三雲ルート①

 01


「真梨愛!!」


 外へ出ると真梨愛が臭い臭いを出してる紫吹に顔を迫られていた。

 明らかに良い雰囲気とかじゃないな、これは!

 俺は咄嗟に相手の顔面に右ストレートを決める。

 何が起きたのかわからない紫吹はそのまま気絶をした。

 やっべやりすぎたか……?


「ハジメくん!」


「ま、真梨愛!?」


 真梨愛は女装した姿の俺に抱きついた。

 やめろやめろ真梨愛、胸に仕込んだボールが取れるから!!

 そう言いたかったのに……。


「怖かった……本当に怖かった」


 ()()()()()()泣いていた真梨愛の姿を見てボケる気は無くなった。

 無言で俺は真梨愛を抱きしめた。

 この際、変態だ! 気持ちわるいなど言われても構わない。

 俺が竜宮寺さんの代わりに守ってやらないと真梨愛はきっとどこかで壊れてしまう。

 現に今、あんなに凛々しかった生徒会長の真梨愛はいない。

 ここにいるのはただの女の子だ。


「大丈夫、今度は俺がお前を守る」


「……どこにも行ったりしない?」


「ああ、ずっとお前の傍にいるよ」


 上目遣いで俺を見る真梨愛はとても儚くて触ってしまったら消えてしまいそうだ。

 それなのに俺は少しドキドキしてしまった。


「とりあえずここから移動しよう」


 玄関で座ったまま抱きついているのは衛生上よくない。

 それに俺のブレードも限界だ。


「じゃあ……私の部屋にくる?」



  02




「で、何でハジメくんは女装してたの?」


「いや〜それは……」


 返して……さっきまで可愛らしかった真梨愛を返して。

 俺は泣き止んだ真梨愛に何故女装をしているのか問い詰められていた。

 仕方ない、ワケを話すか。


「竜宮寺さんに仕事を手伝ってくれないかって言われたんだよ。一日だけやるつもりがなんか性に合っちゃってさ」


 半目で俺を見つめてる真梨愛はまるでスナギツネみたいだった。

 嘘はついていないからな。


「まあいいわ、確かに明日香なら言いかねないわね。……それと今日は助けてくれてありがとう」


「!? お、おう……」


 あまり素直にありがとうと言われたことがないから動揺して真梨愛から視線を逸らしてしまう。


「もうハジメくんも知っていると思うけど紫吹と私は小さい頃から決められていた許嫁なの」


「え、いや知らないけど……」


 許嫁!?

 あんなのと!?


「いいから黙って聞いて。私のお父様と紫吹のお父さんは昔からの友達で、将来何処の馬の骨かわからない男に自分の娘を渡すよりかは自身の友人である息子なら安心できると言って勝手に許嫁にしたのよ、勝手よね。私の意思なんか確認しないで……私は小さい時から子供らしい遊びをしないで家でずっと良い嫁になれるように花嫁修業をしていたわ、他の子達が自由で羨ましいと妬んだこともあった。……いつしか私は現実から目を逸らすことになり」


「……三日之神の呪いが現れた」


 昔、竜宮寺さんは言っていた。

 真梨愛の家、三雲家は三日之神を封印するために生まれた家系だ。

 故に真梨愛には三日之神を封印する力があった。

 だけど先祖が呪いを受けたせいでその力は無い。

 三雲家はみんな許嫁について悩んでたのか?……。

 真梨愛は許嫁が当たり前だと育てられてずっと同年代の子と遊ぶこともなかった。

 無性にイラついてきたな。


「真梨愛、お前はこの家は嫌いか?」


 俺は真梨愛に問いかける。

 本音が聞きたい、いつも自分の気持ちを言えなかった真梨愛はきっと寂しかったと思う。


「嫌い、嫌いよ。正直三雲家と紫吹家の未来なんて興味無い!」


 真梨愛は外にいる人にまで聞こえるぐらいの大声を出した。

 とても清々しい顔をしていた。


「真梨愛、スマホ貸してくれないか?」


「ええ、いいけど? 何に使うのかしら」


 真梨愛のスマホを借りて俺は正和の電話番号を確認して連絡する。

 ワンコール、ニコールで真梨愛の父親正和は出てきた。


「あー、もしもし真梨愛のお父さんですか?」


『……誰だお前は?』


 二ヶ月前に会ったのにもう俺を忘れているのか。

 なら仕方ない。


「真梨愛さんと()()()()()()()()()()()今後一切紫吹と関わりを絶ってください」


「!? え?」


『なっ、貴様どういう?!』


 何か言う前に俺は電話を切った。

 驚いてる姿が目に浮かぶな。

 少し気分が良い。


「ハジメくん? 今君は何を言ったの??」


「何って俺と真梨愛は付き合うことにしたんだ。お前は家が嫌いなんだろ?」


「うん、ハジメくん私はあの牢獄から抜け出したいの」



「ああ、わかってる。俺がお前を自由の身にしてやるよ」


 自分ができる範囲で真梨愛を家のしがらみから解放してやろう。

 ストレス発散とか考えたけど以前に遊園地行ったしな……


「私の為にしてくれたのは嬉しいけど案とかないみたいね? そしたら私に良い考えがあるんだけど」


 真梨愛は俺に耳打ちをした。

 とてもドキドキしたが真梨愛が言った内容に驚きを隠せなかった。

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