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三日之神伝説編 60話

 01  


「ふぅ……」


 俺は有紗達と別れ、家に戻ってベッドに横になった。

 肩の荷がおりたのか今すぐにでも眠りそうな感じがする。

 東雲薫、小日向詩織、西久保有紗。

 この三人の能力が発現する原因となった問題を解決したけどこれで終わりなのか?

 どうもまだ何かあるような気がしてならない。

 明日はバイトは無いから竜宮寺家が保有する隔離屋敷にでも行って竜宮寺さんに聞いてみる事にしよう。

 体がクタクタだからまだ夕方だけど少し眠るか……




 02


「―――さん」


 誰かが俺を呼んでいる?


「――メさん」


 うっすらと目を開けると目の前には古めかしい着物を着ていた竜宮寺さんがいた。

 わざわざ遠い隔離屋敷から俺の家に来るとは思わないからこれは夢だ。

 竜宮寺さんの周囲には花びらがヒラヒラと意志を持っているのかと思うぐらいに綺麗に舞っていて、現実ではそうそう起きそうにも無い現象が起きていた。



「工藤さんの寝顔を真梨愛様に見せてもいいんですよ」



「ま、待って!!!!」


 俺は勢いよく布団から飛び出す。

 竜宮寺さんならやりかねない。


「せっかく気持ちよさそうに寝ていらしたのに無理やり力を使って夢の中に入ってしまい申し訳ございません。工藤さんに伝えたい事があったので……」


 周りを見渡すと俺の部屋では無かった。

 真っ白な空間の中に俺と竜宮寺さんの二人しか存在していない。

 夢で誰かと会話するのは初めてだな……


「俺に伝えたい事?」


 竜宮寺さんの衣装はメイド服からいつの時代かわからないような着物に変わっていた。

 現代日本ではあまり見かけないような着物に見える。

 きっと今の値段にすると一億以上はいきそうだ。


「明日には私の人格は消えて三日之神に体の所有権を奪われます。その前に工藤さんには三日之神の伝説を知ってもらいたいんです」



「出生の秘密を俺に伝えてどうするんですか」



「東雲さん達に三日之神を近づかせないようにする方法が伝説に隠されているんですよ」


 竜宮寺さんは俺に三日之神伝説を語り始めた。

 三日之神は戦国時代に小さな農村で産声を上げた。

 彼女の農村は戦のせいで貧しく生きていくのにもやっとだった。

 だがそれも三日之神が産まれる事によって変わる。

 三日之神は生まれた時から人ならざる能力を持っていた。

 その能力は医者に行く事も難しかった村人達の傷を癒す能力。

 致命傷ではない限り、どんな病や怪我でも治せたので村人は彼女を神として崇めた。

 どんな傷や怪我でも金を使わずに治せる事ができるという情報は他の村にも行き渡っていた。

 最初はただの噂だと思っていた他の村の村人も彼女の能力を体験すると手の平を返したように褒めちぎった。

 彼女に助けられた人達から送られてきた沢山の貢ぎ物が村に届くようになり、村は領主に目をつけられるぐらいにまで発展していった。


 数年が経ち、三日之神は恋をする年頃になっていた。

 彼女の能力のお陰か農作物などが不作になる事は無くなり、村の人口も減る事は無かった。

 平和がこのまま続けばいいと俺は思っていたが初めて三日之神と出会った時に感じた異質なオーラを考えると長くは続かなかったと思う。

 三日之神が住んでいた村に戦で大怪我をした青年の武士が迷い込んできた。

 年は三日之神と同じだ。

 村人は数年前までは金を取らなかったのに大量の貢ぎ物が届くようになってから目が眩んだのか金を取るようになった。

 傷だらけの武士に金を要求したが手持ちには金が無かった。

 三日之神は村人の反対を押し切り、能力を使って青年の怪我を治した。

 彼女はただ善意で治したがその行為のせいで自分が大変な事に巻き込まれるとは思いもしていなかった。

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