友達
私にはかつて、親友と呼べる女の子がいた。
私より年下で、まだ小学生の彼女とは、いつも家の近くの公園で遊んでいた。
私の学校帰りに合わせ、彼女はその公園に現れ、私を見つけると笑顔で走ってくる。
「今日は、何して遊ぶ???」
彼女の笑顔が、疲れた私を笑顔にしてくれていた。
彼女は毎日遊び道具を持ってきた。
持っていない日は決まってかくれんぼか鬼ごっこだった。
対して、私はいつも手ぶらだった。
ある日は、縄跳びをして回数を競った。
ある日は、ラジコンで競争した。
ある日は、かくれんぼをした。
私は、意外とこの日々が好きだった。
ある日を境に、友達は公園に現れなくなった。
私は待った、公園でただ、待ち続けた。
ブランコに乗り、風に振られて待った。
鉄棒で逆上がりの練習をしながら待った。
滑り台の上に立ち、周りを見渡して待った。
それでも友達は現れなかった。
その翌日
そして、またその翌日も、友達は現れなかった。
私はとても寂しかった。
雨の日も、風の日も、嵐の日も
私は毎日その公園で、友達を待ち続けた。
最後に遊んでから一年経った日も、友達は現れなかった。
私は、諦めなかった。
また、友達の笑顔が見たい
名前も知らない、友達の、あの、笑顔が
その日は雨が降っていた。
私は家の中で、ただ時が経つのを感じていた。
懐かしく思う、あの公園で友達と遊んだ日の事を
私があの場所へ向かうことは、もうないだろう。
私があの公園へ向かっても、友達には会えない。
さもありなん、あの公園に友達なんていなかったからだ。
私があっていた、あの友達は、幻だったのだろうか...
毎日毎日、あの公園へ向かっていたが友達には会えない。
友達は来てもくれない
いや.....もしかしたら、いるのかもしれない....
私のことを待っているのかもしれない。
ただ、見えなくなっただけで。