大4家
東鵺・大雅・西雅さん・北翔さん が私に視線を向けていた。
えっ!?私が代表で挨拶をしろってこと!何も考えてなかったんだけど………。こうなったら女の意地で乗り越えて見せるわ!
大雅にエスコートされ少し出っ張っているところへ行き令嬢として舞踏会のように礼をすると辺りは静まり返った。
ど どうしよう!
記憶が流れ込んできた
舞台の真ん中にドレス姿の一人の少女。
その少女は今の私のように戸惑っているのが分かった。覚悟を決めたように深呼吸をし
『この度は____おめでとうございます。私の弟___も無事にこの日を迎えれたことを心から喜んでいます。』
………これは前世中学生の時だったかな?で演じた劇の台詞で、没落寸前貴族の成人式をテーマにしてやってたんだ。それを少し変えて言えば!
マイクを両手で持ち
「皆様 初めまして。先ほどご紹介がありました、大雅の姉 朱雀大路 南朱 と申します。私が代表として皆様にお祝い申し上げます。中等部で 今まで以上に勉学が難しくなりより大変に成りますが、これからの皆様の未来図を想像しながら自分がどうあるべきかを常に問続けてください。
そうすれば、自ずと道が開かれるでしょう。
この場をお借りして、本日 私がお呼び致しました方々をご紹介致します。」
会場中かどよめいた
私は一歩左へずれ真ん中の通り道を開けた。東鵺たちも通路をあけ、上がってくる人物に少し気にしている様子。
「どうぞ、お上がりください!」
舞台へ上がって来た人物を見るなり観客は喜び・驚き・拍手喝采。とそれぞれバラバラの反応だった。
舞台にいる西雅さんは、苦笑い
北翔さんは嫌そうな表情 で
東鵺は珍しく驚き固まった
大雅は喜びの笑みを浮かべていた。
私は微笑みを浮かべた。
そう。今回の私が招いた方々は、世界的に有名で誰もが一度は会いたい人ランキング毎年一位と二位に君臨している方々で私達がよく知っている人物。
彼らが私の前に来たので丁寧に礼をすると
「中々のスピーチだった。」
と聞きなれた声で褒められ 少し嬉しかった がまだ気を抜くことは出来ないため気を引き締め直した。
「ご存じの方のほうが圧倒的に多いと思いますが、僭越至極ながらご紹介させていただきます。
皆様から向かって右側におられる方は、
白虎鳶寺 家当主 白虎鳶寺 竜也様 。
そのお隣が
慎玄武 家当主 慎玄武 (しんげんぶ) 水也様 お仕事では水沢氏 と 名乗っておられます。
左から2番目のお方は
朱雀大路 家当主 朱雀大路 朱弥 (しゅうや)様
一番左のお方は
青龍寺 家当主 青龍寺 誠也 (せいや)様
ですわ。そしてその後ろにおられる方々は各当主の奥方様
右から順に
白虎鳶寺 沙耶佳様
慎玄武 綾萌様
朱雀大路 深稀様
青龍寺 優華 様。
私からのご紹介は以上でございます
皆様お忙しい中足をお運びいただき誠にありがとうございます。お時間が許す限り息抜きをしていただけたらと思います。」
私が彼らに向かって礼をすると西雅さんたちも礼をしお父様方が舞台から降りられたあと私達もおりた。
大雅はすかさずお父様・お母様の所へ駆け寄り嬉しそうにお喋りし始めた。
その光景を微笑ましく思いながら現状から目を背けた。
ふふふ。良かった 大雅があんなに嬉しそうにしているのだから今までの苦労が報われるわ。
「おい!南朱どう言うことだ!?何故親父達が来たんだ!」
「東鵺。」
「南朱さんが答えられなくなる。」
西雅さん北翔さんは東鵺に注意をした
「南朱さん。教えてくれるかな?両親が何故参加できたのか。」
西雅さんの問いかけに私は現実に戻り
「大雅の事をお話しましたら来てくださると仰ってくださいました。なので招待状を多目にいただきました分をお渡し致しました。」
東鵺か目を見開き再び質問攻めに合いそうになったのを北翔さんが止め、西雅さんが
「大雅の事ってどう言うことですか?」
なんとなく予想がついている西雅さんと北翔さんは、何か考えながら聞いてきた
「えぇ。ここだけの話ですわ。大雅が初等部のクラス替えの辺りから嫌がらせに合っていたみたいで……。この場を借りて彼らを見返したいらしく皆さんにゲストとして出てほしいと言い出したようです。」
「やはり、そうだったんだね。」
これで話を逸らせたと思ったがそうはいかなかった。
「それで?どうやって両親を集めさせたのかな?」
怖いです西雅さん!絶対に嘘は許さないよ って目が語っています!
「………」
「それだけでは、父上も母上も休みを取らないよね。」
北翔さんまで!うぅ~
東鵺に助けを求めると諦めろというふうな目を向けていた。
この事は絶対にばれたくないわ!どうしたら誤魔化せられるかしら?
そんなときまさに救世主が現れた
「お話中申し訳ございません。朱雀大路 南朱様。愚息のあのような言動で大変不愉快な思いをさせてしまいましたことを心からお詫び申し上げます。私の指導不足のせいでございます。どうかお許し願えないでしょうか。」
えっと?この方たちはどなたかしら?愚息の言動…………………………。!思い出した やたら俺様で強引に引っ張り回されたあの子とその父親ね。
「これはこれは、平井社長 私の娘に何か用ですかな?」
ますます彼は青ざめた
「す 朱雀大路様。申し訳ございません!
わ 私の愚息が 南朱様に多大なるご迷惑おかけしてしまい誠に申し訳ございません。」
お父様は私に
「南朱。」
「はい。お父様。」
「この件はお前に任す。契約を破棄するなり、潰すなり好きにしていい。」
「はい。畏まりました。この件は私が責任を持ちますわ。」
平井社長の方に向き
「そう言うことだ。では、失礼する。」
お父様は、大雅の元へ戻っていった。
お父様、彼を脅して楽しんでたわね。相変わらず悪趣味ですわね。私がどう判断するか完璧に判っていて託すのですもの。
「平井さん。お顔を上げてくださいな。」
「しっしかし!」
「平井さん。」
「はい。」
俺様息子の頭から手を離し二人とも頭をあげた
「この件は私が任されましたわ。ですから、当主であるお父様の代わりに沙汰を下しますわ。」
「 はい。 どのような沙汰でも謹んでお受け致します。」
「そう。今回のことは、私の至らなさも有りましたので不問に致しますわ。権力で従わせないように確りと指導してくださればそれで不問に致しますわ。」
「……そ そうですか。お家をとり潰し………………!今、不問と申されましたか?」
「えぇ。同じ様なことが起こらないよう指導してくだされば不問に致しますわ。」
「ほ、本当によろしいのですか!?」
「えぇ。」
「………南朱様。」
「せっかくの卒業際なのですから 息子さんと良い思い出をお作りくださいね。」
「ありがとうございます。南朱様」
私は後でお礼を言っている平井さんの元をあとにし大雅の所へ行った。
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