卒業際
そして、弟と約束した朝になった。
こんなイベントあったっけ?悪役令嬢の目線がないから分からないけど……。それよりも来てくれるかな?昨日急遽お願いしてしまったけど。
侍女に軽くメイクをほどこされ、髪の毛を結ってもらった。
「お嬢様、大雅様がいらっしゃっております。」
「そう。中に入れて。」
「分かりました。」
ソファに腰を下ろし紅茶を飲んでいると
「お姉ちゃん!そろそろ東鵺兄さんが、来る頃だよ。準備はいい?」
「大雅、珍しくはしゃいでるわね。」
「だって!大4家がそろうんだよ!それを興奮しずにいられる!?」
呆れ半分微笑ましさ半分で大雅を見ながら
「大雅、私達だって大4家の一つなんだけど忘れてない?」
「それはそうだけど!僕の頼みで次期当主が揃うんだよ!!」
「ふふふ。大雅、皆さんを驚かせましょうね?」
「そうだね!」
そのとき
「お嬢様!」
「あら?どうしたのかしら。」
「そ それが、お嬢様に昨日お呼ばれされたと……。」
あら?早かったわね。昼ぐらいにつくと言ってたのに
「分かったわ。いま、そちらに向かうとお伝えして。大雅、少しだけ待っててね。この部屋から出たら、皆行かないからね」
と脅しをしてからお父様が使っている会議室に向かった。
部屋にはいるなり令嬢としての仮面をきっちりかぶり
「皆様、ご機嫌麗しくなによりですわ。」
皆が立ちあがり一人が代表して
「南朱嬢もご機嫌麗しそうですな。」
「えぇ。どうぞお掛けくださいな。」
「では。」
私が一番奥の一人席に座り
「この度は、私の我が儘をお聞きくださりありがとうございます。」
私に近い場所に座っている4・50代の男性が
「いつも、助けていただいているお礼ですのでお気になさらず。」
その人の向かい側に座っている同年齢ぐらいの女性が
「お礼もありますが大4家の一つを侮辱する者を野放しには出来ませんわ。」
他の皆が一斉に同意をするので
「では、申し訳ございませんが午後から西雅様がこられるまで我家の車でお待ちいただいてもよろしいでしょうか?」
先程の男性が
「もちろん構いません。我々は南朱嬢にご挨拶をしたく早めに参ったまでですので。」
「ありがとうございます。では、そろそろ私と大雅は向かいますのでのちほどお会いいたしましょう。」
そう言って会議室を出て、私室に向かった。
ふぅ~少しやり過ぎだったかな?けど、今更だからね。切り替えていきましょう
部屋にはいると
「よう!遅かったな。大雅から聞いたぞ、来客が来たってな。誰一人口を割らねぇのはどう言うことだ?」
「お姉ちゃんおかえり。」
一瞬ドアを閉めたくなった。
「……東鵺、来ていましたの?それならそうと仰ってくだされば、直ぐに戻って来ましたのに。」
「いいや、まだ時間があるからな。それに、お客をもてなすのが優先だからな。」
「そうですわね。では、参りましょう」
私が話したくないことをくんでくれたのか
「そうだな。」
と言って私をエスコートしながら外にある車に乗り込んだ
それから暫くして四峰神学園の門にたどり着いた。
「うわ~凄いわ!もう桜が咲いていますのね!」
「これは、狂い桜だ。この桜は3月から咲き始め4月には枯れる。」
「それでは、入学の時には見れないのですね。」
としょんぼりしていると
「ここの他の門も有るから、4月でも桜は見れるぞ。」
「それは、良かったわ。」
と微笑んでいると耳元で
「今日のお前は、桜の妖精姫だな」
と囁かれた
なぜか心がけ踊ったのがわかった。
平然を装って
「ふふふ、では、東鵺は妖精王ですわね。」
とお返しをすると東鵺は少し赤く染めながら外の景色に目を向けた
私も外に目を向けると
「姉ちゃんは、天然だよね。」
と向かいに座っている大雅が呟いた
「私が天然?どうしてなの大雅?」
「ううん。気にしないでこっちの話だからね」
首をかしげながら再び外を眺めた
車が停まると先に大雅がおり友達のところへ向かった。そのあと東鵺が降りて中にいる私に手を差し出した。その手をとり車内からおりると私の右に東鵺、左に北翔さんが立っていた。
「あら、北翔さんお早めに来てくださってたのですね。」
「西雅さんに早めに行くように言われたので。」
「西雅さんにお礼を言わなくてわね。」
と話していると大雅が大勢の人を連れて戻ってきた。
大雅は、外での言葉遣いで
「お姉様、彼らがお話ししていましたお友だちです。」
私は微笑んでから
「皆さん、私の弟の大雅がいつもお世話になっておりますわ。私の名は、南朱 と申します。大雅の姉ですわ。以後お見知りおきを」
と優雅に初対面としての礼をすると
一人の男の子が威張ったように
「…初めまして、俺の名は 平井 純 と言う。父は、大手貿易会社 『esperanza』の社長を勤めている。大雅の姉、南朱 と言ったな。お前を俺の婚約者にしてやる光栄に思え。」
回りがざわつくなか
私は今にもぶちギレそうな2人を見て小声で
「大雅。」
「はい。お姉様」
「二人を頼んだわよ」
「うん分かった、けど姉ちゃんどうする気なの?」
「別になにもしないわ。ただお話をするだけよ。」
「本当に話だけ?」
「えぇ、話だけよ。」
「……わかった。気を付けてよ!何かあったら直ぐに電話してよ!」
「心配性ね」
大雅が東鵺と北翔さんを連れて、人混みに隠れたのを見届けてたら
「ふん!俺が偉大すぎて逃げたのか。俺は罪づくりだな。」
一人でバカを言って呟いているお子様を見ている回りは次々に
『彼奴の家潰されるだろうな。』
『大4家のうち3家に喧嘩を売ったもんだからな。』
『esperanzaの頂点に君臨しているのが、朱雀大路家 だってことを知らないんだろうな。』
そんな話がまるで耳に入っていない平井 純は
「この祭りが終わり次第俺の家に来い!」
「申し訳ございませんが、私用事がございますのでどうかご容赦を。」
「仕方ない。明日俺の家に来い!それでいいだろうこれ以上は許さん。」
「寛大なお心、感謝いたします。」
2人的をついたことを言った
『あの方は、社交界の薔薇と異名を持つ 朱雀大路 家長女 南朱様が何故あのような低族と居られるのだろうか?』
『いいや。今では、社交界だけでなく事業にも関わられておられるとか。その2つ名が《エデス》と呼ばれているお方がこの様な茶番にお付きついされているとは!あの子の家は乗っ取られたのは確定だな。』
私はその話に苦笑いを浮かべそうになったがそれをこらえた
「そうだ!これからこの学園を案内してやる!ついてこい」
上機嫌な相手に従いながら校舎ないを歩いた
「あの、少し休憩出来るところはありませんでしょうか?」
「そうだな!この先に談話室がある。そこで語り合おうじゃないか。」
「そうですわね。」
談話室で紅茶を飲みながら質問に答えたりした
「そうそう!大雅のやつ俺にこう言ったんだぜ『私の姉と知り合いを連れてきてやる。あとで後悔すればいい。』ってさ。どこが後悔するんだろうな!女美人な姉を連れてきて俺への褒美か ってな。」
丁度飽き飽きし始めたとき
『南朱様。至急中央舞台へお越しください。』
とこの部屋だけに放送が入った。
チャンス!
「申し訳ござません。行かなくてはいけないようなので失礼致します。」
と彼が何かを言う前に外へ出た
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
それから東鵺に捕獲されガミガミと小声で怒られた
舞台はモデルが歩くT型の舞台の逆向きでレットカーペットが引かれていた。
私は、西雅さん北翔さんもいることを確認し合図を出した。
『本日、我が学園にスペシャルゲストとして4名方がお越しいただいてます。拍手でお迎えください!』
『始めにご紹介致しますは、大4家の一つ 《 白虎鳶寺 西雅 様》。 白虎鳶寺家当主から様々な仕事をこなされています。つい先日当主の代わりに海外出張からお帰りになられたばかりだとか。』
西雅さんは堂々と舞台を歩き広い舞台の方の左側で止まった。
『2名の方も大4家の一つ。《慎玄武 北翔 (ほくと)様。》今年で四峰神学園高等部3年になられます。成績は常に1位で2位との差は150点以上空いているそうです。北翔様も西雅様同様次期当主と認められ、将来海外の大学へ進学されるとかされないとか。』
北翔さんは、誰一人近づくな と言うオーラをだし西雅さんの反対側の右端に立った。
『3人目のお方も大4家の一つ。《青龍寺 東鵺 様。》
東鵺様は今年、四峰神学園高等部 に進学されました。中等部では、北翔様 同様トップ成績を修められました。』
東鵺は、多少不機嫌なのかいつもの愛想笑いを浮かべているだけだった。彼は、北翔さんの反対側で西雅さんの左側で立ち止まった。
『では、最後にご登場されますお方は本日のスペシャルゲストをお呼びしてくださいました。大雅さんとお姉様である南朱様です。』
私は大雅の手を取り優しげな笑みを浮かべながら舞台へ上がった。
『南朱様も大雅さんもなんと!あの大4家の一つ 朱雀大路家のご長女とご長男なのです!3年前の社交界を覚えているかたも多いでしょう。お2方を見た者は口々に《社交界の薔薇》《ローゼ》と言う2つ名を呼び彼らを最も尊い者として尊敬してました。しかし3年前社交界以来表に出ることなくいたお二人が戻ってこられたのです!新たな異名を別々につけて!!《 朱雀大路 南朱様》は《エデス》と呼ばれ《大雅様》は《ウィライ》 と3つの異名を持ってこの場所を再スタートの場としてくださいました。』
必然に私が真ん中になり右横が大雅。左横が東鵺と言う形になった。
『では、お言葉をお願いします!!』
次回は、謎の訪問者が誰か分かります!