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秘密と舞踏会②

北翔さんは心底あきれたように


「あいつ馬鹿なのか?」


馬鹿だと思うな。エスコート役の相手がいるのに〔ファーストダンスを踊ってくれ〕何て言う人いないからね。


内心は同意しつつも


「マナー教育の練習中なのですわ。」


と一応フォローしておいた。


「南朱さんは、いいえ。何でもないよ。」


南朱は首を傾け


「北翔さんが言い詰まるだなんて、珍しいですわね。」


「僕だって、そう言うときはあるよ」


「そうですわね。」


会場を眺めていると、東鵺とウェールズ公が挨拶をしていた。


「このまま終わればいいのですけど。」


「……大丈夫だよ。」


暫く様子を見ていると目がいっさい笑ってなかった。


さっきまでの好少年のの外面はどこに消えたのかしら?


「…………東鵺、怒ってないかしら?」


「……彼は自分のとこ以外には、怒るだろうけど公の場では耐えるよ。」


「……なんだか心配ですわ」


「大丈夫だよ。東鵺を信じて見ていればいいよ。」


「東鵺の事に関しては信用しているわ。心配なのは、ウェールズ公子息の方よ。自業自得だと思うのだけどね。」


北翔さんは、ぼそりと呟いた


「………そっちを気にするのか」


「ごめんなさい、聞こえなかったわ。もう一度言ってくれるかしら。」


「……主催者に泥を塗る前に、東鵺を回収しに行こう。」


「えぇ。そうですわね。」


◆◆◆◆◆


南朱と北翔が挨拶を終え二人で談笑していたとき


チッ。胡散臭い笑みを浮かべて


『これはこれは、青龍寺様 ようこそ えんどはるばるお越しくださいました。本日主催を努めております。 アレサンドロ・ラジェル・ダウク・ウェールズ と申します。それでは御ゆっくりと──』『そちらの方々はご紹介してくださらないのですか?』


『おお!そうでした。あちらにいるのが妻のマリアでその横にいるのが息子です。』


『お初にお目にかかります。青龍寺 東鵺と申します。これからも共に繁栄していきましょう。』


『もちろんです。お互いに支え合っていきましょう。では、失礼──』『俺は、アドリフ・ラジェル・ダウク・ウェールズ だ。』


どうでもいいんだけど


『そうですか。これはご丁寧にどうもありがとうございます。』


『南朱嬢に先程ファーストダンスを申し込んだからな!!』


こいつやっぱり馬鹿なんだな。エスコート役の北翔がいるのに、何故お前が南朱とファーストダンスを踊れると思うんだ?それに、セカンドダンスは婚約候補者が他にいる場合はその人と踊るのがマナーだ。


『それで、彼女はなんと仰ったのですか?』


あいつなら無視するだろうな。まぁ、しつこかったら北翔が対処しただろうしな。


『……ああ!もちろん返事をしてくれたさ!!』


『……』


はあ?返事を返すわけがないだろう。あいつはマナーを重んじる。


東鵺が呆れてものを言えず、沈黙で返すと


『それはもう!頬を紅く染めて目が潤んいたぞ!!』


……こいつの目は節穴か?それに、頭の中はお花畑なのか? 南朱が公の場で、表情を相手に読ますことはいっさいないぞ。大4家や世界中の王侯貴族・商売人 よりも感情を隠し人当たりの良い笑みを浮かべる。俺達や家族・親類でも分からないと言っているのに、なに馬鹿なことを言っているんだ?


ウェールズ公の方を見ると、笑みが引き攣っていた


『アドリフ。そろそろ次の方のところへ行くぞ。』


『親父は、母上と共に挨拶回りに行けば良いだろう!俺はこいつと話がある。』


『アドリフ!』


『私も、彼にはお話がありますので大丈夫ですよ。』


『申し訳ございません。暫くの間お願い致します。このご無礼とご恩は後にお返しいたします。』


『気になさらないでください。』


『では、失礼します。』


『ここではなんですので、端によりませんか?』


『ふん!そうだな。』


二人はテラスにつくと話始めた


『それで?本当の目的は何ですか?』


『さっきも言ったように、南朱嬢を手にいれることだ!』


『そのために、婚約候補者に入れろって言うのでしたら無理ですよ。』


『なっ 何故だ!!』


『私たちで決められることではないのと、これを決めたのは朱雀大路家の亭主ですからね。』


『お前らが口添えしたらどうにでもなるだろう!!』


『なるかもしれませんが、こちらに利益がない。』


『俺が継いだら贔屓してやるよ!』


『これ以上は要りません。それで?何故彼女にこだわるのですか?』


『南朱嬢は、南西スーザンのパイプを持っている。』


はっ?南朱は、近隣諸国のパイプしか持ってないはずだ。真反対に近い国のパイプを持っねぇぞ。人違いなのか?


『人違いでは?』


『いいや!機密に調査した結果あいつは、───『お二人でわたくしの噂ですか?』


公の場でも学園でも聞いたことのない無機質の声に


『誰だ!』「……南朱?」


二人同時に振り返ると蠱惑の笑みを浮かべている。


そんな南朱の姿を見て背筋に嫌な汗が流れた。頭の中では近付くなと警戒している。


な なんだ!?俺は、何か南朱を怒らすことをしたのか?それとも聞いてはいけない何かを聞いたのか?


『南朱嬢!!俺を探し──』『アドリフ・ラジェル・ダウク・ウェールズ 様。少し静かにいておいてくださいませ。』


「東鵺。あまり困らせてはいけませんよ?」


「…こ 困らせてなどいない。」


「あら?そうだったのですね。」


『アドリフ・ラジェル・ダウク・ウェールズ様。女性の秘密を調べるだなんて品性を疑われますわよ?それに女性は、秘密が多ければ多いほど魅惑的に見えて美しいものですわ。』


『そうだな!後から暴いていくのも面白そうだな!』


こ こいつやっぱり頭の中はお花畑なのだな。こんなに、感情のかの字も見せない南朱を始めてみた。


「南朱さん。伝えてきたよ。」


「ありがとうございます。北翔さん」


「?何を伝えたんだ?」


『興醒めしましたので帰られて貰いますわ。婚約候補者に関しましては、近々正式にお断りさせて貰いますわ。』


今、南朱の言葉に棘が山ほどあった気がする。


北翔に南朱はエスコートされ会場からでると 北翔の手を放し一人で歩き始めた。


俺は小声で


「なぁ、俺何か怒らす事言ったか?」


「……今日は、いつもと様子が違ったから分からない。」


迎えのリムジンが微かに見えた辺りで、南朱はクルリと方向を変え


「東鵺と北翔さんは、まだ帰らなくて良いわ。パイプ繋げや、情報交換してくださっても構いませんわ。では、お先に失礼いたしますわ。」


「……」

「……」


このとき、南朱のうしろ姿は有無を言わさない圧を感じた。


南朱がリムジンに乗り姿が見えなくなってから会場へ戻る際に


「あいつ、俺達に何を隠しているんだ?」


「僕達だって、彼女に隠していることがある。」


「それはそうだけど……。あんな アイツを始めてみた。」


「………そうだね。あの話は、もう触れない方が良いだろうね。」


「……ああ。」


今日の恐怖は絶対に忘れないと思う。


◇◇◇◇◇


東鵺と北翔さんの姿が見えなくなってから


「新月。向かってちょうだい。」


「了解。だが、その姿で行くのか?」


「大丈夫よ。この下に着込んでいるから脱いだら、いつもの姿よ。」


「……準備万端だな。」


「今日中に終わらす予定だったからね。」


「あの坊っちゃん達可愛そうだったな。」


「あら?仕方ないじゃない。抜け出す良い口実だったんだもの。」


「へいへい。」


「それで?着くまで何れぐらいかしら?」


「飛ばすから20分弱だと予想される。」


「了解よ。状況は?」


「手はず通りに進んでいます。」


「……そう。」


ドレスを脱ぎ簡易な服装になると大雅が使いやすいように短剣を仕込んでおいた。



激動の夜が幕を開けた


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