ペンダント
それから3・4時間後、何事もなくアイランド国の空港に着いた。
「南朱お嬢様。こちらのお召し物を。」
ばぁやが毛皮のコートを持ってきた
「あら?そんなに外は寒いのかしら?」
「ただいまの外気温は-23℃でございます。」
あっ!そう言えばここは、極寒の地だったわね。
「そうだったのね。ありがとう、ばぁや」
「いいえ。お嬢様第一ですから。さぁ参りましょう。外にお車を手配しておきましたので。」
「流石、ばぁや。」
「これぐらい出来て当然です。」
婆やが先導してその後を続くと
横にいた安物の上着を羽織った東鵺が
「おい、南朱。先に行き先ぐらい教えろっての!!」
「私、お教えしていませんでしたか?」
「聞いてねぇよ!」
「そうでしたか?北翔さん。」
相変わらず眠そうな北翔さんが
「……うん。何も言ってなかった。」
それにしても北翔さんは、きっちり防寒具を持って来ていたようですけど。
「それは、申し訳ありませんわ。今すぐに防寒具をお持ち致しますわ。」
「要らない。直ぐに車内に着くんだろう。」
「ですが、この先行動するには厳しいでしょうしね。」
後ろにいる新多《新月》に
「新多。東鵺に合う服装を準備してきて頂戴な。」
「……畏まりました。」
新多が買いに行ったのを見送りながら手配された車に乗った。
「さあさあ、お嬢様。このままでは、お風邪召されてしまいますよ。彼方にあるバスルームで、お体を暖めましょう。」
えっ!こんなところにバスルームなんて存在するの!?
「婆や。それなら東鵺が先に入った方が良いわ。ずっと薄着だったのだからね。」
「お嬢様!お忘れになられたのですか? 大4家は、レディーファーストが主流と言うことを!」
あぁ~なんかそんな話どっかで聞いたことがある気がする
「分かったわ。それでは、お先に失礼するわね。」
車内の奥には本当にバスルームが存在していた。
嘘でしょう!本当に存在しているのね。あれだけ物語を外れていても貴族らしさは、おりがみつきなのね。
「さあ、お入りくださいな。」
「えぇ。」
南朱がバスルームに入ると婆やも入ってきた
「ば 婆や?私一人で入れますよ。」
「存じておりますよ。」
「それなら、外で待っててくれる?」
「久しぶりに婆やが綺麗にして差し上げます。」
「いや、結構だからね。」
「いえいえ。婆やの生き甲斐を取るのですか?シクシク」
嘘泣きをし始めた婆やに
「分かったわ。婆やお願い。」
「畏まりました。お嬢様。」
この羞恥を堪えればさっさと終わるはずよね。早く東鵺をお風呂に入れないと、風邪を引いてしまうわ。
それから暫くして、婆やにマッサージまでしてもらい何故か紅色のAラインドレスを着ていた。
彼らのもとに戻るなり
「お前、何故ドレスを着てる?」
「それは、私が聞きたいぐらいよ。」
「……そのドレスも似合ってる。」
「ありがとうございます。北翔さん」
「さあさあ、次は東鵺坊っちゃんの番ですね。湯あみが終わりましたら隣のマッサージ室までお越しくださいね。」
「俺も着飾れるのか!?」
「何を言っておりますか。ただいま向かっています所は、朱雀大路家傘下の一つで本日の夕方から舞踏会が開催されます。そこで、南朱お嬢様は当主代理で参加。
東鵺坊っちゃんは、青龍寺家 時期当主としての出席。 北翔坊っちゃんは、南朱お嬢様のエスコート役をやっていただきます。」
「はあ!!」
「キヤッ!」
驚いてしゃがみ込んだ南朱を北翔さんが背中をさすり落ち着かせた。
「悪い。南朱」
「いいえ。大丈夫ですわ。」
「東鵺。先にお風呂行ってこれば」
「……分かった。」
婆やが南朱に紅茶を渡し耳元で
「これは、婆やからのプレゼントです。」
と言って、朱雀の模様が入ったペンダントを胸元に着けて行った。




