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モブヒーロー ~モブで視る英雄譚~  作者: 甲田ソーダ
第五章 ~モブの危機~
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モブの回復

俺が元の場所に戻ろうとすると周りから気配を感じた。俺が戦闘態勢に入るとすぐに三体の化け物が飛びかかってきた。


「さてと……さっきのお返しといこうか」


化け物の一体が他の二体と比べものにならないほどの速さで最初に飛びかかってきたが、俺はそれをあっさり躱すと剣を上向きにした。相手の右腕の付け根が刃へと接近し、当たる直前で俺は魔力を込めた。


ジュッ!


肉が焼けるがすると、腕が地面へと転がった。にもかかわらず化け物は顔を変えることはなかった。


ああ、そういえば痛覚をなくしたとかそんなこと言っていたっけ? って、おっと。


後ろから遅れて二体が攻撃してきたが、足下を爆発させて俺は空中へと飛んだ。空中で一回転してから前を見ると、そこには化け物達の姿はなかった。俺はとっさに耳を澄まして相手のわずかな音を聞いた。


……草の音がしねぇ。つまり……


「上か!」


俺が上を見上げると三体の姿が見えた。二体は俺に飛びかかり、もう一体は空中で羽を使って飛んでいた。俺は後ろへ下がり二体の攻撃を躱すと、空中から白い羽がものすごい勢いで降り注いできた。


「チッ! うぜぇ攻撃だな!」


俺がバク転や側転などで攻撃をアクロバティックに躱している中、着地した二体の内の一体が口を大きく開けた。


……! なっ! これってまさか!


口の中へと膨大なエネルギーが集まっていくのを感じた。この攻撃を見るのはこれで何回目だろうか。


「ガァァァァァァァァァ!」


ドラゴンブレス―――本来ドラゴンだけが使える技である。その息はあらゆるものを灰にするものである。だが、今回の威力はドラゴンブレスの域を超えていた。この攻撃を喰らえば灰すら残らないことが瞬時にわかった。


チッ! この際しょうがない!


俺は熱耐性を自分にかけてすぐ、腹の近くで爆発を起こした。爆風で俺は軽く吹っ飛びブレスを躱すことができたが、上から降り注ぐ羽にはいくつか当たってしまっていた。


「……っ」


痛がっている場合ではない。着地地点に腕を負傷した化け物が走ってきていた。


こいつら……、化け物になっても知能は残っているかよ……。いや、戦闘のための知能を植え付けられたのか? どちらにしても、なかなか厄介だな……。


空中で上から降り注いでくる羽を剣で弾きながら、地上にいる砲撃台を見て、それから着地地点にいる敵を見た。砲撃台は次のブレスのための準備をしていた。


「悪いけど、そんな簡単に俺が負けるわけにはいかないんだよ」


俺は羽を弾くとき、剣を盾のようにするのではなく、あえて一度だけ斬るように羽を弾いた。その瞬間俺の体を羽が貫いたが、その行動の意味がすぐに結果に表れた。


俺を貫いた羽はそのまま着地地点にいる敵へと向かい、獣の足を貫くと、敵は獣の膝を地面へとつけた。


痛みがなくても神経を切られれば動けなくなるのは普通だよな。神経がなかったら、そもそも体を動かすことが出来ないのだから!


だが、それだけではなかった。着地地点の敵に羽をぶつけるだけなら剣を振る必要はない。俺の本当の目的は敵の撃破だ。俺が下を向いていると、空中で爆発が起こった。すると、羽の雨は止み黒焦げになった二つの物体が遠くに落ちてきていた。


「この技を使ったのは久し振りだな。結構魔力をもっていかれるから普段は使わないからしょうがないけど」


空間を斬り、そこから大爆発を起こす技。かつて【アーマーソルジャー】を一掃するときに使った技だ。そっから【アーマーマン】が現れて大変だったがな。


そのとき、下からブレスの準備を整ったらしく口を大きく開けている砲撃台が見えた。


「それと……俺の着地地点にいても意味がないぞ。それは少し考えればわかることだろ、さっきも同じようなことをしたんだから」


俺はブレスが飛んでくる前に爆発を起こした。空中で方向転換をすることで俺はブレスを躱すことができた。


ドラゴンブレスより威力が強くても、口が小さいから攻撃範囲が狭いぞ。そんなんじゃ、あのドラゴン達には及ばない。


俺は着地と同時に片足が使い物にならず、動けなくなった方へと向かった。俺に必死に攻撃を当てようとしているが、片足での攻撃だとさっきまでの速度を出せていなかった。


「足だけじゃ勝てないことを知れ」


俺は首へと剣を当て、上へと振り上げた。肉の焼ける音がして、動かなくなった。そこからすぐに後ろを向き砲撃台へと向かっていく。砲撃台はブレスを止め、素手で戦うことにしたそうである。


はぁ……、普通こういうときは逃げるはずなのに、そういう知能というか本能かな? それまでなくしたのか……。まったく、科学者は戦闘兵器は作っても、戦闘に仕方を知らないから困るよな。


痛みを感じないとしても、俺はできるだけ痛みを感じさせないように俺は首を焼き斬った。そうして俺の(腹痛という)長い戦いと(今の)短い戦いは終わりを告げた。


にしても、今更だがもしかしてカレンを作った科学者ってあの……え~っと、ルバ……ルバ……たぶん、うんシルバーでよかったはず、まぁそのシルバーじゃないか?


少なくともヘイゲルが前に言っていた科学者で間違いないだろう。となるとやはりカレンを助けるのは主人公であるジンだということだ。主人公は相変わらず大変そうだけど、こっちは戦闘以外でいつも疲れている。


……にしても、今回俺達にまったく情報が入ってこないまま戦闘に入ってしまった。なんかさ……やっぱり情報がないまま事件の中心部に入っている時点で俺ってモブだよな。


そんなことを考えながら俺は歩いていた。

















それより、どこに行けば俺は帰れるんだ?



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