壊れたモブ
そろそろ投稿ペースが遅くなるかもしれませんが、できるだけ一日一話を目指して頑張ります!
結局俺は不安を拭い去れないまま、また山を登っていた。さらに今回は荷物が重すぎてなかなか馬車が進まず、俺達が押すことになっていた。
「ジン、もうちょっとゆっくり歩いてくれ。後ろの奴らが追いついていないんだ、すまん」
「いえ、俺は荷物を押していませんししょうがないですよ」
……なんだよその下から目線のように聞こえる上から目線は。な~にが『しょうがないですよ』だ。言っとくけど俺の方がまだ強いからな……って俺は信じてる。あっダメだ、これは絶対俺の方が弱い感じの言い方だ。
ジン達は荷物を襲ってくる魔物の対処ということで、先頭を歩いていて、ソルドは皆の動きを見れるように真ん中を歩いていた。もちろん、二人とも荷物に触れていない。
なんで、この中で相当な戦力であるはずの俺が荷物を押す係をやっているんだ……? ソルドの野郎……、久し振りの出番だからって調子に乗りやがって……!
「すいません……、荷物が重すぎて……」
商人が前の馬に乗りながら、後ろに向かって言ってきた。ちなみに話を聞いたところ今日は本来もう一人が来るはずだったのだが、予定が入ったやらとかで来られなくなったらしい。それにしてもこの荷物の量はおかしすぎる。
「いったん休みましょうか。皆さんお疲れのようですし……」
商人がそう言うと皆―――特に荷物を運んでいた冒険者達は嬉しそうな顔をした。俺は他の奴らの力がないおかげで他の奴らの倍は疲れていた。こいつらもっと鍛えた方がいい、俺が楽するためにも。
「皆さん……お疲れでしょう。どうぞこれを……」
商人はそう言うと紙コップを馬車から取り出し、お茶を入れて渡してきた。それと同時にカレンが俺のところに来た。
「どうしたんだ? 何か俺に用か?」
カレンは何やら四角い風呂敷に包まれたものを俺に差し出してきた。少し気の毒そうな顔をしているように思えるのは俺の気のせいだろうか。
「エット……、コレ……『アイシア』ト『ミレア』カラ……」
「なぜだ~~~……!!」
待て待て待て待て! これはもはや言わずともわかる最悪の弁当じゃないか! ふざけんな! こんな料理食べたら俺は一体どうなってしまうんだ!?
俺が青い顔をしているとカレンが気まずそうに口を開いた。
「ナンカ『シルヴィ』ニハ負ケラレナイトカデ二人デ協力シテ作ッタソウデス……。普通ニ渡シテモ受ケ取ッテモラエナイトイウコトデ私ガ代ワリニト……」
当たり前だ! 誰がそんなもの受け取るんだよ! しかも二人で協力して強力にしただと!? 断固拒否するね! 言っとくけどこんなもの俺が食べるわけないだろ!
俺がカレンに拒否の意を示そうとしたときカレンが追い討ちをかけるように言ってきた。
「アト『モシ食ベナカッタラ、【ホーンラビット】デ作ッテアゲル』ト言ッテイマシタ……」
クッ……。【ホーンラビット】様を脅しに使うとはなんて罰当たりな! ……仕方ない、食べてやるよ。俺の【ホーンラビット】様にかける思いはこの程度ではないことを証明してやる!
俺はそう思いながらも腕をおそるおそる伸ばし、弁当に触れた。それから俺は風呂敷を外し、弁当箱を開けるとそこには前に経験した見た目は普通のヤバい料理があった。これ断言!
「……ゴク」
やべぇ……。唾液が止まらねぇ。俺はオルウェンのように【危険察知】の魔法は使えないが、これは俺の本能が反応している……。食べたら『死』と……。
どうやら俺の生存本能がビンビンに反応している。毒物をあり得ない量の唾液で消化しようとしているのか、はたまた唾液を大量に出すことで口の中に何も入れさせないようにしているのか、俺の口の中は唾液で埋め尽くされていた。
「これを食べなければ【ホーンラビット】様が被害を受けるのだぞ! 食べるしかないだろ! 何をぐずぐずしてんだよ! 食べろ、俺ーーーーーーーーーーーーー!!」
俺はついに悪魔の料理と対決しようとしたその瞬間!
「……すみません! マジで無理です! ごめんなさい【ホーンラビット】様!」
俺は神を犠牲にすることにして、土下座した。するとそのとき馬車から何かが飛び出してきた。
「……! なんだ!?」
俺が馬車を見ると、そこには羽の生えた人や、足が獣みたいになっている人達がいた。彼らは俺達が状況を理解する前に動いた。
キルェェェェェェェェェェェェェェェ!!
ガァァァァァァァァァァァァァァァァ!!
彼らは人とは思えない叫びを上げながら地面を踏みつけた。すると足場の岩にどんどんひびが入っていき、俺達を二つに分けさせた。
「! ジンの野郎は!」
俺はジンのいる方向に素早く目線を送ると、そこには歯を食いしばっているジンがいた。さらに周りを見ると皆同じような状態であった。
……! まさか麻痺か! さっき渡されたお茶の中身か!
俺を含めた半分以上の冒険者が落ちていき、同時に敵と思われる奴らも飛び降りた。俺はすかさず戦闘態勢に入ろうとして、上を見るとそこにはあってはならないものがあった。
先ほどの悪魔の料理である。
「あ!? 待って! これはホントにマジュイッ!」
俺の顔面に弁当があたり、口を開けた俺の中にこの世のものとはガチで思えないものが入ってきた。この味を具体的に言うのなら……
甘くてしょっぱくてすっぱい、後からくる辛さが一段と不味さを強調していて、こんな状況なのに俺の下半身が元気になり始め、今だったら女性|(幼女でも可)を襲ってしまうような気持ちになり始め、もうなんだったら男性でもいいや。ヘイゲルとでもよくなってきた。誰か俺と一緒に!
他にもいろいろあったが、そこで俺の理性は完全にぶっ壊れた。
「アハハハハハハハハハハハハハハハハハ!! 誰か俺と『ピーーーー』してーーーーー!!」
そう言って俺は気絶した。後にこれは俺の最悪の黒歴史になる。
こんな料理を作る方が難しい……




