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モブヒーロー ~モブで視る英雄譚~  作者: 甲田ソーダ
第五章 ~モブの危機~
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二人のストーカー被害

PV累計30000突破しました!

「それで、結局その作戦はいつ行われるのですか?」


シルヴィの問いにオルウェンが答えた。


「わかりません。まだ何も決まっていませんから」


わからないって……。お前参謀役じゃねぇか……。大丈夫なのか、こんなんで……。


ヘイゲルはそれよりも気になることがあるそうで、オルウェンに尋ねた。


「俺達ガ討伐隊ニ加ワッテ大丈夫ナノカ? 作戦ガ何モ決マッテモナイノニ、俺達ノ参加ガ決定シテイルケド……」

「大丈夫です。きっと役に立ちますよ、あなた達の力は」


そう言うとオルウェンは笑った。俺としては役に立つかどうかもわからないのになぜ参加が確定しているのかが気になるところだが、オルウェンの【危険察知】に間違いはないだろうという絶対的な信頼があったので、何も言わないことにした。


「それよりエリク様朝は何も食べておられないのですね?」


なんでわかるんだよ……。確かに今日は冷蔵庫に何も入っていなくて食べられなかったけどさ……。


「簡単です。エリク様の匂いを嗅ぐだけですべてわかりますから。ちなみに昨日の朝はパスタを食べて、一昨日はカレーでしたね。それから……」

「さすが、師匠!」


や、やべぇ……。匂いで俺の私生活がバレるとまでは予想していなかったぞ……。


「エ、エリク! これ以上はリーランを暴走させないでくれ!」

「俺だってしたくてしているわけじゃねぇよ……」


俺とオルウェンはお互いにこのストーカー達をなんとかしたいと思っていたが、リーランはともかくミレアは絶対に止まらないと俺は知っている。ミレアが止まらない=リーランも止まることはないので俺達に逃げ場はないのだ。


「師匠! オルウェンは身体を洗うとき最初に右腕から洗うんです!」

「そうですか。しかしまだまだですね。エリク様の場合は左腕から先に洗います

が、そのときタオルにつける石鹸の量は2.5グラムですよ」


俺とオルウェンはそれを聞いて、鳥肌が立った。今の会話からわかることは一つ。この二人は俺達の風呂を見ていることになり、それはつまり俺達のあそこも見ていることになる。シルヴィはそれに気付いて顔を赤くしていたが、俺達は顔を真っ青にしていた。


……俺の入浴をどうやって見ているんだ。それに俺はそういうことが起きないように常に神経を風呂の際は張り巡らしているのに、その警備網すらこいつは突破できるのかよ……。こいつに暗殺とかやらせたら俺だったら死ぬな。


「エリク……。ここは本気でこの二人から逃げる方法を見つけないと、私達は私生活をこれからもバレてしまうぞ」

「そうだな……。お前はまだしも俺はもう手遅れかもしれないが……」


どうやったら石鹸の量までわかるんだよ……。まさか使った石鹸の重さを量っているわけじゃないよな……。


「量らなくてもエリク様の身体に付いている泡の量を見ればわかりますよ……」

「もう、やめて……。心の中も覗かないで……」

「オルウェン、大丈夫よ。それもいつか調べてあげるから」

「え……? まさか……、今私の心の中を……!」


どうやら俺とミレアの会話はこんな風に他から見ると聞こえるらしい。確かにこっちが鳥肌が立ちそうなくらいホラーに見えた。そこでシルヴィがさすがに二人を止めた。マジシルヴィは天使だな。
















ヘイゲルは用事があるとかで先に帰った。そこで俺はさっきから気になっていたことを聞いた。


「そう言えば今日はアイシアとリンはどうしたんだ? いつもだったらいるのに……」


俺は周りを見るが、二人が隠れているというわけではなさそうだった。そもそも二人が隠れる意味もないが……。それに答えたのは意外なことにオルウェンだった。


「あの赤い髪の女性と緑の子なら今日は孤児院で遠足だそうで、朝からいろいろ準備していましたよ」


俺はそれを聞いて、あることを思い出した。


「遠足ってまさかアイシアが料理するわけじゃないよね……」

「そこまでは知りませんが……」

「そうよ、アイシアが料理していたわね」


なぜかリーランが知っていた。オルウェンはそれを聞いて不思議な顔をしていたが、俺は大体わかった。大方オルウェンのためにオルウェンの周りの情報を集めていたのだろう。それは俺も経験済みだ。


「とにかく、それはまずいことになったな……」

「どういうことですか、エリクさん?」


シルヴィがそう俺に尋ねたので俺は前にあった出来事を話した。


「アイシアの料理は美味いんだが、変に新作料理を人に出すんだ。しかもそれが……うぇ」


俺は思い出しただけで具合が悪くなったが、それに追い討ちをかける奴がいた。


「料理を食べたのですか。そうですか、それなら私もエリク様の心を掴むような料理を……」

「お前の料理は別の意味で心を掴むやつだ……」


媚薬効果のあるやつだもんな。あれを抑えるのにどれだけ苦労したか……。


「私はまだエリクさんにご馳走していませんでしたね」

「オルウェン! 明日の朝食は私が作ってあげるわ!」

「大丈夫だよ……」


話がだいぶ逸れたがとにかく今はリンが危険だ。リンにあの料理を食べさせるわけにはいかない。その悲劇を起こさないように俺はその遠足について行かなければ!それといつかシルヴィの料理は食わなければ……。ミレアのはこの先一生食べなくていいです。


「幸せな気持ちになりますよ」

「その後最悪な状況になるんだよ!」


それから俺はギルドを出て、孤児院へと向かった。オルウェンもついてきて、その後ろをリーランがついてきていた。マジストーカー怖ぇ……。



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