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モブヒーロー ~モブで視る英雄譚~  作者: 甲田ソーダ
第五章 ~モブの危機~
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『蒼い烏』討伐部隊の集会

「エリク! なんとかしてくれ!」


オルウェンが珍しく俺に泣きついてきた。こいつがこうなるのはかなり貴重であり、俺は少し気持ちがいい。


「なんとかって……。無理に決まってるだろ。つうかなんで俺に聞くんだよ?」

「君がそもそもの原因だし、君の方がこの対処方法について知っているはずだ!」


いや、俺の所為じゃないだろ……。すべての原因はミレアにあると思うんだけど……。


「私をその気にさせたのはエリク様でございませんか」


なんだその言い方、俺がお前を口説いたみたいじゃないか……。あと俺の心を読むな。これ何回言えばいいんだよ……。


「オルウェン! あなたの顔をよく見せて! 私があなたのことをすべて暴いてみせるから!」

「お願いだ、リーラン! 正気に戻ってくれ!」


ちなみになぜ俺が今オルウェンに泣きつかれているのかというと、リーランがミレアに弟子入りしてからリーランはオルウェンの考えを見通せるようになるための訓練をしているからだ。最近やっとオルウェンの襲い方をマスターしたらしい。順番が変だと思うかもしれないが、ミレアの考えていることを俺がわかるわけがない。というか知りたくもない。知ったら俺は発狂する気がしてならない。


「エリク! すべては君の所為だ!」


だから、すべての元凶はミレアだって……。


「それなら、その責任をエリク様が取ってくれませんか?」

「なぜお前の責任を俺が取らないといけないんだよ……」


そうして『青い烏』の前に俺達二人は自身の環境の心配をしなければならないのだった。
















それから俺達『青い烏』討伐部隊は城へ集まった。オルウェンの推薦でヘイゲル達傭兵も呼ばれることになった。実際彼らの能力はなかなか高い。使い方次第ではこちらに有利になると、オルウェンが気付いたのだ。


城の中では各国のAランカー冒険者や騎士団長が揃っていた。ほとんどが二年前に活躍した猛者達である。オルウェンはレギンを見ると、二人で話し始めた。今回の作戦の参謀もあの二人がやるのだろう。俺が辺りを見渡すと二年前にいなかった人もちらほらいた。その中には俺の知っている人達がいた。


「ジン! お前もうAランカーになったのか! たいしたものだ! 私も『蒼い烏』と戦うのは初めてだが、お互いに頑張ろうではないか!」

「カタリヌさんはまだしも、俺とミーシャはつい最近Aランカーになったばかりで、他の皆さんと比べれば足手まといにしかならない気がしますが……」

「……ジンは私が守る」


それは普通ジンが言うべきことではないか……。にしてもあいついつの間にAランカーになったんだよ……。こいつ、つい最近冒険者になったんだよな……。にしては早すぎだろ……、さすが主人公なだけはあるな。


ジンのあまりの躍進ぶりに俺は感嘆していた。そのときオルウェンとレギンが俺のところに来た。


「やぁ、君がシノイ=エリクだね?」

「確認しなくてもそっちは俺を知っているだろ。俺もアンタを噂程度に知ってはいるし。あっ、だからといって自己紹介はいらないから。面倒くさいし」


俺がそう言うとレギンは笑った。俺はその笑いがいかにも俺を知っているような感じがして、ちょっと怖かった。どうもミレアを思い出してしまうからだ。


「オルウェンから聞いていたとおりの人だね。それに何回か君の戦闘を見たことがあるけど、魔力操作に関しては君が最も優れている」

「嫌みかよ……」


その言葉に二人は笑った。そうしていると各国の国王が姿を現した。そうして見ると俺達の国の王はなかなか威厳があるように見えるが、あれで冒険に憧れているとは誰も思わないだろう。


「よく集まってくれた! 今回集めたのは他でもない、もう知っていると思うが『蒼い烏』が動き始めた件についてだ」


その言葉に驚く者は誰一人おらず、気を引き締める者しかいなかった。それを見た国王は言葉をそのまま紡いだ。


「今からその『蒼い烏』討伐の指揮を執る者を発表する! といっても前回と全く変わらない。レギン、オルウェン、君たち二人に任せるとする」


国王がこちらを見るとレギンとオルウェンは敬礼をした。その隣でいかにも他人ですと言うように俺は拍手をしていた。


まぁ、実際俺とレギンは他人だよな……。


それから二人は前に出ると皆に挨拶をした。


「この度、指揮を執ることになったレギンです。僕は基本的に戦略を担当しますが、戦術を担当するのはオルウェンです。あまり長く話すのも悪いので、最後にこれだけを言わせてください。皆さん『蒼い烏』の強さを甘く見ないでください。彼らは監獄に入っていたとはいえ、かなりの実力をつけています。前回のことを忘れて挑んでください。そして今度こそ彼らに終止符を打ちましょう!」


レギンがそう言うと会場には大量の拍手が響いた。俺も握手をしながらこんなことを考えていた。


……『戦略』と『戦術』の違いってなんだ?


するとミーシャがジンに言った。


「……ジン、『戦略』と『戦術』の違いって何?」


その質問にジンは固まり冷や汗を流しながら動かずにいた。


……なんか、急に不安になってきたな。つうかよくこんなんで俺達二年前勝てたな……。


オルウェンが帰ってきた後俺はさっきの質問をぶつけると、俺を可哀想な目で見てきた。めちゃくちゃ腹が立ったので、城を出た後俺はオルウェンを殴ろうとしたが、【絶対障壁】によって防がれた。超痛かった。後でリーランにオルウェンを襲わせてやろうと思った。



ちなみに皆さんは『戦略』と『戦術』の違いを知っていますか?

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