表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
モブヒーロー ~モブで視る英雄譚~  作者: 甲田ソーダ
第四章 ~モブの扱いがひどくなっています~
77/149

モブに似た者達

とりあえずこれで第四章終了です

結局俺達は昨日も泊まっていって、今日の朝ここに来た冒険者達にエルフ五人を加え、俺達は王都へと帰ることになった。昨日の一件で皆の身体には傷が残っていたが、どうやら自分たちが里を救ったことにテンションがありえないぐらいに高まっていた。


お前ら何もしてねぇのになんでそんなはしゃげるんだよ……。そもそもお前ら最初怖じ気づいて行動不能に陥ったのを俺が活入れてやったんじゃねぇか……。


「なぁ、アンタ」


後ろから呼ばれて振り返ると、ベルンハルドがいた。ちなみに名前を覚えるのが早いと思うかも知れないが、自分と同じ考えをしている人ならすぐ覚えれる。


「アンタは俺と同じ面倒くさがりやだろ? 俺と同じような考えをしている奴を見るのは初めてだからな、少し話をしたいと思っていた」

「それは俺もだ。ベルンハルドはいつから面倒くさがりやになったんだ?」


誰しも最初から面倒くさがりやではない。俺以外の奴から話を聞くのは新鮮で、自分が異常ではないと証明できて結構うれしいものだ。


「俺は別にきっかけはない。でも実力があったからいろいろ雑用やら何やらやらされた。たぶんそれが積み重なっていく内にやる気が失せてきてこうなった」


わかる! それよくわかる……! ホント、なんで実力があるからって仕事を押しつけられなきゃいけないんだよ。ましてや俺はギルド内で唯一のAランカーだからもう面倒くさいったらありゃしない。


「それとアンタの名前ってエリクでいいのか?」

「ああ。あってるよ」

「なら、俺の名前はハルトでいい……」

「了解」


そう言って俺達は王都に着くまでずっと二人で話していた。何回かリンがこちらを見て、俺に話しかけようとしていたが俺はハルトとの話が面白く、リンには悪いが無視してしまった。ほら、やっぱり俺はロリコンではない。トカゲ野郎の言葉は嘘っぱちだ。


「貴様、トカゲ野郎とまた言ったな!?」


だから、なんでお前とミレアは俺の心の中がわかるんだよ……。
















王都に着くと俺達冒険者はギルドに寄った。依頼完了の報告だ。ちなみに俺は報告していないよ、全部ジンがやってくれた。なんかそう言うと俺がジンをパシリに使っているみたいだな……。


「お帰りなさいませ、エリク様」

「うおおおおおぉぉぉぉーーーーー!!」


俺は後ろから声をかけられ、身体が思わず逃げ出した。もはや声で誰かを認知する前に俺の身体が逃げるようになってしまったらしい。ギルドを出るとついさっき別れたばかりのオルウェン達がいた。


「エリク? どうしたのですか? いきなり奇声をあげて……!?」

「? どうしたのよ、オルウェン? いきなり顔を真っ青にして……」


どうやらやっとオルウェンの【危険察知】が反応したようだ。だが、それは手遅れだった。こいつが察知できないほどの危険がまさか人とは思わなかった。


「エリク様、まさかまた変な人を連れてきたのではございませんよね?」

「お前が一番変で怖いんだよ!」

「エリク……、私達はここで失礼させてもらうよ……」


オルウェンがそう言って、移動しようとしたとき俺はオルウェンの肩を掴んだ。オルウェンがこちらを振り向くと、顔が真っ青になっていた。


「エリク……この手を放してもらえないかな……」

「こいつの恐怖を体感していこうぜ……!」

「む、無理です! これは恐ろしく無理です!」


その恐ろしいのに目をつけられている俺の気持ちがわかるのかお前に!?


「恐ろしいとは誰のことですか、エリク様?」

「お前だよ!」


クソッ! オルウェンの野郎珍しく頭が働いていない……! こいつがここまでなるほどミレアはやばいのか!?


すると、オルウェンの後ろからリーランが顔を出した。その瞬間あのオルウェンが慌ててリーランに話しかけた。


「ダメだリーラ! 彼女と会っては!」

「? 何言ってんのよ?」


……? こいつ、ミレアに恐れているのではないのか? 明らかにリーランを怖れているように見えるが……まさかな……。


「何がまさかなんですか、エリク様?」

「だからなんでお前は俺の心を読むの? あれほど言ったじゃねぇか……」

「この二日間エリク様に会えなかったのですよ? そろそろエリク様の匂いが切れ始めるころでしたし……」


なんか、おかしいな……。こいつ俺がいない間、俺の匂いを嗅いでいたとかそんなことを言わなかったか? まるで俺の家に上がり込んだみたいな……。


「はい。エリク様の布団に鼻をこすりつけました。もしかしたら私の匂いがついちゃったかもしれません……。よかったですね」

「何が!? お、お前……! つ、ついにそこまで……!」


そんなときリーランがミレアの肩を掴んだ。さすがに今の行為を同じ女として見過ごすわけにはいかないのだろう。ものすごい形相であった。


「師匠と呼ばせてください!」


……あれ? なんかおかしくね?


俺はオルウェンの方を見ると、オルウェンは気を失っていた。


……! まさか、ミレアを見る前の【危険察知】で見たのは、ミレアに教育させられたリーランだったのか!? あの真面目そうなリーランがミレアみたいになるのか……? いや、真面目だからこそかもしれないな……。


「まず、意中の相手を仕留めるにはその相手を四六時中見ること。あと顔の表情をすべて覚え相手が何を考えているのか瞬時に判断すること、それから……」


……なんだろう。普通は止めるところなのにあのオルウェンが俺と同じ苦しみを味わうと思えばなんかこのままにしておきたい気分になってきたぞ……。


そうして俺は自分と同じ考えをもつエルフ、そして同じ悲劇を受けることになるエルフ二人を持つことになった。


……オルウェンは途中から気絶していた。俺よりも精神力が低いと思いました。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ