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モブヒーロー ~モブで視る英雄譚~  作者: 甲田ソーダ
第四章 ~モブの扱いがひどくなっています~
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エルフの『蒼い烏』討伐部隊+モブ

エルフの四人はこの状況の中、仲睦まじそうに笑って話していた。正確には一人怒っていたが……。


「やっと来てくれたか……。自己紹介といきたいところだけど、まずはあれを止めることが最初だ」


オルウェンがそう言うと俺達は『ペンドラゴン』を見た。


「へ~、あれってホントに動けるんだ~。よし、もう疲れたから帰ろう」

「だから、なんでアンタはいつもやる気がないのよ!」


おぉ~。あいつなかなかわかってんじゃん。あいつは結構俺と似ているかもな。それにしてもやる気がない理由なんて簡単だろ。


「「やる気を出さない方が疲れない」」

「アンタは~~~! って、誰今の声?」


俺とやる気のないエルフは目線を合わせた。そしてお互いにこう思っていたはずだ……。


……こいつは強者だ。


「それより相手の攻撃が来るよ。ほら撃ってきた」


オルウェンがそう言ったので振り向くと『ペンドラゴン』の突起からたくさんの光線が飛んできた。


俺はそれを回避しようと思ったところでオルウェンに止められた。オルウェンは【危険察知】でもう先の未来が視えているのだろう。


エルフの一人が前に出ると、魔力の気配が濃くなった。そしてそのエルフは腰を低くした。


「♪~♪~♪~♪~♪~」


何かのリズムをとりながら光線をはたき落とした・・・・・・・


「「なっナッ!?」」


俺とヘイゲルは驚きを隠せなかった。人が光を触っているのだ。それを驚かなくて何を驚くというのだろうか……。ちなみに今はたき落としているのは俺達の周りだけで、他の冒険者達は直ではないものの相当な被害を出していた。出番はもうないから問題ないだろう……。


「彼の能力は【固態化】―――あらゆる物体に形をつけることができます。彼に掴めないものはない。水だって一滴残らず持つことができますよ。そして光にも触れる。彼はそうやって落としているんですよ」


その言葉に俺はさっきの現象のすべてを理解した。俺の予想ではあいつが固態化させた光線をあとの三人が打ち上げたのだろう。


「さてと……そろそろあれを破壊してもいいよね?」


オルウェンに惚れているのがバレバレなエルフはオルウェンにそう言った。


「構いません。しかし並大抵の威力じゃあれを破壊するのは困難ですよ」

「わかってるわよ。だからここは何班にか分かれない? ひ、一人もなんだし二人くらいで……////」


俺が首を回すと残り戦えるのは俺達とヘイゲル達傭兵しかいなかった。


「ほう……! それなら私はヒュバリと組むね♪」

「僕はそれで構わないよ」

「オ、オルウェン! わ、私と……!」

「わ、わかったから……!」


そうしてエルフ四人は決まったが一人だけ決まっていないエルフがいた。俺はそいつを見ると、相手もこちらを見た。


「「……同士!!」」


こいつとは仲良くしていけそうな気がした。同族嫌悪という言葉があるが、ここまで似ていると嫌悪などはなかった。


「ナラ、俺ハ俺ノ仲間達ト組ムトイウコトデイインダナ?」

「ああ。そうしてくれると助かるよ。さすがに魔物を従えれる自信はないから」


そうして俺達は四つの班に分かれてすぐさま行動した。俺達は『ペンドラゴン』四方向を囲むような位置をとると、各自の班で攻撃し始めた。


俺は『ペンドラゴン』に向かって走り足を狙った。斬る直前に剣の熱を上昇させオレンジに光らせた。大きなダメージとはならなかったが装甲をわずかに溶かすことはできた。


俺の相方は遠くでいくつもの手裏剣を宙に浮かせていた。その手裏剣はものすごい速さで高速回転していて、円にしか見えなかった。それらはものすごい速さで『ペンドラゴン』の足に飛んでいき斬り刻んだ。あの硬い装甲が軽く斬れていた。


「ホント、すげぇな……! 俺よりもこういう奴をAランカーにするべきだぜ」


まったく……、Aランカーとしてのプライドが……。ん? Aランカー? そういえばここにはあと一人Aランカーがいたはずでは……?


「私を置いて話を勝手に進めおって~~~~!!」

「うおっ! ビックリした! カタリヌ……、お前いたんだったな……」

「私があの光線に苦戦しているときに勝手に話を進めているんではない!」


そういえばこいつあのとき周りにいなかったからあの光線を一人で対処していたのか……。そう考えるとやっぱりこいつはすごいんだな~。


そんなことをしているとカタリヌの方に足が動いてきた。それをカタリヌは一閃する。すると四発の斬撃が出てきて足の軌道をずらした。


「今のがお前の魔法か?」

「そうだ。私の魔法は【連撃】―――一度の攻撃で五回斬る魔法だ」


ふむ……なかなか便利な能力だ。実に羨ましい。


そんなことを考えながら俺達はひたすら足を攻撃していた。光線も向かってきていたが、足を盾にうまく躱し続けていた。そうしているうちに足が壊れてた。


さすがに二本の足が破壊されたことにより『ペンドラゴン』は動けなくなっていた。二本の足で必死に支えていたが、ついにバランスを崩し、胴体がついに地面についた。


「今だ! 各自胴体の破壊に移れ!」


オルウェンの声に俺達は笑った。そして俺は言う。


「胴体以外もう残りはねぇだろ!」

「……はぁ、君はホントに面倒くさい人だね……」



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