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モブヒーロー ~モブで視る英雄譚~  作者: 甲田ソーダ
第四章 ~モブの扱いがひどくなっています~
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動き出す古代兵器

俺達が話しているとリンとログニカがやって来た。二人は手をつないで歩いていて、仲直りしたのだろう。


「この人が『えりく』だよ!」


リンは俺を指差して言った。


「え? この人ってロリコンじゃないの?」


……。


俺は思わず膝から崩れ落ちた。やはり俺は誤解されていたようだ。違うと言っているのに……。


「貴様……、まさかそんな趣味だったのか……」

「おやおや……、やはりそうでしたか」


こいつら……! つうかオルウェン! テメェ、その笑いをやめろ! 見ているだけで腹が立つ。カタリヌにはもう絶対協力してやらないからな……!


「やっぱり、ログニカもそう思う……////?」


リン……。だんだんリンもおかしくなってきてないか……? なんかミレアに似てきたような感じだ……。ハッ! まさか、ミレアの奴の影響が!?


「ヘイゲル……、そろそろマジでミレアをどうにかするぞ……」

「今ノ流レデナゼミレアガ出テキタ!?」

「そういえばさっきから気になっていたのですが、エリクが怖れているそのミレアとは誰ですか?」


その言葉にカタリヌも頷いていた。それに対し、俺とヘイゲルは顔を暗くした。どうやらその顔を見て、オルウェンは相当やばい人だと気付いたようだ。


はっ、オルウェン……甘いな。甘すぎる……。お前は俺達の話を聞いた後、自分の間違いに気付けるぞ……。ミレアは予想を遙かに超える奴だぞ。


「どうした、貴様ら? 早く話さんか?」


カタリヌはどうやら自分だけでなく、周りにも疎いらしい。


「……あいつは、簡単に言えばストーカーだ。しかも俺のためなら、俺に危険を冒せるぐらいだ」

「例えば……?」


オルウェンがそう聞いてきたので、俺は思い出すだけでも鳥肌が立つ話をした。


「鍵を閉めた部屋に入ってくる。俺が目を覚ますと森の中にいた。Aランカー達が気づかないほどの隠密行動。家で目が覚めると俺の上に乗っていた。俺の考えていることが一言一句間違わず読み取れる。それから……」

「も、もういいです。十分わかりました。驚きました。私の魔法でも限界を越えるほどその人はまずいです」

「いやいやいやいや、まだだ。さっきのAランカー達の中にはあのレギンもいたんだぞ」


その言葉にオルウェンだけでなく、カタリヌも顔を真っ青にした。お前らはまだいいほうだ。俺はその加害者だぞ。あれはマジでどうにかするべきだ。


「リン……。この人マジでやばいよ。被害妄想だよ」


だからマジだっつうの! 子どもでもアイツを甘く見たら許さねぇぞ!


「大丈夫! わたしがきっと助けてあげるから!」

「そ、そう……」


『きっと』じゃなくて『絶対』にしてください……。


そんな会話をしていると、いきなりサイレンが聞こえた。


これはまさか……。まだ十時だぞ……。


俺とヘイゲル、オルウェンはお互いに頷くと、各自の行動に移った。俺とヘイゲルは『ペンドラゴン』のところまで走った。オルウェンはカタリヌに指示を出した。


「カタリヌさん、あなたは今からこの印のあるところに行ってください! そこに『蒼い烏』の精鋭達と連絡が取れる場所がありますので、そこで古代兵器と言えばすぐに彼らが駆けつけて来るはずです! 二人は私が避難させます!」

「は? っておい! 何がどうなっているんだ!?」


オルウェンはカタリヌに小さな紙を渡して、二人を抱えて移動した。カタリヌもとにかく行動することにし移動した。


俺とヘイゲルは走りながら戦闘の準備に入っていた。
















俺とヘイゲルが目的地に着くと、そこにはジンとミーシャ、それにカレンと焦った様子のエルフがいた。


「エルナ! 落ち着いて! 今君が行っても無駄だ! ここにはカタリヌさんや強いエルフがいるんだろ!? 彼らが来るまで待とう!」

「しかし、彼らが来るまであとどんくらいかかるのだ!?」

「そ、それは……。と、とにかく、今一人で行ってもダメだ!」


ジンは前カタリヌに言われたことを覚えているのだろう。カタリヌが言っていたことを繰り返していた。


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!


地面が揺れていた。冒険者達がだんだん集まっていた。そんななか、地下にある古代兵器が姿を見せていた。最初はその様子に感嘆をあげる冒険者もそのあまりのデカさに、何も言えなくなっていた。


カタリヌ以外の冒険者が全員集まったとき、『ペンドラゴン』は完全に姿を現した。それは夜に見たときと比べてはるかに迫力があった。


「……! まずい! 皆そこから離れろ!」


俺がそう言ったことに疑問を持つ人がいたが、その言葉の理由をすぐ理解されることになった。


『ペンドラゴン』は六本の足のうち、一本を大きく持ち上げると前へと踏み出した。そのときの衝撃で家は破壊され、人は軽く飛んだ。重心を低くしていたエリクやヘイゲルですら、吹き飛ばされそうな衝撃だった。


そんなとき中から気色悪い笑い声が聞こえた。


「ヒャハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!」


その声は人が軽く飛んだことに笑ったのか、それとも『ペンドラゴン』のあまりの力に笑ったのかわからなかった。するとさらに中から声が聞こえた。


「すげぇ! この力があれば俺は無敵だ! 冒険者ども安心しな! 『蒼い烏』なんてこの力があれば余裕で潰せるぜ! その代わりに俺が世界の支配者になってやるよ! ヒャハハハハハハハ!!」


その声は里中に響いた。


オルウェンの【危険察知】で見えた未来を変えるために俺達冒険者達は動くはずが、誰一人動く者ができなかった。



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