モブも怒る
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オルウェンの話を聞いた後俺は考え事をしていた。オルウェンは俺がなんというか待っていた。
「……なぁ」
「はい、なんでしょう」
オルウェンは俺の言葉に丁寧に返事をした。まぁこんな話をした後にふざける奴はいないだろう。
「今の話ってさ……」
俺は一回溜めて言った。
「俺にする話じゃなくね?」
その言葉にオルウェンは目を見開いた。俺が何を言っているのかわからないようだった。
「いや……、だって今のモブが聞くようなことじゃねぇし……。今の話はジンかもしくはヘイゲルに言ってくれ。俺にそういうのは求めちゃいけねぇよ」
俺間違ってないよな……? こういう辛気くさい話は俺には似合わんし。俺は皆でバカ騒ぎできてればそれでいいわけだし。……あ、ミレアは勘弁してください。アイツだけはマジで無理です。
「……く、くく、くくくく……!」
オルウェンは突然笑いだし、そんな俺はこういうときどうすればいいかわからなかった。オルウェンは一通り笑うと俺の方を向いた。
「ホント君は変わらないんですね。相変わらずのひねくれ者だ」
「それは褒めてなかったよな。何、喧嘩売ってんの?」
「だとしたら買わない方がいいかもしれませんね。買ったら私が勝ってしまいますし」
知ってるつうの……。俺はモブだぞ……。主要キャラクターに勝てるわけねぇだろ。
そんなことを考えているとリンとヘイゲルが来た。
「えりく、やっぱり一緒に遊ばない?」
「貴様ガイナイトドウモ面白クナイ。ヤハリ貴様ミタイナ『アホ役』ガホシイナ」
「そうかそうか、俺がいないとダメか~。あ、そうだ! ヘイゲルお前今から俺に斬られて死ぬか死ぬかのどっちかに賭けようぜ」
「死ヌノ選択肢シカナイデハナイカ。ソレニソンナゲームヲリンノ前デ言ウナ」
てめぇから俺に喧嘩売ってきたんじゃねぇか! ぶち殺すぞ、てめぇ!
そんなとき横からオルウェンが入ってきた。
「君はリンちゃんだね。君はここに何しに来たんだい?」
リンはオルウェンに言われると、俺の体の後ろに隠れた。エルフにやはりいい思い出がないのだろう。怖がっているみたいだった。
「わ、わたしは……、えりくとここに来たかっただけ……。わたしの故郷を教えたかっただけ……」
「……そうか。それじゃログニカに会いに来たわけではないんですね?」
ログニカという言葉にリンはビクッと反応し俺の服に込める力を込めた。
「おい、オルウェン……、面倒くさいからその話題はやめろ。俺を巻き込むな。巻き込むならヘイゲルにしろ。かったるい……」
「サッキカラ貴様、俺ニ対スル扱イガヒドクナイカ!?」
だってお前リンに好かれてんじゃん……。むかつくんだよな、目の前でリア充見るの。マジリア充爆ぜろ、トカゲ野郎♪
「貴様マタ『トカゲ野郎』ト思ッタナ!」
やはりヘイゲルはトカゲ野郎という言葉に敏感であることがわかった。だからなんだという話だけど……。
カタリヌと族長の話が終わったようで、俺達は広場に集められた。なぜかわからんがジンの隣にまたヒロインらしきエルフの少女がいた。あいつヒロイン作るの早すぎだろ……。
「族長の許可が下りた。これで私達のクエストはとりあえず終了だ。しかし、ここで帰るのもしのびない! 明日の昼頃帰ることにする! 私達が泊まる場所はここから見えるあそこの建物だ。以上、解散!」
カタリヌはそう言ったが、何やらあいつ何かを企んでないか? まぁ、大体予想はできてるけど……。
カタリヌは皆に言った後、迷わずこちらに歩いてきた。俺は皆が見えないようなところへ移動し、カタリヌが来るのを待った。カタリヌの俺に対する第一声は……
「ここら辺で何かデートスポットはなかったか?」
ほらな……、だと思ったんだ。つうか知るわけねぇだろ、俺だってここに来たのは初めてだよ。
「知るか。以上、解散」
「は? ちょっと待て! 貴様教えろ!」
俺は隣でずっと話しかけられていたが、ホントに知らないので軽くスルーした。するとカタリヌも諦めたのかジンのところへ走って行った。
「おい! あれ、アイツじゃないか!? 死神!」
その言葉に俺は思わず反応してしまった。戦闘態勢に入りながら後ろを向くと、指を指している子ども達がいて、その指の方向に泣きそうな顔のリンがいた。
「やめなさい。君たち、私の前でその言葉を口にするなと言っただろう」
オルウェンはその子ども達に叱っていたが、やはりオルウェンも死神という言葉には反応せざるを得ないようだ。
俺は戦闘態勢を解き、リンのところへと向かった。リンは泣きそうな顔をしていたが、俺を見ると安心したように笑った。
「イキナリドウシタノダ?」
ヘイゲルはリンの過去を知らないのでなぜリンが泣いたのかはわからないようである。
「まぁ、なんだ……。リンにもリンの闇があるってことだ。なにかあったらジンでも頼れ。アイツだったらなんとかしてくれんだろ」
「貴様ハ相変ワラズ他人任セナンダナ……」
当たり前だろ……。こういうのなんて言うんだっけ? 適材適所? 違うとは思うけど、まぁそんな感じのやつだよ……。
「とにかく、リン。今日は帰るか? 長旅で疲れてんだろ?」
「うん……、でも一個だけ寄りたいところがあるんだけど……」
そう言われたので、俺とヘイゲルそしてなぜかオルウェンがついてきた。
「……なんでお前も来るんだよ?」
「なんとなくです」
俺達が来たのは一つの家だった。誰の家かは言わずもがな。
「あの、ただいま……」
家の中に入ると二人の男女がいた。男女はリンを見ると、顔を真っ赤にして拳を上げた。しかし、その途中で俺達―――特にオルウェンを見ると固まった。
「あ、あんた……どうして……」
女がそう言うと、オルウェンは笑って答えた。
「リンちゃんを見つけました。それでここまで送り届けたんです」
「ツマリ、ココガリンノ家カ……?」
ヘイゲルの言葉にリンはゆっくりと頷いた。そして俺の服を掴み、俺の顔を見て何かを決したようにリンは言った。
「お父さん、お母さん、ごめんなさい……。わたし、お友達ができた……。だから……もうこの家から出て行きます」
リンは家出を堂々と宣言した。すると、二人は今度こそ腹を立て、男がリンを殴ろうとした。その瞬間、なぜか俺が殴られた。
「……グハ! なぜ……?」
俺は後ろを見ると、リン達がいた。間違いなくこれは……
「ヘ~イ~ゲ~ル~!! いきなり入れ替えるなよ! お前が入れ替えなくてもちゃんと止めてたわ!」
「な、なんだ!? 今の!?」
俺を殴った男と女は何が起きたかわからないような顔をしていた。ちなみにオルウェンは感心したように見ていた。ヘイゲルの能力に可能性を感じているのだろう。
「……たく、オルウェン……。てめぇ、最初から俺を巻き込むつもりだったな……。後で覚えてろよ……」
「だから、君じゃ私には勝てないって」
クソ! タチ悪ぃ! 俺の周りの奴らはどうしてこんなにも腹黒いやつしかいないんだ!
俺はゆっくりと立ち上がって、目の前の男女に睨みをきかせた。現在俺は最っ高に機嫌が悪い。今回は悪い奴が多すぎていちいち全員に構っていられない。というわけでとりあえずこの二人を全力で睨んだ。
「……!! ……へっ、お前もこのガキに操られてんのかよ? バカな奴だ……。こんなガキにかm……ぐへぇっ!!」
男は話している最中に悲鳴をあげた。なぜなら俺が殴ったからだ。
こいつ、マジで潰すぞ。お前……お前……、今なんて言った……!
俺の拳は震えていた。今聞き捨てならない言葉を言ったからだ。
「てめぇだけはぜってぇ許さねぇ……!」
リンと女は俺に少し恐怖していた。男はそれどころではないが。ヘイゲルとオルウェンは俺を見て少し笑っていた。俺が言いたいことがわかったのだろう。そして俺は男を殴るとき叫んだ。
「俺はバカじゃねぇーーーーーーーー!!」
「「「……………………………………………………………………………え?」」」
あれ? 俺なんか変なこと言った?




