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モブヒーロー ~モブで視る英雄譚~  作者: 甲田ソーダ
第四章 ~モブの扱いがひどくなっています~
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モブは問いただせられる

俺がドアを開けるとそこにはシルヴィ・アイシア・リン・ヘイゲル・ミレアの五人がいた。五人は三種類の表情をしていた。

シルヴィ・アイシア・リンは心配そうな顔をしていた。ヘイゲルは呆れたような顔をしていて、ミレアは最初からわかっていたような顔をしていた。


「どうして……皆がここにいるの?」


俺が尋ねるとヘイゲルが答えた。


「貴様ガ今日朝来ナカッタカラコノ三人ハ心配シテオ見舞イニ来タノダ。俺ハ大方予想ハシテイタカラソコマデ心配シテイナカッタ。コノ女ハ……タブン全部知ッテイタゾ」

「はい。昨日のことを聞いた時点ですべてわかりました。エリク様の思考はすべてトレースしてますから」


その言葉を聞くと俺は扉を閉めたくなったが、シルヴィ達も拒否するようになってしまうので扉を閉めれなかった。


「エリクさん、どこか具合が悪くないですか?」

「この様子だと大丈夫そうだけど、どうして今日来なかったの? 昨日も逃げるように帰っちゃったし……」

「わたしが昨日泣いたせい?」


うん、まぁそうなんだけど……、それを口に出したら絶対俺嫌われるよね?


「大丈夫ですよ。私がエリク様を嫌うことはありません。心配しないでください」

「ミレアだけは俺のことを嫌ってほしいのだがな……あと俺の心を読むな」


とにかくこの五人(……いや、ミレアは除こう)をこのままここに置いとくのも悪いので中に入れようとしたところで俺は手を止めた。なぜなら今俺の家にはもう一人いるからだ。


「? どうしたんですか、エリクさん? どうして固まっているのですか?」

「ッ! すみません、ちょっといいですか?」


ミレアは珍しく焦ったような顔をして、家の中を覗いた。ここから覗いてもカタリヌは見えないはずだが、俺は嫌な予感がして止めようとした。


「え、ちょっ、待っ……!」

「この匂い……、エリク様の匂いの他に誰かがいる……! この匂いはまさか……!」


なんで匂いがわかるんだよ……。しかも俺だけでなく、カタリヌの匂いも知っているとかどういうことなんだよ……?


「エリク様の近くに寄った女はすべてマークしてますので」

「そんなことより! この中に誰がいるの!?」


そんなことで済まさないでくれませんか? これ結構あなたたちの身にも危険が及びそうなことなんですけど……。


俺がシルヴィ達の危険を知らせようとする前に、中から女性の声が響いた。


「おい、貴様途中でやめるとはどういうつもりだ?」


そう言ってカタリヌは中から姿を見せた。しかも誤解を招くような言葉で……


「途中でやめるとはどういうことですか、エリク様?」

「そ、そんな……」

「ち、違う! これはだな……」


俺がミレアとシルヴィに弁解しようと思ったときにまたしても俺の言葉を遮ってカタリヌが話した。経験上こういうのは誤解が悪化していくと予想ができていたが、カタリヌが俺の声より大きな声で言った。


「デートの予習をしていたのだ」


……あぁ、ミレアに聞かれると一番まずい言葉だな。よし、逃げよう。


しかし、前は五人の壁、後ろはAランカー。逃げれる要素が何一つなかった。俺は考えている内にヘイゲル以外の四人に捕まった。


「「「「話を詳しく」」」」


………………………………………………………………………………………はい















というわけで俺の家で俺は正座されていた。ヘイゲルとカタリヌは椅子に座っていたが他の人達は俺を見下ろしていた。


「つまり、カタリヌの好きな人をデレさせるための練習だったってことね」


もちろん、その相手がジンであることは伝えなかった。今そんなことを言ったらここで修羅場が起きてしまうからだ。それだけはなんとしても避けたい。俺の家が破壊されては困るからだ。


「それじゃ、エリクさんはそのせいで朝来れなかったのですか?」

「そ、そうだよ……」

「エリク様、私はすべて知っていると言ったはずですよ」

「う……」


クソ! ミレアがいる限り俺の嘘はすべてバレてしまう! なんで俺はミレアに優しくしてしまったんだ! あのときの俺を殴りたい!


「えりく、どうして昨日帰っちゃったの?」


それが一番答えづらいのだがな……。だが俺が言わなかったらミレアに言われるからな……。それよりだったら俺が言った方がマシか。


「俺はね、昨日リンの友達のあの少年、頭が良さそうな奴だ」

「レインのことね」

「そう、そのレインが俺に対して言ったんだ『ロリコン』だと。それで俺は思わず逃げ出した。それをヘイゲルによって阻害されたわけだが」


シルヴィはヘイゲルを見て、ヘイゲルはそれに対して頷いた。嘘かどうかを確認したのだろう。そこまで俺を信じられなかったことに俺はショックを受けた。


「それで、リンに俺はロリコンではないと言ったらリンがいきなり泣き、そこをジンとミーシャに見られたわけだ。二人は俺のことがどう見えると思う?」

「「……なるほど」」


シルヴィとアイシアは納得したが、リンはまだ納得していなかった。俺がロリコンでないことがそんなに変ですか……。そっちの方がリンの安全が確保されるんですよ……


「まぁ、それで、ジンに顔を覚えられたかもしれないと思ったんだけど、自分でそうではないという結論に至ったんだよ」

「それはどうやってですか、エリク様?」


えぇ……それも言わないといけないの……? あのときのことをまた思い出させるのかよ……


「はい。私はエリク様のことをすべて知るつもりですから」

「……絶対ミレアだけには教えないわ。あとヘイゲルにも」

「ナゼ俺モナンダ!?」


お前ら二人にこういうことを教えるとろくなことがないと学習しているからだよ!



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