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モブヒーロー ~モブで視る英雄譚~  作者: 甲田ソーダ
第三章 ~招待されたモブ達~
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モブ達vs『蒼い烏』

プロローグの答えです

別荘は崩れ落ちていた。しかし、中にいる人達はそこまで慌てている様子はなく順調に避難が完了していた。その理由としては……


「焦らずに! 大丈夫です! 僕たちがついてますから!」


最強の冒険者であるレギンはそう言った。彼が皆に指示しているおかげで皆はレギンにただ従っていればいいと、絶対的な安心感が生まれていた。


「Cランカーの人達は先に避難して! Bランカー以上の人達は避難していない人を探してください! まだ見つかっていない人がいるそうなんで!」


レギンがそう言ったことに俺は驚き、避難した人達の中にミレアがいるかどうかを探した。そこにはミレアはいなかった。


「マジかよ……!」


他の人達も何かを言っていたようだが俺の頭の中はミレアのことでいっぱいだった。


そんななか、一人のメイドの女性が血相を変えてこちらに走ってきた。


「大変です!」

「危険です! 入らないで!」


建物の中に入る前にカタリヌによって抑えられていた。しかし、それに構わずそのメイドは中にいる冒険者達に聞こえるように大きな声で叫んだ。


「お嬢様が……! お嬢様がまだ中に!」

「「「!!」」」


その言葉に冒険者達は驚きを隠せなかった。そのとき人混みの中からジンがものすごい形相で出てきて、建物の中に入ってきた。


ッ! アイツ、まさか、王女様を助けに行ったのか……!


「待て! ジン! 危険だ! 戻ってこい!」


カタリヌは必死にジンに呼びかけたが、目の前のメイドを放すわけにもいかず、その間にジンは建物の中の階段を駆け上がって王女様がいると思われる部屋を目指し見えなくなった。


「クッ! とにかく僕たちは各自すべきことをしましょう! 彼は僕が追います! カタリヌはこれ以上中に入れないように!」

「はい!」


レギンはこれ以上混乱を起こさせないようにカタリヌに指示を出した。カタリヌもその指示に従い、目の前のメイドを気絶させ、さっきよりもすごい気迫で避難した人達を見ていた。あれで動ける者はもういないだろう。


「各自、敵に気を付けて! やばいと思ったら逃げても構わない! ただし、そのときは大声を出してください! それじゃ、各自行動開始!」


レギンがそう言い、中にいるA・Bランカーの人達が捜索の続きを再開しようとしたそのとき、


「きゃーーーー!」


女の声が聞こえて、俺達の足がまた止まった。


「この声って……」


前に来たときに何回か他の冒険者達と話しているのを聞いたことがあったので、その声の主を俺は知っていた。


「王女様じゃないか!?」


……。だからなんでみんな俺が最後まで言う前に人の言葉を取るかなぁ。っと、そんなことより早くミレアを探さないと……!


「みんな! それよりまず、避難していない人を救出しないといけないと言っただろう!」

「あ、あぁ……」


『それより』というレギンの言葉に冒険者達は驚いたが、とりあえずレギンに従うことにし、再開しようとしたその瞬間……


ガシャンッッッ!!


「「……ッ!!」」


建物も限界がきていて、次々とものが落ちてきた。それにまた足が止まったので

俺達Aランカーはもう各自で行動することにし、建物の中を走った。それを見てレギンは冒険者達に叫んだ。


「僕たちも続こう!」
















エリクはミレアのことが心配で、ジンは王女様のことが心配で、二人は離れた位置から同じタイミングで呟いた。


「「無事でいてくれ……!」」
















俺はミレアがいそうな場所として、まず自分の部屋に行った。部屋の前には瓦礫があったが、俺はそれを魔法で燃やして中へと入った。そこには人が一人立っていた。それはミレアではなかった。


「……待っていたぞ。久し振りだな」

「ッ!!」


その顔に俺は見覚えがあった。忘れるはずもない相手だった。

その人は俺が二年前に戦った『蒼い烏』の一人―――シノワール=フランだった。


「なんでお前がここに……!」

「なぜって、お前に会うためだよ。参ったぜ、お前が一週間前にいなかったって聞いたときは耳を疑ったからな」

「はっ。誰に聞いたんだよそんなこと?」

「一週間前にお前達に喧嘩を売った奴に決まってるだろ。アイツ、お前に気付かなかったらしいぞ。今日偵察に来てお前を見たときは俺は歓喜したぞ」


俺ってそんなモブに見えるのか……。俺ってホントに天職がモブなんじゃないか? って、そんなことより……


「ミレアはどこだ?」

「そんな奴知るか。俺達の狙いはお前らAランカーだけだからな」

「……! どういうことだ!? だってお前らは手紙に……!」

「『命を危険にさらす』とは書いたが、王族が狙いとは一度も書いていないぜ。俺達の狙いは最初からお前らAランカーへの復讐だ」


そう言って、フランが剣を構えたと同時に斬撃が飛んできた。俺は剣を抜き、その斬撃を弾いた。


「今度こそテメェを倒してやるよ! ハハ! そういや俺達はこれを口癖にしていたなぁ! お前に不幸という幸せを!」

「クソ! こんなことしている場合じゃねぇんだよ!」

「だったら、俺を倒してからにするんだなぁ!」


するとところどころで爆発が起こった。他のAランカー達も『蒼い烏』との戦闘が始まったのだろう。これが短くも長い『蒼い烏』の再来の合図の戦闘となった。



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