国王誕生日会二日前
「エリクさん、今日は緊急クエストが入っていますよ」
「お、ならちょうどいいし、ヘイゲル、一緒にどうだ」
今日はヘイゲルと一緒に飲み会でもやろうかと思っていたが、一緒にクエストも悪くないと思ったのだ。
「構ワナイガ、金ヲ払ウンダナ」
「金取るのかよ……」
「当タリ前ダ。俺達ハ傭兵ダゾ」
「だって、お前前の洞窟の依頼でだいぶ金が入ったんだろ? しかもその後他の奴らからも依頼が入ってきたって言ってたじゃないか」
「ソレハソレダ。今ハオ前カラノ依頼ダゾ」
こいつって結構金のことになると譲らないんだよな……。
「わかったよ……、払うから……、どんくらいだ?」
「内容によるが……」
そう言って、ヘイゲルはシルヴィの方を見た。
「緊急クエストの内容は……、最近ここにドラゴンが三体現れたことを知ってますか? 発見されたのが昨日で、ところところに傷があってですね、何かを血眼になって探しているようでして……」
「あぁ、なるほど。わかったよ」
「? まだドラゴンの種類とか……」
「イヤ、問題ナイ。俺達ガヤロウ」
俺とヘイゲルはお互いに目を合わせると、冷や汗をかいていることがわかった。
……これって間違いなくあれ……だよな?
……間違イナクナ。
俺達は目線だけで会話を成立させた後、黙ってギルドを出た。
「? エリクさん?」
シルヴィは俺達を不思議に思っていたが、俺達は自分たちのツケを払いに行くため森へと入っていった。
「……お金は払った方がいいか?」
「イヤ、イラン……」
俺達は森の中に入ると、目的地に行く前に互いに話し合った。いわゆる作戦を立てているのだ。この前はいろいろ準備ができていなかったから、今回は俺達も本気で殺らなければ、俺達が危険なのだ。
「お前の能力で俺がちょくちょく入れ替わって攻撃していくか?」
「ソレデハ俺ガ見ツカッタ後、マズイ。モット内容ヲ詰メテイカナイト」
「お前はドラゴンと戦えるか?」
「一対一ナラ勝テル」
「それなら……」
俺達はできるだけ勝率を上げるためにさらに細かく作戦を練って、ドラゴンのところまで行った。
ドラゴン三体は俺達の予想通り前に遭ったドラゴンたちだった。先制攻撃として俺は剣に魔力を込めた。そのまま俺は剣を横に振った。その直前で俺の視界ががらりと変わり、気付けば黒いドラゴンの足があった。魔力を極限まで高めていたおかげでドラゴンの足の中までこんがり焼けた。
「ギャギャァァァァァァァッッッ!!」
そこで二体のドラゴンも気付いたようだった。尻尾を叩きつける直前で俺は石と代わった。すぐさま俺は違うところへと行き、またドラゴンの足の近くに交代され足を斬った。
「ガァァァァァァァァッッッ!!」
ドラゴンたちのまえにあえて姿を現すと、不敵な笑みを浮かべた。ドラゴンたちはそれに対して怒り、口の中で大量のエネルギーを集めた。ブレスの準備が整い、三体は俺に対してブレスを放った。俺は炎の盾を張り、三秒だけ持ちこたえた。
「……ッ!!」
そして俺は気付くとドラゴンの間にいた。
「ッ!!」
俺と真ん中のドラゴンが入れ替わり、他の二体のブレスと自身のブレスによって、絶命した。しかし……
「ヘイゲル!! なんで端っこの奴と交換してないんだよ!」
「確実ニドラゴンヲ一体倒スノナラ負傷シテイタドラゴント交換スルデアロウ」
「違う! 負傷していたドラゴンを残す方が後が楽だろ!」
お互いに言い合いながら、各自のドラゴンと戦った。俺の相手は黄色いドラゴンでヘイゲルは赤だ。
俺はドラゴンの身体を走って上ると同時に肌に剣を刺し、魔力を込める。そうすることで俺が身体を走っているだけで敵にダメージを当てられる。一対一だと他の敵の心配をする必要が無く、相手にとってはこういう戦い方が一番厄介である。
「ギャァァァァァァァァァァァーーーーーー!!」
ドラゴンは悲鳴をあげ始め、隙ができたところでとどめに首の頸動脈を一閃した。ドラゴンが絶命したのを見届けて俺はヘイゲルの方を見た。どうやらそちらもちょうど今終わったようだった。
「ヘイゲル……」
「ナンダ?」
「俺達の休日がドラゴン討伐で終わっちゃったぞ……」
「ッ!!」
空を見ると、もう日が暮れ始めていた。勝負は短かったが、作戦を考えるのにかなりの時間を消耗したからだ。
「帰って、二人で飲まね?」
「……ソウダナ。タマニハ悪クナイナ……」
そうやって俺達は王都に帰ってから、クエスト完了を報告し、一日が潰れたことを悔やみながら飲んだ。もともとの予定としては二人で飲むという予定であったので結果オーライ的な感じにはなったが、やはりこんな感じでは飲みたくなかった。
俺達の飲み会は夜遅くまで続き、最後にはお互いの愚痴り大会が始まっていた。愚痴が始まってからか今日のことは完全に忘れ去っていて、俺達は支払額を見るまでバカ騒ぎをしていた。……支払額で今日の報酬の半分ほどがなくなった。
ドラゴンの討伐方法がなかなか思い浮かばなかった




