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モブヒーロー ~モブで視る英雄譚~  作者: 甲田ソーダ
第三章 ~招待されたモブ達~
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国王誕生日会四日前

「すいません……、エリクさん……、昨日ご迷惑をかけてしまって……」

「シルヴィ、これからは無理なときは無理と言わないと……」

「昨日は無理してた訳ではないんですけどね……」


まったく……。俺にシルヴィは気を遣いすぎなんだよ……。今だって俺に気を遣ってそんなこと言っているし……。


「それじゃ、今日は私の番ね!」


俺の横で何かを企んでそうに笑っているのはアイシアであった。


「アイシア……、なにかよからぬことを企んでないか……」

「うん、企んでるよ」

「ホントかよ……? って、え! 企んでんの!?」

「だからそう言ったじゃん」


アイシアはシルヴィに対して挑発的な笑いをぶつけた。シルヴィもそれに気づき、こちらを不安そうに見ていた。


何企んでいるんだ……。まさかとは思うけど、ジンに対して使う惚れ薬の実験台に使われるわけじゃないよな……。うわ……、唐突に行きたくなくなってきた……。


「えりく~、わたしはまだなの?」


下の方を見ると、リンが裾をひっぱていた。


「わたしもえりくと早く遊ぶ~!」

「リ、リンちゃん。リンちゃんは明日だから、今日は私だから……」

「~~~~!!」


リンは俺とどうしても遊びたいようだが、約束はきちんと守らなきゃいけないことは教えるべきと思い、リンに言った。


「いいか、リン。一度約束したものは基本的に守らなければならないんだ」

「わたしは他の人達と一緒なの? 初めての友達なのに?」

「……」


それはずるくないっすか……。そう言われるとなんも答えられないじゃん。なんだろう……、この俺の弱みを握られた感。誰かに似た感じだ。


「リ、リン、今の言葉誰から教えてもらった?」

「へいげるさん!」


やっぱりアイツか……。リンに変な言葉覚えさせやがって……。


「と、とにかく! 今日は私の番だから! ほら! 行くよ、エリク!」

「あ、ああ……」
















「で、どこに行くかはもう決まっているのか?」

「前に行った草原があるじゃない?」

「ヘイゲルと会った場所か?」


その言葉にアイシアは頷いた。


「あそこでピクニック的なことでもしようかな~って」

「ま、あそこに危険な奴とかも出てこないし大丈夫だろ」

「それじゃ、さっそく行きましょ!」


そう言って俺達は草原へと向かった。







「ピクニックって実際何するんだ?」

「二人でたわいもない話をしたり、遊んだりする感じでしょ」


その遊ぶ感じというのが知りたいんだけどな……。


「適当でいいのよ、適当で」


もうその発言が適当だよな……。


アイシアは敷物を敷くと、持っていた荷物を置いた。


「それはなんだ? やけに重そうに持っていたけど……」

「それを知りたいのならまず座りなさい」


それに従って座ると、アイシアは風呂敷を広げた。そこには大きな弁当箱が入っていた。


「私のお手製弁当よ。まぁ、実際エリクほど上手ではないけどね」

「いや、昨日もシルヴィに言ったんだけどさ、料理っていうのは味も大事だけどさ、どちらかというと誰が作ったかが大事なんだよ。だから俺はアイシアが作ってくれただけで十分うれしいけどな」

「////ッ!!」


アイシアは俺のほうに背を向けて必死に何かを唱えていた。


そんなに俺に惚れるのが嫌ですか……。これでもだいぶ恥ずかしいことを言っていた自覚があるのに……。どうして俺は報われないのですか……。


しばらくすると、アイシアはこちらを向き、弁当の中身を開けた。そこには色とりどりの料理があった。赤や黄色、白に緑、そして……青とピンクもあった。


「あ、あの~……、ちょっといいかな?」

「ん? どうしたの?」


いや、どうしたのじゃないよ。何これ? 青とピンクって……。


「この青とピンクの料理って……」

「私料理を開発するのが趣味なの。だからこれは今日思いついた料理……ダメ?」


うん、ダメだよ。アウトだよ。今日思いついた料理を人に食わせるのはどうかと思います……。もしジンだったらアイツはどんな顔をするだろう。今の俺みたいに何かを悟ったような顔をするのだろうか……。


「それに、エリクは言ってくれたじゃん。大事なのは誰が作ったかだって」


待って! 違う! そうじゃない! そうなんだけどこういうことではない! 普通に考えてよ! 絶対おかしいから! それと俺はこうも言ったはずだ。味大切だけどって言ったよ!


「じゃ、エリクちゃんと食べてね!」


あ、あぁ……。わかった……、アイシアがギルドで企んでいたことはこれだったのか……。終わった……、俺は今日ご臨終します。『蒼い烏』はなんとかしてください……。


「い、いただきまーす……」


食べた後の「見た目はともかく味はいい!」なんて言葉は主人公だけが言える言葉だ。アイツらは俺達モブの犠牲があるから笑えるんだ……。それを一回感謝するべきだ。そんなことを考えながら俺の意識は遠くなった。








意識が戻ると夕方になっており、意識が戻っても身体を動かすことができなかった。麻痺効果のある飯なんて初めて食ったぞ……。


「あっ! 目が覚めたのね!」

「……まあな」


身体が動かないので、倒れたまま応えた。


「アイシア……」

「?」

「当日に料理を開発して、実験台にその料理は食わせるな……。これは常識の範疇だからな……。絶対やめろ、やめてください……」


するとアイシアは草原の遠くを見て


「……次そうする」

「次から・・にして!」



シルヴィと比べてすいすい書けました。やはりデートとかわからないですよ……

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