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モブヒーロー ~モブで視る英雄譚~  作者: 甲田ソーダ
第三章 ~招待されたモブ達~
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城での宣戦布告

「よく集まってくれた! 今年も歓迎しよう!」


そう言って誰よりも高い位置にいる老人は思いっきり手を左右に広げた。


……相変わらず元気な人だなぁ。目が生き生きしちゃってるよ。あれでよく国王なんかやってられるよ。いつか城を抜け出して冒険者にでもなっちゃうんじゃないか?


エリクは周りを見渡すと沢山の人と豪華な食事がところ狭しと並んでいた。ところどころに兵士がいるのは警備かなにかだろう。お疲れ様です。


「これで本当に前祝いなんですかソルドさん!? 人がたくさんいますよ!?」

「ガハハッ! 初めて来る奴は皆そんなことを言っていたがお前も例外ではなかったか」

「……ジン、これ……、美味しいよ……」

「あっ! ミ、ミーシャ……!」

「どんどん食え! そのための料理だぞ」

「そ、それじゃ……」


……お前ら静かにしろよ。他の人に迷惑だろうが……!


俺は少し睨んだがその相手は気付かないようだった。そこで今度は違うところが騒がしかった。そちらを見るとドレスを着た少女が冒険者に囲まれていた。


まったく……、王女も大変だよな……。あんな動きづらい服装を見せびらかさないといけないのだから……。俺だったら逃げてるな。


するとどこからか王様の声が聞こえた。


「おぉ! そなた達は城下ギルドのAランカー達ではないか! それに【紫鮫】君! 君はどうやら門前ギルドの人達と協力して、国の一大事を救ったようじゃないか!」

「いえいえ、それは違いますよ、国王様。私達だけの力ではありませんよ。つい最近その門前ギルドの前に魔物達による傭兵ギルドが建てられたんです。その彼らのお力があったからです」

「ほぅ、魔物による傭兵ギルドとな……。なかなか面白いではないか! 次の誕生日会ではその彼らも呼ぶとしよう!」

「お、王様……! 危険です! 魔物など……!」

「馬鹿者! 貴様、この国を救ってくれた者たちに失礼ではないか! 人であろうと魔物であろうと関係ない! 大事なのは心ではないのか!」

「し、しかし……、王様~~~……!」


なぜだろう……。国王は何一つ間違ったことは言っていないはずなのに、暴走しているように思えてしまった……。この国王のやることが大胆だからだろうか?


「……何を一人で寂しく食べているのだ?」


……ほっとけ。


「……なんでお前は俺のところに来るんだよ?」


王様の話を途中で抜け出したようであるカタリヌに声をかけられ、後ろを振り返ると少し離れたところでジンとカタリヌが話しているのを見た。まわりの人達は俺が一人で不思議なことを話したことに驚き、こっちを見たが、すぐに顔を戻した。


えっ……。俺、もしかして一人で恥ずかしいことしちゃったか……? 

……気のせいだろうか、俺は最近恥ずかしい思いしかしていない気がするんだけど。


「カタリヌさん! 来てたんですね!」

「まあな。王様は私達Aランカーに会うためにこの会を開いていることもあってな……。だから私達Aランカーは来ないといろいろまずいのだ」

「そうなんですね……」


……そのわりには、俺一回も王様と話したことがないんだけど。王様にも気付かれない俺ってマジモブ。誰か俺に表彰してもおかしくないレベル。


「おぉ! ソルド! お前さんとはAランカーの人達のことで話していたいと思っていたのだ!」

「こちらもそうしたいと思っていましたよ、国王様!」

「それではいつもの場所でどうだ……」

「よろこんで!」

「「ガハハハハハハハハハハ!!」」


……この二人、超怖い。まさか国王とソルドがあんなに仲が良いとは……。

というかいつ本題の打ち合わせに入るんだよ……。それをしない限り俺が帰れないじゃん……。俺もう帰りたいんだけど……。


するとそのとき照明がいきなり消えて、辺りが真っ暗になった。


「「「ッ!!」」」


俺も含めAランカー達は突然険しい表情をした。


……俺達ぐらいじゃないと感じられない程度の殺気? この感じだとどうやら宣戦布告をしに来たらしいが、そんな簡単に帰すつもりは毛頭ない。


「ほう、この状況で戦闘態勢に入った奴がAランカーのようだな」


……チッ! 今のは俺達Aランカーを見つけるための作戦だったか……!


まわりの人達は何が起きているのか理解していない、もしくは開催者の手の込んだ遊びだと思っているのか、動かなかった。つまり今動けるのはAランカーだけである。そのうちの一人が口を開いた。


「誰だ! 姿を現せ!」

「ふん……、それで姿を現す奴がどこにいる……」

「それで構わないよ。今ので位置は特定できたから」


突然白い炎が出現し、まわりを照らしたと思ったら壁の方へ飛んでいった。白い炎は壁に当たったがそれで壁が燃えることはなかった。


「……ほぅ」


どうやら相手はその炎を躱したようだった。


「……この場にとどまるのは得策ではないようだな。手紙を置くことにしましょうか……。それでは皆さんまた会いましょう」

「……! 逃げられたか……!」


相手の気配がなくなって少ししたら、明かりが点いた。そのときAランカー達はすぐに何かを探すように辺りを見渡した。


「あったぞ!」


そのうちの一人が叫び、腕を上げた。その手には小さな紙があった。そこでやっと一部の人達は手紙のことだと気付いた。そしてその紙にはこう書かれていた。


私達は一週間後の国王の誕生日会で、国王と王妃、そしてお姫様のお命を危険にさらしましょう。三人のお命を守りたいのなら冒険者様方頑張ってください。まぁ、無駄だとは思いますがね……。         『あおカラス


「『蒼い烏』だと……!!」


そのキーワードにAランカー達と一部の人達は驚いた。その一部の人達は王様などだった。


『蒼い烏』……それは二年前世界の精鋭達によって滅ぼされた最凶の犯罪集団の名である。



ホントは二時間前にできあがってたのだが、修正しようと思って戻ったら白紙に戻ってえました。

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