モブとリンの冒険の始まり
大学のレポートやバイトで遅くなりました。
来週もテストでしばらく投稿できないかもしれませんがご容赦ください。
「えりくと冒険だ~!」
「ははっ……、そうだね……」
俺とリンは二人で手をつないで歩いていた。リンは楽しそうに歩いているが、俺の反対の手は汗が止まらなかった。
決して俺とリンが今いる場所が暑いわけではない。むしろ少し寒いくらいだ。俺の魔法でリンはそれに気付いていないようではあるが。
「えりく~! 次こっちがいい~!」
「そうか~」
リンに手を引かれ俺はリンが指差した方向へと歩いて行った。その先に何があるのか俺はわからない。
だが、これだけは言える。
「ヘイゲルの野郎、マジで許さねぇ……」
「えりく?」
「なんでもないよ」
俺とリンが今どこにいるのか、どうしてそんなことになったのか、順を追って話すことにしよう。
時は遡って数時間前。
俺は久し振りにアイシアとリンがいる孤児院へと行った。といっても今回は孤児院の手伝いで来たわけではなく、ギルドに俺指定でクエストが来たからだ。
ここのところクエストは『蒼い烏』関係でうんざりしていたが、久し振りに普通のクエストをもらった。
今回の依頼者を見て俺は正直驚いたが、その内容を見てもっと驚いた。
「えりく~!」
「おう、リン!」
「抱っこ~!」
「ぐはぁ……」
リンはあって早々俺の鳩に飛んできて俺はそれを受け止める。会う度にだんだんこの勢いが強くなってきていて、正直困っているところである。
「わたしのクエスト見たの?」
「ごほっ、ごほっ。ま、まあな」
「だめ?」
「俺は別にかまわねぇよ」
今回俺が受けたクエストはリンと一緒に冒険をすること。つまり王国の外に出て魔物のいる場所を歩くということだった。
だが俺がAランカーとはいえ、もしものことがあってはならないとヘイゲルも付き添いとして俺は雇うことにして、数日前にヘイゲルに依頼した。それをリンに伝えるとリンは嬉しそうにぴょんぴょん跳ねた。マジでヘイゲル死ねばいいのに。
「それよりアイシアがよく許したな」
「えりくなら大丈夫だって!」
「そう言われると嬉しいな」
アイシアは今忙しいらしく孤児院から出て来なかったが、中から「行ってらっしゃい~!」という声がした。
俺はフレインに見つかる前に孤児院をあとにすると、ヘイゲルのもとへと向かった。その途中で、俺はリンになぜこのクエストを依頼したのか聞いてみた。
「わたし、将来えりくと一緒に冒険者になって冒険するの!」
「リ、リン……!」
その言葉がとても嬉しかったが、反対に残念でもあった。
冒険者とは言ってしまえば仕事がないからやるようなものだ。冒険者に憧れているならまだしも、リンは単純に俺と一緒にいたいからなりたいだけである。リンには悪いが俺はリンには冒険者になってほしくない。もっとリンにあった仕事についてほしいと思っていた。
「ありがとうな。でもリンはもっと似合うものがあると思うぞ」
「似合うもの?」
「そうだ。例えばお花屋さんとか」
「えりくはわたしのお店に来てくれる?」
「もちろん! いつも行ってやるよ!」
「ならそれでもいいや!」
なるほど、俺という固定客を先に作ってしまうとはなかなかリンも策士だな。にしてもホント可愛いな。ヘイゲルなんかに渡したくない。
そんなことを話しているうちにおれとリンは傭兵ギルドへとたどり着いていた。
「ヘイゲル~。トカゲ野郎~」
「貴様ハ普通ニ呼ベンノカ……」
「へいげるさん~!」
「『リン』ハイツモ元気ダナ」
「うん!」
全員が揃ったことで俺とヘイゲルは早速どこに行くか相談した。
「やはり草原がいいのでは?」
「ソレダト冒険トハ言エナイト思ウガ」
「なら森か?」
「ソウダナ。ソコデイイダロ」
「洞窟がいい!」
突然そう言ったのはリンだった。俺とヘイゲルは一瞬洞窟についてわからなかったがすぐに思い当たるところがあった。
「もしかしてリンと初めてあった場所か?」
「うん!」
「……どうだ?」
「……マァイイダロ」
「決定だ」
ということで俺達は久し振りに洞窟へと向かった。
そこに向かっている途中では俺とヘイゲルが代わり代わりにリンの手をつないでいた。つないでいない方が周りに気を付けるということだったのだが、どうも俺ばかりに魔物が来ているのは気のせいか?
俺がそのことについてヘイゲルに聞いてみると、
「魔物ハ俺ヲ仲間ダト思ッテイルノカモシレナイナ」
ということだった。正直卑怯だと思う。
とまあ、こんな感じに俺達は洞窟へとたどり着いた。だがこの洞窟の奥は特に何もなかったはずだ。それはその奥にいたリンが一番知っていることだ。
そのことについてリンに尋ねようとしたところでリンは洞窟を見つめながら言った。
「ここ、わたしが悪いことした場所だから」
「「え?」」
「私はここで皆を操ったんでしょ? へいげるさんもそうだし、えりくも操ったって聞いたの。えりくその所為で死にそうになったって……」
「それは……まぁ」
カタリヌの話では俺が気を失ったあと俺はリンに操られたらしい。誰から聞いたのかはわからないがリンはそのことを気にしているようだった。
「気にすんなよ、リン。過去がどうであれ俺は今生きているんだぜ。傷もないし、なんなら触ってみるか? 俺はあれくらいじゃ死なねぇよ。俺がリンに殺されることはない」
「……本当?」
「約束するか?」
「……うん」
俺とリンが小指を互いに結ぶと、リンは嬉しそうに笑った。やっとモヤモヤが晴れたみたいだった。ずっと気にしていたんだろう。
「エリク、オ前ガ奥マデ行ッテコイ」
「は? どうして?」
「オ前モ鈍スギダ……」
ヘイゲルが何を言っているかわからなかったがそのとき俺の袖をリンが引っ張った。
「三人で行きたい」
「……だってさ」
「……」
俺達が洞窟に入った途端そこで急に地震が起きた。その揺れはとても激しく洞窟の上は崩れはしなかったものの急に足下が崩れた。
先に入っていた俺とリンが穴に落ち、ヘイゲルはあとから落ちたが鏡を取り出すと自分とその後ろを映した。
「は? まさかアイツ……」
「スグ助ケニ行ク」
「ふざけんなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
ヘイゲルは鏡を使って自分と落ちてくる石を交換し、上へと登っていった。




