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モブヒーロー ~モブで視る英雄譚~  作者: 甲田ソーダ
最終章 ~最後もモブです~
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決闘の解説

今回は結構すらすらと書けました。

俺の頭の後ろに柔らかいものがある。意識が戻って最初に感じたのがそれだった。目を開けなくてもわかる。今俺は膝枕されているのだと。だが、同時にこうも思っていた。


こんなうまい話があるはずがない!


わかっている。これは絶対目を開けたときそこにはヘイゲル、オルウェン、レギン、もしくは俺より最初に目覚めたカタリヌの膝枕だと。最悪だ。目を開けたくない。というか今すぐ死にたい。嫌な光景を見るよりだったら死んだ方がマシだ。

そんなことをしばらく考えていると俺の頭が動いた。正確には俺の頭の下のものだが。たぶん痺れてきているのだろう。仕方ない。現実とご対面しようか。

もしかしたらシルヴィの顔があるかもしれないし……。


「あっ、目が覚めたんですね。エリクさん!」

「……え?」

「どうしたんですか?」

「え~~~~~~~~~~~~~!!」


そんなバカな! なぜ俺の前にシルヴィが!? 今の流れは「やっぱりお前か!」という場面だったじゃん! どうなっているんだ!?


「どうやら、カタリヌさんも起きたようですよ」

「あ、ああ」


俺は身体を起こすと自分の頭があった場所を見た。やはりそれはシルヴィの足だった。


……そうか! 俺の予想はあくまで主人公だからできることであって俺はモブだ! やべぇ! 今だけはモブで良かったと感謝できるぜ! ありがとう、モブ教様!


そんなことならもっと足の感触を味わえば良かったと心の底から後悔した。これは男のさがであって決して俺が変態ということではない。

俺とカタリヌが起き上がった後、いつの間に決闘の様子を撮ったのか、闘技場にいた人全員でビデオを見ながら一つ一つ話し合った。


「まず最初の部分だが、つばぜり合いになったところまでは大丈夫だろ?」

「そこは問題ないよ。それよりその次だ」


オルウェンはそう言って次の影像を見せた。俺が一回転した後にカタリヌを斬ったところまでだ。


「この剣一本で自分の身体を支えられるものなのか?」

「長時間でなければな。それと戦闘中カタリヌにも言ったがカタリヌの足を斬るところまで俺の計算通りだぜ」

「そうなんですか! すごいです、エリクさん!」

「そ、それほどでもないよ」

「そんなことよりそれはどういうことだ?」


そんなことで済ますんじゃねぇ! 俺とシルヴィの会話を邪魔すんな! 殺すぞ!


と思いはするが俺の魔力はもう底をついた。やっても俺が殺されるのでおとなしく解説した。


「お前はつばぜり合いのとき、目が一瞬動いたそれでお前が俺の後ろに回り込むことは予想できた」

「顔の表情だけでか!?」

「すげぇ……!」


おおぅ……。そんな褒められるとは思ってなかったぜ。というか皆できると思ってました、はい。


「それでお前の攻撃を防いだ後、流れるように攻撃すれば必ず俺の剣は足を取れる」

「次はどう説明するのだ。私の回避を完全に読み切っていたが」

「あの状況でお前は真上には跳ばない。なぜならそれをするならもとから距離を取ろうとは思わないはずだからな」


俺の後ろに回り込んだときカタリヌは俺を斬りながら距離を取ろうとした。つまりカタリヌはある程度の距離を取ったところからの急接近攻撃が得意ということ。


「次にそのまま助走を活かして横に跳ぶ方法もない。なぜなら失敗する率が高いと考えるから。あのときちょうど俺の剣が来る方向にカタリヌは向かっていたんだ。確実的な安全性がなかったんだろ?」

「くっ、その通りだ」

「となると最後に残るのは後ろに跳ぶこと。そこまで読んだからこそ俺は攻撃を当てれた」

「むむむ……」


カタリヌでなくともAランカーなら大体はそうするだろう。Aランカー達は少し考えて納得したように頷いた。俺をただ者ではないと思っている顔だったがそんなことはない。


「ま、俺の魔法は炎を使うことだけだからな。こうやって工夫しないと単純に攻撃を当てるだけでも苦労するんだ」

「本当にもったいないな……」

「もったいない……?」


何がもったいないのかわからないが俺からも聞きたいことがある。


「お前の二つ目の魔法。あれは一体何だ? 突然早くなったぞ」

「あれは【神速】という魔法だ。足だけでなく身体すべてを急速に速くする魔法だ」

「それで異常に早くなったのか……」


身体強化より速く、身体一部分でなくすべてを速くするから剣を振るスピードも速くなるわけだ。まさにコイツにうってつけの魔法だな。

俺が聞きたいことはそれだけだが皆はまだ俺に聞きたいことがあるそうだ。それを代表して言ったのはレギンだった。


「エリク、君の最後の魔法。あれだけがどうもわからないんだ。一体どうやったんだい?」

「あ~、それな。悪いがそれを教えるわけにはいかないんだ」

「……どうしてだい?」

「それを教えちまったら俺の存在意義がなくなるんだ。あれは俺が編み出した技術だからな」

「技術……ね。それなら僕にもあれができるようになれるかな?」

「知るか。とりあえずまぁ。これくらいはできるようにならないと絶対に無理だ」


俺はそう言うとなけなしの魔力で剣をオレンジに光らせた。


「それがヒントかい?」

「これをやる場合はいらない剣でやることだ。じゃないと後悔するぞ」

「……ちょっと待って」


レギンはそう言うと控え室のところにあった適当な剣を十本ほど持ってきた。


「……っ」


レギンはそのうちの一本に魔力を込めると剣は黒く燃え上がった。だが、すぐに小さくなっていき、もともとあった剣が跡形もなく消えた。


「そんなんじゃ全然ダメだ。俺でもそうなる。お前の今の炎のことはよくわからんが、今お前がやったのはこうだ」


俺はレギンがやったように適当な剣を一本取って魔力を込めた。さっきと同じようにオレンジには光ったが剣はぐずぐずに溶けていった。


「……なるほど。剣を溶かさないようにすればいいんですね」

「……まぁ、あとは頑張れ。それじゃ、俺達はそろそろ帰るかシルヴィ」

「は、はい!」


俺とシルヴィはそう言って城下ギルドを出ていった。

城下ギルドを出ると空はオレンジ色になっていた。


「ごめんな。俺の所為でこんな時間になっちまって」

「いえ。全然大丈夫ですよ。エリクさんのすごさもわかりましたし」

「お詫びと言ってはなんだが、俺の家で飯でも食っていくか?」

「ぜひ!」


俺の料理がそこまで気に入ったのかシルヴィは目を光らせてそう言った。

そして俺とシルヴィは俺の家で仲良くご飯を食べました。

それ以上のことはありませんでした。だって俺にそんな度胸もないしシルヴィにはジンがいるからね。俺マジいい人。



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