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モブヒーロー ~モブで視る英雄譚~  作者: 甲田ソーダ
最終章 ~最後もモブです~
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真剣な勝負で……

大学のレポートが思ったよりも早く終わり、早めに投稿できました。

久し振りに書くとだいぶ長くなってしまいました。

「つうかなんでいきなり決闘しなきゃいけないんだよ。お前、誰に言っているかわかってんの? 死ぬよ?」

「ほう……。私を殺す気か。それくらい本気でなくてはな」

「何言ってんの? 死ぬのは俺だけど?」

「……貴様はホントに何が言いたいのだ?」


何って……。そりゃ、決闘で負けるとかその前に決闘を始めるというその行動の時点で死ぬほど面倒くさいって言いたいんだけど。


俺としてはさっさと帰って家で寝たい気分なのだが、カタリヌは一度抜いた剣を納める気はないようだ。


「はぁ……。よしわかった。その決闘を受けようか」

「……ほう」

「……へぇ」


俺は剣を抜くと、剣を地面に置いた。


「……貴様何のつもりだ?」


カタリヌはそう訊いてきたが、俺は地面に置かれた剣から距離を取ると、真剣な目でカタリヌを睨みつけた。それだけでカタリヌは剣を横に構えた。


やはりさすがにAランカーなだけあって殺気に敏感だな。そうだ。お前は俺に一瞬たりとも気を抜いてはいけない。


「カタリヌ、約束しろ」

「……何をだ?」

「これから始めるのは真剣な勝負だ。どんな結果になっても後悔するなよ?」


俺はそう言って最後にニヤッと笑った。


「……ッ!」


カタリヌも真剣な表情になった。深呼吸をして戦闘の準備を整えると同じく殺気を出して言ってきた。


「もちろんだ。貴様に負ける気は毛頭ないがな」

「……そうか。それじゃ、レギン。合図をくれ」

「そうだね。それじゃ僕の出す炎を見てね。それが消えた瞬間が合図だ」

「「了解」」


狭い路地の中で俺とカタリヌは向かい合い、その真ん中にレギンが白い炎を出していた。そして俺の三メートル先には俺の剣。

五秒ほどレギンが炎を出していると、レギンが魔力を切ったのだろう。突然炎が消えた。

そして俺とカタリヌは互いに走って、

俺が剣に触れた瞬間……









俺の首筋には剣が置かれていた。

そして決闘は俺の負けとなった。

















「「は?」」

















カタリヌとレギンが同じ文字を口に出した。

何が起こったか信じられないようだ。


面倒くさいが解説しよう!

レギンの炎が消えた瞬間俺とカタリヌは互いに走り、俺が剣に触れた瞬間カタリヌの剣が俺の首筋に向かっただけ。簡単に言うと、当然のことが起こって当然のように俺が負けただけ。


「いや~、まさか俺がここまであっさり負けるとはな~!」

「いやいや! 貴様、何のつもりだ!?」

「何のつもりもないけど?」

「なんだ今のは!? 普通に終わったじゃないか!」

「そんなの当たり前だろ」


カタリヌは顔を真っ赤にして俺に同じ質問を何回も訊いてきた。俺は何を納得していないのかを知っていながら、知らないふりをした。だって説明も面倒くさいんだもん。


「エリク、さすがの僕も説明がほしいんだけど」


まさかレギンもわかってないのか? そんな複雑じゃないだろう。単純明快なのになぜわからない。お前らはホントにバカだな。そんなんで参謀役が務まるのかよ。


だが、レギンに訊かれたのなら仕方ない。丁寧に答えることにした。


「俺は剣を地面に置いただろ?」

「ああ」

「それから距離を取っただろ?」

「ああ」

「だから負けた。そりゃ誰でも剣を拾う前にやられるだろ」

「ああ。……ん? あれ?」

「まだわかんないのかよ。俺に勝つ気はなかったの。でもこれは最初に言った通り真剣な勝負。後悔しないようにともカタリヌに言った。だからこれは正式な決闘で俺が負けただけ。以上、俺は帰る」


俺は落ちている剣を今度こそ拾うとその場を後にしようとした。だが、もちろん肩を掴まれた。女とは思えないほどのバカ力で一瞬背中には修羅が見えました。コイツマジヤバい。もう一回言うぞ。ヤバい。


「キ~サ~マ~! 最初の殺気もまさか……!」

「う、うん……。出しただけだけですけど……?」


まさか、コイツに敬語を使う日が来るとはな……。なんて考える暇もないくらい俺はビビっていた。心臓を掴まれるということを身をもって知りました。


「もういい……! 貴様にはどうやら何を言っても無駄なようだな……!」

「あ、そ、それなら! 俺、帰ってもいいですよね……?」

「……貴様は何を言っている?」

「ひっ!」


思わず悲鳴をあげてしまった。俺はレギンに助けを求めるように見たが、レギンも今のカタリヌを見るのは初めてだそうで、顔を真っ青にして固まっていた。


「貴様、座れ」

「え?」

「座れ」

「はい!」


俺が素早く座るとカタリヌは下衆を見るかのような目で俺に言った。


「貴様はなんで私が貴様に決闘を申し込んだのかわかるか?」

「俺の実力が知りたいとかではないでしょうか……」

「そうだな。そこはわかっているのだな」

「はい。すみません」


どうして俺は今謝ったのだろうか。どうして俺はこんなにも震えが止まらないのだろうか。わからないことだらけだった。だが、ただの殺気よりも一番怖いのは怒りだとはわかった。


「実はな、私は一回貴様に勝負を申し込んでいるのだが覚えているだろうか。確かあのときは代人が出てきたな」

「お、俺にですか? 代人……。すいません、何のことでしょ……いやいや! 覚えています! 当たり前じゃないですか!」


思い出せ! なんだ!? 一回……代人……カタリヌ……決闘……。あれか……! 初めて会ったときにギルド最強を呼んでこいとか言ってきて、そのとき俺は無視して代わりにソルドが出た奴だ!


「まさか、あのときの……」

「そうだ。やっと貴様と戦えると期待したのだがな。それなのにこれだ。貴様はそんな自分をどう思う?」

「最低ですね、はい」


実際そんなことは一切思っていないのだが、今逆らったら間違いなく俺は死ぬ。ここはとにかく流れに身を任せて……


「そこでだ」

「はい」

「次はギルドの闘技場でやろうと思う。もちろん貴様のことも考えて観客はAランカーのみだ。悪くないだろう? 私がここまで譲歩してやったんだからな」

「はい。……はい?」

「あ? なんか文句でも?」

「い、いえっ! なんでもありません!」


ということで俺はカタリヌに首を鷲掴みされながらギルドに連行された。

そのとき俺の顔が相当ひどかったのだろう、ギルドで俺を見たシルヴィは小さく悲鳴をあげた。



次はちゃんと真剣勝負です!

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