表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
モブヒーロー ~モブで視る英雄譚~  作者: 甲田ソーダ
最終章 ~最後もモブです~
116/149

逃げるが勝ち

要塞を守った者としてカタリヌは感謝の言葉を衛兵たちからもらっていた。

え、俺? もちろんいない者扱いだよ。どっかのホラーの話で出てきそうだろ?


「つうか普通に考えてわからないか? 門の前の敵がいきなりいなくなったんだぞ。逆になぜわからない」


俺はギルドに帰ってきてからヘイゲルとオルウェン相手にグチグチと語っていた。そんな俺を見てオルウェンは苦笑いしながら、


「仕方ありませんよ。だってあなた達が行ったときには要塞の中に敵が入っていたのでしょう? それってつまり全員が中の敵に対処することになっていたのでしょう。それなら誰もあなたの活躍なんて見ていなくてもおかしくないです」

「『なんて』って言うな!」


なんでこいつは俺の傷口に塩をかけることをするの?


「デモ貴様ハ雑魚ヲ蹴散ラシタダケダロ」


このトカゲ野郎だけはぜってぇ殺す。傷口をさらにえぐりやがった。


するとそこでレギンが入ってきた。レギンは空いている椅子を俺達のところまで移動させると、当たり前化のように腰をかけた。


「何? なんでいかにも俺達仲良しです的な雰囲気になってんの? 俺、お前と友達じゃねぇじゃん」

「仲間は皆友達みたいなもんじゃないですか」


いや、知らねぇよ。そんなわけねえだろ。仲間は仲間、友達は友達だろうが。お前の頭お花畑かよ。


「ソレヨリ用件ガアルノダロ?」

「それよりとはひどいですね。これでも私は―――」

「「いいからさっさとイイカラサッサトめろメロ!」」


俺とヘイゲルの叫びにレギンは悲しそうな顔をした。これで世界最強のAランカーとは世の中どうなってんだ。今更だけど。


「実はですね、『蒼い烏』のアジトが見つかるかもしれないんです」

「……」


その言葉は俺達三人の表情を真剣にするには十分すぎる言葉だった。俺はレギンに目線だけで話の続きを促した。


「『蒼い烏』が脱獄した監獄は覚えているかい?」

「確か……なんだっけ?」

「【ヒューロン監獄】です」

「ああ。そうだそうだ。うん覚えてた」

「嘘ガバレバレスギルダロ……」


うっせぇな。覚えてたっつうの。あれだろ、【ニューロン監獄】ん? 違うな。【ニュートン監獄】? すいません、今聞いたのに忘れました。


「その【ヒューロン監獄】がどういうところだったかは?」


レギンの問いに答えたのはオルウェンだった。


「死刑囚しかいないんでしたよね。しかも確実な死刑囚。冤罪などが起きないような人達でしたよね」

「ああ。だが、良くも悪くもその監獄から初めて冤罪で出所することになった者が出てきたんだ」

「……なるほど。あそこは面会もできないところでしたが出所したとなるとその人物に話を訊くことができると」


結局レギンは俺達三人と話しに来たわけではなく、オルウェンと話しかったらしい。それにたまたま俺とヘイゲルがいただけという話だ。


たくっ、それならそうと早く言えよ。俺とヘイゲルはどうすればいいんだよ。話に置いてかれる気持ちを少しは考えろよ。俺はそういう面倒くさい話は嫌いなんだ。


「ソノ人物カラ話ヲ訊クコトガデキレバ『蒼イ烏』ノ手ガカリガ入ルカモシレナイッテ話カ」


ってあれ~! ヘイゲルは追いついてる!? ってことは俺だけ!?


「エリクの意見はどうですか?」

「え!? あ、あ~。うん、そうだ……ね?」


俺の言葉に他の三人は少しの間固まって、俺に背を向けた。


「ドウイウ意味ダ?」

「話に追いついていないのか、聞く気がなかったのかのどっちかだろうね」

「ここまでエリクがひどかったとは……」

「……」


よし、最近の俺の扱いがひどすぎるし、俺はそろそろ帰るか。帰って今日は寝るか。


三人が俺に隠れて俺の悪口を言っている間に俺はできる限り気配を消して、こっそりとギルドを出た。

ギルドを出るとちょうどシルヴィと会った。


「あ、エリクさん!」

「何してたの?」

「ちょ、ちょっとですね……」


シルヴィは気まずそうに後ろを見ると、五、六人ほどの男達が何やら必死な表情で走ってきた。


あ~、なるほど。だいたいわかった。


俺はシルヴィの手を掴むと、


「こっちだ」

「え! エ、エリクさん!?」


シルヴィは突然顔を真っ赤にしたが気にしている場合じゃない。俺はシルヴィの手を引きながらあらゆる路地裏を入り、男達をまいた。その途中で路地裏のチンピラ共がシルヴィに手を出そうとしていたので死なない程度の燃やした。二週間くらいで治るだろうが、後遺症は残るようにした。

俺は人通りの少ないところにシルヴィを連れて行くと手を放した。


「とりあえずここで休憩するか」

「あ、ありがとうございます……!」


人通りが少ないところだからといって、何も俺はシルヴィにやましいことはしようとは考えていない。人通りの少ないということは男達も入ってこないというちゃんとした理由がある。馬鹿にするなよ。

するとシルヴィが突然笑った。


「すいませんエリクさんと初めて会ったときもこんな感じでしたので」

「ん? あぁ、そういえばそうだ。あのときも王国内を走り回ったな」


そうあれは……



次はエリクとシルヴィの過去編です。

最終章でやるものでもないけど。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ