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モブヒーロー ~モブで視る英雄譚~  作者: 甲田ソーダ
最終章 ~最後もモブです~
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変わったモブ

遅くなりました!

本当にすみませんでした!

『蒼い烏』の王国襲撃から一週間、その一週間前が嘘だったかのように『蒼い烏』の動きは止まっていた。

だからこそ、レギンやオルウェンは警戒を促していたが、Aランカー以外の冒険者達はどこか安心しきった様子を見せていた。

そしていつものメンバーが久し振りに朝にギルドに集まった。


「エリクさん。今日エリクさんは緊急クエストの当番ですよ」

「当番? ……ああ、あれか」


普段は緊急クエストというのは突然出されるものであり、当番というものはない。しかし、『蒼い烏』が動き始めてから緊急クエストは毎日のように出され、このギルドでは当番制になっていた。


はぁ……、なんでAランカーがこんなことしなきゃいけねぇんだよ。暇なBランカー以下の奴らがやれよ。


前にも言ったが『蒼い烏』が動き始めてから犯罪者達の数が急激に増加した。最近の緊急クエストはこれの対処なのだ。


「ヘイゲル、今日お前暇だよな? 暇じゃなかったらぶっ殺す」

「悪イガ暇ジャナイ。俺モ違ウトコロニ行カナイトイケナイカラナ」

「よし、殺すわ」

「ナゼダ!?」


お前は耳が悪いな。断ったら殺すって五秒前に言っただろ。


「エリクさん、さすがに今のはひどいですよ」

「うっ……、シルヴィを使うとは卑怯だぞヘイゲル」

「貴様今日ハドウシタ? イツモ以上ニ変ダゾ」


おかしいな。今の言い方からすると俺は普段もおかしいように聞こえるぞ。俺は最近はまだしも普段は超ノーマルだろ。


「エリク様は最近自分が活躍していないことを気にかけておられるのです」

「別に気にしていないし。どうせ俺は炎を森の中であげて、森と一緒に心中しそうになったバカですよ」

「オ前ハ普通ニバカダロ?」

「殺すぞ!」


そう、俺は王国襲撃事件から珍しく落ち込んでいた。そう珍しく。これ大事ね。


ジンがギルドに入っていた頃はまだ活躍していたと思うんだよな……。だけどな、いつからだろうな。エルフの里から帰ってきた辺りかな俺、活躍どころか足手まといしかしていない気がするんだよな……。


「そんなことありませんよ。エリク様がいなかったら一週間前に王国は滅亡していたかもしれません」

「俺が活躍しなくなったのはアイシアとミレアの一件からだからな」

「それについては何回も謝ったじゃない……」


それですべて許されるなら憲兵はいらねぇんだよ。


とにかく最近の俺は活躍が少ないことを気にしていた。あのヘイゲルですら仕事しているのにな。


「ナゼカワカランガ馬鹿ニサレタ気ガスル」


どんどんヘイゲルは自分の悪口を察知する力が上がってきている気がする。いつか被害妄想で死ぬんじゃないか?


「話は戻して、俺はどこに行けばいいんだ?」

「【バドルガ要塞】です。なんでも犯罪者達が手を組み始めたらしく、集団で要塞を落とそうとしているようです」


要塞を落とすだと? 一体何の目的があって……。まさか『蒼い烏』の差し金じゃ―――


「要塞を落とすことにロマンを感じているそうです」


くだらねぇロマンだな、おい! 嬉しいのか!? 要塞を落とすことが!? バカかよ!


しかし、俺一人で犯罪者達を倒すことはできはするが、時間がかかる。そこをどうにかできないかとシルヴィに言おうとしたところでギルドの門を開ける音がした。

シルヴィとミレア以外が後ろを振り向くと(ミレアは俺にしか興味がないため)、そこには本当に久し振りに見た人物が立っていた。


「えっと……、あれだ。カトリーヌ」

「貴様失礼ダロ。カタラヌだ」

「かたりぬだよ。名前はちゃんと覚えなきゃ失礼だよ、えりく」

「「……」」


昔は俺にそんなこという子じゃなかったのにな……。リンも成長しているんだな……。


「貴様達二人は私のことを完全に忘れていたようだな……! こんな屈辱は初めてだ!」


お前のジンに対するアピールの方がもっとひどいと思ったが口には出さない。俺超やさしい。


「それで何の用だ? ジンなら来ていないぞ」

「あっ、それなんですがエリクさん。今回のクエストはカタリヌさんと協力してやるそうです」


シルヴィがそう言うとカタリヌは首を二回縦に振った。


なるほどね。Aランカーが二人いればクエストも早く終わるしな。


ということで俺はカタリヌとクエストを受けることになったのだが、それに一人反対する者がいた。

言わずもがな、ミレアである。

ミレアは俺の腕を抱き、


「違う女と行くより私と行きませんか、エリク様」

「カタリヌは最近出番がなかったが「おい!?」うざい黙れ、この野郎。それに対してお前は出番がありすぎだ。できれば一生出番がなくなればいいのに」

「最後のやつ、完全に本音ね……」


そう言うアイシアも最近出番がないのだが、言わないでおくのが俺の優しさ。


「そう言うあなたも出番が最近少ないと思いますけどね」

「うるさい! っていうか誰だ、俺を侮辱するやつは!」

「事実じゃないですか」


今度はオルウェンが門から現れた。どうやらレギンとの作戦会議が今終わったようだが、そんなの関係ねぇ。


「現れていきなり侮辱とはどういうつもりだ、オルウェン。殺すぞ」

「貴様、サッキカラ『リン』ノ前デソンナ言葉ヲ使ッテイイノカ?」


……あ、やべ。


「でもえりくの調子がやっと元に戻ってきているからわたしはうれしいよっ!」


リン……。ありがとう……! リンみたいな子が世界にありふれていたらいいのに……!


「だが、それはおいといてオルウェンどういうつもりだ?」

「君は相変わらず根に持つんですね」

「話を逸らすな。答えろ」

「だって、エリクの必死な火柱も王族は触れずに終わったじゃないですか」

「終わったって何が?」

「え? だから打ち上げですけど、知らなかったんですか? 道理で見かけないと思ったら」


緊急クエストに行く前に俺は完全に心が折れました。

めでたくない、めでたくない。



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