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モブヒーロー ~モブで視る英雄譚~  作者: 甲田ソーダ
第六章 ~モブの出番が少ないです~
109/149

準備完了

ミレアと別れた後、俺とレギンは必死に逃げ回っていた。


「Aランカーが二人揃って逃げるとはどういうことだ! エリク!?」


どうやら俺の因縁の相手―――フランの口調は少しイライラしているように思えた。


「Aランカー達が転移してきたのにお前だけがいなかった俺の気持ちがわかるか!?」


いや、知らねぇよ……。お前に俺の何がわかる!?


「目が覚めると王国が燃えて、俺は家に押しつぶされていたんだぞ! お前こそそのときの俺の気持ちが分かるか!?」


俺とフランは追われる側と追う側に分かれて口喧嘩していた。そんな中、『蒼い烏』のメンバーが一斉に、


「「「フラン、あいつを知っているのか? 俺はまったくわからんが」」」

「……」


横にいるレギンが俺を可哀想な目で見てきた。いじめはいけないことだと思います。


「馬鹿野郎! あいつが俺の因縁の相手だ! テメェらが敵う相手じゃねぇよ!」


……なんだろう。敵のはずなのに少し嬉しいよ……。ありがとう、フラン……。


会話だけを聞いて、俺達の今の状況を甘く思っている人に言おう。そう言っている間にも俺達はかなりまずい状況に追い込まれていた。

相手は約三十人、この状況で俺達を取り囲まない奴はいないだろう。


「ミレア……! 早くしてくれ……!」

「もう終わりましたよ」

「「「「「は?」」」」」


俺だけでなくそこにいるすべての人が驚いた。


「えっ、誰?」

「いつからいた?」

「つうかなんでメイド服?」

「おい! エリクっ、お前の新しい魔法か!?」

「いや、俺だって驚いただろ! パニクってんじゃねぇ!」

「君たち敵同士だと忘れてませんか……」


レギンが誰よりも早く落ち着きを取り戻し、その次はもちろん俺だった。俺としてはミレアを知らないレギンがなぜこんなにも早いのかの方が驚いた。『蒼い烏』は知らない人が俺達に気付かずに現れたことに相当驚いていた。


まぁ、そりゃ俺でも驚くわ。ホント、ミレアって異常だよな。


「私はそんなに異常ですか?」

「「「「「!?」」」」」


あ~あ、いきなり俺の心を読んだからさらに驚いてやがる。ざまぁみろ。


俺がそんなことを考えていると、レギンがため息をついた。


「ミレアさん、準備が整ったのなら早く始めてください」

「わかりました」

「……あ? お前ら何を……?」


フランは何が何だか分かっていない様子だったが、わかっていたところで無駄な話である。

俺がミレアを見るとミレアは軽く頷いた。


「これで大丈夫です。あとは……」

「……へ?」


あとは? 結界を張ったのならもうすることはないんじゃ……


その疑問に答えたのはレギンだった。


「今私達は囲まれているのですよ。半分はこちらに来れませんが、半分は……」


そこまでで俺は事態を把握し冷や汗が流れ始めた。


「つまり、もう半分をあっちに出さないと……」

「それだけではありません。こっちに来れなくても遠距離からの攻撃であれば」

「はぁ!?」


俺だけが驚いて、レギンは今更気付いたのですか、と言うかのように呆れていた。誰もがお前やオルウェンみたいに頭の回転を早いと思うなよ。


「それなら、さっさと動いた方が……!」

「そうですね」

「いや、その必要はないよ」

「「え?」」


今度は俺とミレアが疑問を浮かべた。というかさっきから俺疑問しか浮かべてねぇな。

そんなことはさておき、レギンは手を森の奥にかざした。


「……! お前らすぐこっちに逃げろ! くそっ、あの野郎……!」


フランはいきなり焦ったように仲間達に命令した。仲間達は最初はわからなかったが、すぐその意味を知った。

森の奥から白い光が近づいてきた。いや、白い光ではない、あれは……


「白い炎の鳥?」


森の木をすり抜けて、白い鳥はこちらに向かっていた。その炎を見て『蒼い烏』の一団は結界から脱出するように移動した。


「なんであいつら逃げてんだ?」

「エリク様、あの炎はレギン様の魔法の【浄化の炎】です。自分が燃やしたいもの以外を燃やす魔法です」

「ますます俺の存在価値がなくなってきたな……」


つまり俺の魔法で引火した森を消火したのは、レギンの魔法ということだ。炎を燃やすのはチートだと思います。


「エリク様の価値は私がいるかぎり不滅です」


それ逆に言えばお前を除いた人間が俺に価値がないって言っているのと同じなんだけど……。


「そうです。だからエリク様は私と一緒にいるべきなんです」

「そうか~。わかったよ……」


俺がそう言うとミレアは嬉しそうな顔をした。だが、俺の話はまだ終わっていない。


「……とはならないから安心しろ」

「……どういうことですか?」

「悪いがお前の発言は間違っている」

「……なぜですか?」


俺はニッと笑ってミレアに言った。


「最低でもシルヴィはそんなふうに俺を思っていない! ……はず」

「断言できないのが残念ですね」


うっせぇ。つうか、レギン。テメェ、いつから魔法の準備してたんだよ……。あの魔法すぐに発動できるもんでもなかっただろ。


俺がそう言う前にレギンが笑って言った。


「それより、早く逃げましょう。ミレアさんの魔力が尽きる前に王都へ行っちゃいましょう」

「……了解」

「テメェら……! 逃げるのかよっ、エリク!」


三十対三(?)で相手になるわけねぇだろ。逃げるしかねぇだろ、この状況。


そんなわけで俺達は『蒼い烏』三十人相手に逃げ切ることが出来た。ミレアがいなければ、不可能だったがそんなことをミレアに言ったら……


「エリク様、既成事実を」


言われると思っていたので笑顔で返した。


「752年後に出直してきてください」

















「半端ですね……」


 

次はベルンハルドです

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