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モブヒーロー ~モブで視る英雄譚~  作者: 甲田ソーダ
第六章 ~モブの出番が少ないです~
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モブ、目が覚める

俺は似た者同士のベルンハルドと国王誕生祭を楽しんでいた。俺はベルンハルドに次は俺が食べると言い、その店に行くと怪しげなメイドがそこにいた。

必死に逃げようとした俺の体はベルンハルドによって封じられ、怪しげなメイドに料理を食べさせられると……








体が家に押しつぶされていた!


どこかにいそうな名探偵風に俺は話しているが、マジこの状況はどうなってんの? なんで俺は家に押しつぶされているの?


俺は動かない体を無理に動かそうとしたが、その瞬間、足から骨の折れたような音がして本格的に動けなくなった。


「俺が気絶している内に何があったんだ……」


俺が首を回すと、王国は炎に包まれていて、必死に何かから逃げようとする人達がいた。

そこで大きな爆発が起きた。その爆発の方向を見ると、その方向にある家から人が吹き飛んできた。


「ぐっ……!」


その人物は空中で一回転すると、きれいな着地をした。


……ほう、なかなかできるようだがこいつは一体。……え!?


その人物はジンだった。ジンは口元の血を拭うと自分が吹き飛んできた方向を睨みつけた。


「いや~、面白くなってきたな~。やっぱりこれが祭りだよな~!」

「……!」


その声を聞いて俺は驚きを隠せなかった。その声の人物を俺は知っている。


「……ジン!」


ミーシャがジンの元へ駆けつけてきた。


……こいつがいるってことはまさかもう来たのか!?


煙の中から現れたのは三十前半の男だった。その男はこの王国の悲惨な状況を見て、心底面白がっていた。


「お、おい! あんた、大丈夫か!?」


そんな中、一人の男が俺に声をかけてきた。その男はいかにも一般人であったがその非力な腕で俺を押しつぶしている木材を必死に持ち上げようとしていた。


「ほう、なかなかやるようだな、新人君達」

「新人でも俺達はAランカーだからな」


男が必死に頑張っている間もジンと男の戦闘は激しさを増していた。

俺は腕を使って家からの脱出を試みようとしていたが、なかなか前に進むことはできない。

すると、遠くで家が破壊されたような音がした。


「あっちではどうやら激しい戦闘が行われているな。ま、あのベルンハルド相手だったら当然だな。にしても俺の本当の相手はリーランなんだがなぁ」

「リーランはお前なんかに構っている暇がないそうだ。それに俺で十分だろ?」


ジンがそう言うと男は軽く口笛をした。ジンの狙いは男を違う場所に行かせないこと。そのための挑発だと男もわかっているようだが、あえて気付かないふりをしていた。


バカが……! ジン、テメェが勝てる相手じゃねぇ……! 早く逃げろ! そしてお前もだ!


俺は今も必死に頑張っている男を睨みつけたが男は何を勘違いしたか、


「安心しな。今助けてやるから」


違ぇよ! お前がいる限り俺は魔法を使えないんだよ! 早く俺から離れろよ!


「ひゅ~♪ やるね~。気が変わった、お前は俺が殺してやるよ。ほら、楽しい楽しい殺戮の時間だ」


ジンと敵対している男は腰を低く落とすと俺達二人の方へと飛びかかってきた。


……! やべぇ!


「……! 待て! くっ、ミーシャ!」


ジンがそう言うとミーシャはすぐさま手を男の方にかざした。すると地面から巨大な木が飛び出し的の動きを封じるかのように動いた。しかし男は軽い身のこなしでその巨大な木を足場にしていた。


「そんな簡単にやられるわけないでしょ」

「そんなのわかってるつうの」

「! ……ほう」


ミーシャの魔法で一瞬遅くなった隙にジンは男のすぐ後ろまで追いついていた。男は分が悪いということで足を止めた。逆にジンはその敵を追い越し、俺達をかばうように立ちふさがり、俺達に叫んだ。


「早く逃げろ!」

「お、おう……」


お前……! その口の利き方はおかしいだろ! これでも俺はお前の先輩だからな!


俺がジンに怒っている間に、男は俺の腕を自分の肩に回した。俺は足が折れているので歩けないがなんとかその男のおかげで移動することができた。


少し歩くとオルウェンが手を振っているのを見つけた。ひとまず俺達二人はそこへ移動すると、オルウェンの後ろには大きな壁ができていた。


「俺は大丈夫ですが、この人は足をケガしています! 助けてやってください!」

「早くこの中に入って! それと君はこっちに来て!」


ということで男は【絶対障壁】の内側へ、俺はオルウェンの手を借りて医療テントへと移動した。俺の治療が行われていると、オルウェンはいきなり俺の頭を叩いた。


「何すんだよ……」

「エリク! どうして君が一般人に助けられているんだ! 逆だろう!?」

「仕方ねぇだろ。目が覚めたら王国が火だるまだ。家に押しつぶされているし、俺は今の状況がまったく理解できてねぇんだよ」


俺がそう言うとオルウェンはため息をついた。それから深刻な顔をして言った。


「『蒼い烏』が襲撃してきました。今、みんなで逃げ遅れた者達の救出に行っています」

「それはわかる。今さっきジンとゴーギャンが戦闘を行っていた」

「ゴーギャン!? それってリーランの……!」

「ゴーギャンは完全にジンに狙いを定めた。これがどう意味かわかるよな?」


俺がそう言うとオルウェンは顔色を曇らせた。俺は一呼吸してから宣言するように言った。


「間違いなくジンは死ぬぞ」



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