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不思議な人形部屋

作者: らいか

かなり久々の投稿です。

時は深夜、俺は今、廃屋敷に潜入している。


この屋敷には昔、すごい金持ちの奴らが住んでいたらしいが、


話によるとある日の夜、この一家を強く恨んでいた貧民層の人間たちに襲われ、


一家全員が殺害されたらしい。


その後、事件の捜査の為、何人かが屋敷に入ったのだが、2,3名が消息を絶ったらしい。


それからは皆気味悪がり、誰も近づかなくなったらしい。


そして、この一家は父、母、娘の三人暮らしだったのだが、娘だけ死体が見つかっていないらしい。


話では、一家の亡霊が近づくものを襲い、あの世へ道ずれにしているとかいう話もある。


その為、この屋敷はほぼ荒らされていないという。


だから俺は、一攫千金を狙うべく、潜入している訳だ。


「さーて、どこから探そうかな。」


俺は幽霊なんか信じない。まあ、ちょっと怖いけど。


今俺は屋敷の玄関にいる。左側には扉が2つ、正面には二階に続く階段、右には扉がある。


まあ、取り敢えず右の扉から調査するか。


右の扉を開けると、書斎だった。


「うっ、血の臭いか。」


恐らく父はここで殺されたんだろうな。書斎のテーブルに赤黒い痕が残っている。


だが、流石に死体はすでに回収されているようだ。


結構生々しいな……


だが、書斎ってことは、何か金目の物があってもおかしくないはずだ。


「探してみるか。」


俺は、テーブルの下や、タンスの中、本棚を捜索した。


だが、特に何も見つからなかった。


「ちっ、何もねぇな。」


やっぱり事件捜査のとき、金目のものは差し押さえたのかな。


仕方がない、玄関に戻ろう。


玄関に戻ると、さっきまでなにもなかった場所に何か落ちていた。


「ん?なんだこれ。」


落ちているものを拾ってみた。これは……


綺麗な金髪に、ピンクのドレスを着た可愛らしい人形だった。


「こんなのさっきまであったっけ?」


タス……ケテ


「うゎいっ!?」


突然人形から変な声が聞こえ、びっくりしてしまった。


「い、今、人形が喋った……よな。」


タス……ケテ


次は二階から聞こえてきた。


なんなんだここは……


どうしよう、帰ろうかな。


でも、このまま帰ると収穫はゼロだ。


「仕方ない、二階に何もなかったら帰ろう。」




二階に上がると、左右に扉がいくつかあった。


その中の一つ、左側の扉がひとつ開いていた。


ダレカ……タスケテ


どうやらこの声はあの部屋から聞こえるな。


怖いが、入ってみるか。


俺は部屋に入った。


「うわぁ、すごいな。」


部屋に入ると、そこらじゅうに人形が散らばっていた。


この部屋は、一家の娘の部屋か?


中は暗くてよくは分からないが、人形がこんなにあるってことは、


恐らくそうなんだろうな。


一応色々探してみるか。


クローゼットを開け、何かないか探していると、突然部屋の扉が閉まった。


「なんで!?誰も居ないはずなのに。」


俺は部屋の扉を開けようと扉のノブを捻り、押すが、何故かビクともしない。


「なんで開かないんだ!?」


外に扉を塞ぎそうなものも無かったのに、どうなっているんだ!?


一応部屋の窓も開かないか確かめる……だめだ、ビクともしない。


俺はこの部屋に閉じ込められたようだ。


くそっ!なんでだ!


タス……ケテ


ダレ……カ……


なんなんだよ!くそっ!!


「ねぇ……あなたは誰?」


「ひゃいっ!?」


誰も居ないはずの部屋で話しかけられ、思わず変な声を上げてしまった。恥ずかしい。


「えっと、君……は?」


「私はエリカ、この部屋に住んでいるの。」


「え?でもこの家の人は皆死んだはずじゃあ……んんっ!?」


俺は話しかけてきた少女を見て驚いた。


なんとこの子、下半身が透けている。そして浮いている。


「あなたも、何かを盗みに来たの?」


「え、えっと……」



ここで本当の事を言うと何かまずいことになりそうだな。


「ち、違うよ。事件の捜査に来たんだ。」

「へぇ、こんな夜遅くに?」


「う。」


中々痛いところを突いてくるな。


「まあいいや、ねぇ、私の人形見なかった?」


「金髪の人形ならさっき玄関にあったけど。」


「良かった。家から出てなかったんだ。」


出てなかった?それじゃあまるで、人形が自分で歩いているような言い方だな。


「あの人形、実は私の家を荒らしてた男なんだ。」


「え?」


「実はね、私、死んでから人を人形にできるようになったんだ♪」


何を言っているんだこの幽霊は。まあ幽霊と話せている時点ですでに色々おかしいのだが。


「でもね、人形にしても私、幽霊だから触れないんだ。」


「そ、そうなんだ。」


「だから、あなたの体、欲しいなぁ。」


「は?」


何を言っているのか分からなかった。


俺の体が欲しい??


「あなたは幽霊である私の話、ちゃんと聞いてくれたから、悪い人じゃないもんね。

私、悪い人の体なんて欲しくないし。」


まずい、このままだと絶対にやばい気がしてきた。


「で、でも、捜査に来た人だって悪い人じゃなかったはずだ!何で俺なんだよ!」


「だってその人達、私が話しかけたら皆怖がって逃げて行っちゃったんだもの。


だから、あなたの体がいいな!」


「なぁ、俺、そろそろ帰らないといけないんだけど。」


「ん?駄目だよ?あなたの体必要だし。」


「そこをなんとか―」


「じゃぁ、あなたの体貰うね!それぇ!」


彼女の両手が光りだした。その光は俺の方へと飛んできて俺の全身を包む。


「な、なんだこれ!?か、体が熱いっ!」


「んー、私、女の子だから、まずは体を作り変えないとっ!」


彼女がそう言うと、俺の体は少しずつ背が縮み始めた。


「な、なんなんだこれぇ!」


「あと、胸は……ちょっと大きめにしよっと。」


彼女がそう言うと、俺の胸が少しずつ膨らみ始めた。


「あと、声はもっと女の子らしい可愛い声にっと♪」


「む、胸が膨らんで!こっ、声が!?」


俺の声は甲高くなっていた。そして胸も男とは思えない大きさになっていた。


「後は、髪の毛だね。綺麗な銀色の長い髪の毛になぁれ!」


俺の髪はみるみる伸びていき、そして銀色に染まっていく。


「あとは、私の着ていた可愛い服になぁれ!」


俺の着ていた服は消え、代わりに青色でフリルが沢山ついた可愛らしいドレスに変わった。


「よし!完成!」


「あぁ、俺、どうなっちゃんたんだ!?」


「ほらほら!鏡で見てみて!」


彼女は鏡を持って、光を照らした。


鏡に写っていたのは青色の可愛いドレスに身を包んだ、銀髪ロング、紫眼の可愛い少女が


写っていた。


「おれ、女の子になったのか?」


俺はさっきまでなかったはずの大きな胸に手をやる。


「んっ……本物の胸だ。じゃあ下半身には……ない。」


下半身にあるはずの棒は付いていなかった。


「どう?私の体。可愛いでしょ?」


「元に戻してくれ!」


「嫌だよ。」


「ど、どうして!?」


「だって、その体は……私が使うために作り変えたんだもの!!」


彼女はそう言ったと同時に、俺の体に入り込んできた。


「な、何をして……あ、頭がぁ!!」


頭に強烈な痛みが襲う。


「あああああああっ!」


何かが俺の頭に何かを吹き込んでくる。


これは……部屋で人形と遊んでいる風景か?


まさか!あの女、俺の頭に記憶を植え付けているのか!?乗っ取るために?


「や、やめろぉぉ!」


「もう遅いよ。あなたは今日から私になるの。心も体も。そして私が置いていってしまった


人形さんたちと沢山遊ぶんだ。ずっと、ずぅぅぅっとね!」


「嫌だぁ!私男なのぉ!人形なんて興味ないのぉ!」


嫌だよぉ!こんなところでずっと人形遊びなんて!


私はこの家から金品を盗んで、金持ちになりたかったのにぃ!


「ふふ、あともう少しで私になれるんだよ?我慢してね!」


あれ……私って、誰だっけ。分からなくなってきちゃった。

何だろう、何か大事なことを忘れちゃってるような……


あ、そうだ、私はエリカ。エリカだったわ。


なんでこんなこと忘れていたのかしら。


「よし、完成っと!あとは私の精神を一体化して、と。」


「うん!これでオーケーね!懐かしいなぁ、生身の体は。」


お人形さん達のお世話、全然できてなかったからなぁ、沢山お世話しなきゃ!


「ありがとね、お兄さん。この体、大事に使うね。」




最近、誰もいないはずの廃屋敷から少女の楽しげな声が聞こえてくるらしい。


ある部屋の窓には、たまに小さな影が映ることもあるらしい。

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