2/93
プロローグ
この世界は一体、何で出来ているのだろうか。
いま握り締めているスマートフォンは、そして俺の肉体は――何で出来ているのだろうか。
万物を構成している根源の存在。
大昔の偉い学者さんは、それに「元素」と名づけた。
もちろん元素って言っても、今の俺たちが知っているような百種類以上もあるものじゃなくて、もっとずっと大雑把な分け方だったけれど。
それからその学者は、元素と元素を結びつけて物質を構成させている力のことを「愛」と呼んだ。
この世界もスマートフォンも――それから俺の体も、沢山の元素と、それを結びつける愛でできてるんだってさ。
なんかむず痒いっていうか、まるで安っぽいポエムみたいだよな。
俺もずっとそう思ってた。
けれど今は少し――ほんの少しだけど、理解できる気がするんだ。
そのきっかけをくれたのは六人の女の子。
大切な、愛しい、可愛い、俺の仲間たち。
さて何から話したものだろうか。
そうだな。
まずは六月も終わりに差し掛かった、あの日の出来事からがいいかな――。