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麗龍学園生徒会  作者: 穂兎ここあ
ラ・ファウスト学園編
43/410

33 圭の姉と美少女説

「芽榴姉!」


 圭のいる公立高校に行くと、圭とその友人たちは校門のところで待っていた。


「暑いんだから校舎で待ってればよかったのに」

「炎天下なんて部活で慣れてるから余裕だって」


 圭はそう言って芽榴に駆け寄る。芽榴の姿を見た友人二人は瞠目して固まっていた。


「圭の姉ちゃん、麗龍に通ってんのかよ!?」

「マジか! すげー」


 尊敬の眼差しが痛い。この通りで行けば、生徒会役員と告げた時点で拝み始めそうな勢いだ。

 そんなふうに2人がはしゃぎ始め、下校途中の生徒が何人か振り返る。芽榴は咄嗟に圭の背中に隠れた。


「え!? 圭の姉貴来てんの!?」

「マジ? どこだよ!? 美少女!」


 その中には圭の友人もいるらしく、そんな反応をされた。『美少女』と騒いでる件について芽榴は目を細めた。


「圭。私のこと何て言ってるの……」


 芽榴が恨めしそうに圭のことを見上げると圭はブンブンと手を振った。


「んな目をされても……俺は芽榴姉の話したことねーよ。だろ?」


 圭は背後の友人二人に問いかける。二人は頬をかいて困った顔をしていた。


「まぁ、話には出さねーけど……。姉貴に作ってもらった弁当を食べる圭の姿見たら……なぁ?」

「あの圭を見たら誰でも美少女を想像す……! いや、あれだぞ!? 別に圭の姉ちゃんが可愛くないとかじゃねーから!」


 圭が睨むとチョンマゲ男は顔を青くして訂正し始めた。やはり誰が見ても芽榴は十人並みの容姿だ。


 しかし、二人の言うとおり圭の姉=美人の方程式が成り立っているようでどんどん人が集まってきた。

 どうも圭は学校でも有名人らしく、男女共にたくさんいる。

 芽榴は溜息をついて俯きがちに前へ出た。


 唖然とした空気が突き刺さって痛い。


「えっと……圭の姉です。圭がいつもお世話になってます」


 芽榴はそれだけ言ってまた圭の後ろに隠れた。


「圭のバカ……」


 芽榴が呟くと、圭はゴメンと芽榴に平謝りし、背後の友人たちに文句を言っていた。


 その圭の姿にも一同唖然。すでに芽榴に対する圭の姿を見ている茶髪くんとチョンマゲくんは他の友人たちの肩を叩いて何度も頷いていた。


「楠原くん……!」


 悶絶するような声を出して消え去る女子も多数いる。


「とにかく行くぞ!」


 圭は芽榴の腕を掴み、友人たちにそう言い放つとさっさと校門を出て行った。


「言わんこっちゃねー」

「明日女子が何人休むかな?」


 背後で圭の友人二人が困ったように言う。


 芽榴にはよく分からないが、とにかく圭の高校には極力来ないことを心に誓った。

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