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第一球 Start of chapter

どうも、洞爺と申します。

このサイトで初めて小説を投稿さしていただきました。読者様に楽しんでいただけたら嬉しいです。

ある映画に触発され俺は小三の時に卓球を始めた。

俺は卓球の楽しさを知りどんどんと卓球にハマっていった。

ボールを返すのが楽しい、点を取ったときが嬉しい。スマッシュを決めたら楽しい。それだけだった、それだけで俺は卓球を続けていた。そんな俺には結果がついてきた、ホープスの部での優勝。

それが、もう言葉に出来ないほど嬉しくて俺は益々卓球にハマった。それが小5の時。

もう、その時は卓球が楽しくて、楽しくて仕方がなかった、スマッシュ、レシーブもう卓球の全てが。皆が辛いと言う練習さえ楽しく感じれるようになった。休日だろうが平日だろうが俺は卓球の練習をした。

練習だけじゃなく筋トレもこなした。全て卓球を楽しむだけのために。

だけど俺はある出来事を境に……卓球を辞めた。

そう、あの日を境に…………


   ***


「え~、であるからして」

うっわ、校長の話長ぇ。聞くの面倒だな……寝るか? 立ったまま寝るか? とか思うけど入学式、早々はマズイだろうから我慢しよう。

にしても退屈だなコンチクショウ。退屈すぎるとグレちゃうよ? 俺グレちゃうよ?

……俺の言葉が通じるはずもなく校長の話は長々と続く。俺はふと思う、校長のこの長ったらしい話に心を動かされる奴はいるのだろうか、関心するやつはいるのだろうか。俺は正直居ない、と思う。

居ないなら……なんで校長ってこんな頑張って話してんだろうなぁ。誰からも求められてもないのに、関心を得てないのに頑張ってるって、すげぇよ校長。俺は挫けちまったのによぉ、頑張ることを。

そういうこと尊敬してやんぜ校長。

と、こんな偉そうなことを考えていると校長の話が終わり各クラスの担任紹介が始まった、始業式じゃねぇから一年だけだけど。どうでもいいかな~と思いスルーしようとボーとしていたら俺のらしいの担任が舞台の上に立っていた、見た目は結構ぽっちゃりとして穏やかそうだ。髪は白髪でワックスとかを使ってるわけではなさそうなのに綺麗に七三分けになっている。

「えー、ご紹介にあずかった崎本賢治さきもとけんじです。どうぞ、よろしく」

それだけかいっ!

崎本先生はそれだけ言うと舞台から下りさっきまで居た位置へと戻っていった。

なんか…ゆるそうな先生だな、あの人なら校則違反とか許してくれるかもしれん、よし今度試してみよう。あ、そろそろ入学式終わりそうだな。

と思ったら教頭がマイクの前に立ち

「これにて兜皇学園中等部の入学式を終了します」

と言った。おー、やっと終わった終わった。教師がなんかゴチャゴチャ言ってるけどなんにも聞こえましぇーん。さ、とっとと教室戻りますかね。

ぞろぞろと体育館の扉から人が出て行く光景……気持ち悪ぃーな。まっ、俺もその一員なんだけどさ。

俺は体育館から出ると手を空に向けのびをした。んーっ、気持ち良いねぇ堅っ苦しいことの後のコレは。のびに加え少し暖かい風がゆるりと吹いてるからもっと気持ちいい。

あれ? 誰かが近付いてくるぜよ……あの感じ二年か三年の先輩だな、今日は入学式。つまり一部の三年しか参加してないから三年の先輩だな。

「ちょっといいかな?」

うわっ、話かけられた。先輩がなんの用だよコンチクショウ、俺は人見知りなんだよ緊張しいなんだよ。

「はい、大丈夫ですけどなんか用っすか?」

俺は敬語とかけ離れているような気がする言葉で返した…敬語とか使えねぇ!

それにしても本当に何の用だろうか……目ぇつけられることした覚えねぇぞ。

「白木一茶君だよね? あ、間違ってたらごめんね。」

「そうですけど」

「僕ね卓球部の三年なんだけど卓球部入らない?」

は? まさか…知ってんのか? コイツ、俺が昔卓球やってたこと。

まあ、一時期この辺じゃ有名になってたけどさ…「期待の新人 まさに天才」的な感じで。……卓球、か。もう、やる気ないのよね~俺、面倒だし。楽しいのは楽しいけど、あんな思いするの嫌だし。初対面の先輩にこんなこと言えないからやんわり断るかねぇ。

「すいません、俺もう卓球をやるつもりないんすよ」

そう答えて俺は教室に向い歩いていった、だけど俺は途中で立ち止まる。

目の前に桜の木があるからだ。

体育館の前ある庭には季節感が出てるなーと思える桜が咲いている、俺はこの『私立 兜皇学園』に受験に来た時にこの桜に一目惚れした。別に花なんて咲いていやしない、まだ蕾がぽつぽつとついてるだけだった。だけど俺はこの桜に魅かれた、なんか桜っていいよなぁ。風がぴゅ~っと吹いて空に花びらが舞うのも切ないけどすっげー綺麗だし、うん。

あぁ、そろそろ行かないと今日は大したことしないんだろうけど遅れちまう。

残念。もっと見ていたかったぜ……ま、今度からいつでも見れるか。

俺は今度こそ教室に行くために小走りで教室に向った。

「お、一茶じゃん」

「おお」

俺が教室に行くと友達の久原千秋くはらちあきが椅子に座っていた。

千秋とは腐れ縁みたいなもんだ、小さい時からの付き合いで同じ卓球クラブにも入っていた、勿論小学校も同じ。でも、俺が小5の時引っ越したはずなんだけど……

「こっち戻ってきてたのか」

「ああ、親がまた転勤することになってな。どうせならスポーツの名門校に入ってやろう と思って受験した。卓球は微妙らしいけど……ここ」

「まだ卓球続けてんのかよ」

驚いた、俺に誘われて無理矢理入らされたのにまだ続けていたとは。正直、引越しすると辞めるだろうと思ってたし。こんなとこに入ったと言うことは結構良い線行ったのかねぇー卓球には興味ないけど若干、気になるわ。

「あたぼうよ、面白れーじゃん卓球。お前もやんだろ? 今度一緒に入部届け出しに行こ うぜ」

「パス、俺やらねーし。さっき先輩からスカウト来たけど」

俺は少し笑いながら言った。自分で言ったんだけど、何故か笑えるぜ…スカウトて。

「マジで!? あんだけ好きだったのにな、卓球。まあ、本人がやる気ないんだったら仕方ないか」

「悪いな」

俺はそう言い、適当な席に座った。入学式なので、座る席はどこでも良いらしい。正式な席は後日決めるそうだ。…黒板にそれ以外書くことなかったのかよ。

む、隣に誰か座ってきたぞ。よくこんな顔が怖いって言われるやつの隣なんかに座れるな、認めてないけど。誰が強面じゃい! 俺の隣に座ってた奴はおとなしそうで穏やかなやつだった、顔すんげぇ整ってるし…小さめだし…こういうのが女子にモテるんだろうなぁ。

「あ、あの…よろしくね」

隣に座っている笹村(名札に書いてあった)が急に話しかけてきた。俺は少し吃驚しながらも「ああ、よろしく」とだけ返事をした。

なんか、男の俺から見ても可愛いとか思えちゃうなこいつ。癒し系のオーラ出てるよ、オーラが出ちゃってるよ。こういう奴が母性本能ってやつをくすぐるんですな。にしても、なんで俺の隣に座ったのかねぇ他にも席空いてるとこあるし馴染みやすそうな奴なんて一杯いるだろうに…

「えっと僕、笹村樹って言うんだ」

うぉう、急だな。なんだこいつ、急に話すの大好きなのか? 自己紹介されたってことは俺もした方がいいのか。

「俺は白木一茶。変な名前だけど気にすんな」

一茶って名前はよく変って言われる、母ちゃんが小林一茶? が好きでつけたらしい。

まあ、そんなことはどうでもいいけど。

「そ、そんな! 変じゃないよ全然」

「そうか?」

「うん!」

「ははっ、ありがとうな笹村」

こいつ面白いな、喋ってみると。キョドってるとこが笑えるというかなんというか、とにくかく面白い。

「俺と友達になろうぜ、笹村」

俺が急に言う。…うつちゃったちょ、『急に何かしらを言っちゃう症候群』 んなもんないけど。

なんか…思っちゃったのよねぇ、こいつと友達になりたいって仲良く出来そうだし、こいつとなら。

「え。僕でいいの?」

「ああ、俺でいいなら」

「じゃあ、よろしくね! 一茶君!」

俺は一茶君と呼ばれキョトンとした。一茶君なんて初めて言われたわ…ずっと白木君か一茶だったし、なんか不思議な感じじゃ。でも新鮮で良いねぇ、さすが入学式だな面白いことがわんさかあるぜ。 

この後、笹村と色んなことについて喋ってた、喋って分かったけど意外と気が合うみたいだ。好きなゲームジャンルも同じだし話が合う。良い友達にめぐりあえたぜ。 俺と笹村が喋っていると先生が入ってきた、それに吃驚した俺達は結構な大声で喋ってたため、急いで前を向いた。

…いきなり入ってくんなよな、先生。

その後、先生が話をし配るものだけ配って今日の授業? は終了した。

「一茶、一緒に帰ろうぜ」

「うい」

俺が教室から出ようとすると千秋が話かけてきた。

返事はしたものの…家、近いのか? まあ途中で道変えたら良いんだけどさ。

なんか、ありきたりで良いねぇ「じゃあ、俺こっちだから」みたいなやつが、ぼっちってわけじゃないけど下校なんて今まで一人でしてたからちと嬉しいわ。

この後、笹村も一緒に帰ることになり俺の下校は始めて楽しいものとなった。


  ***


「母ちゃん、ただいま~」

「なんだい、早かったじゃないか」

「今日は入学式つったろ、てか入学式くらい来いよな」

「うっさいねぇ、あんたは。私は忙しいんだよ!」

忙しいって……思いっ切り寝転びながら煎餅食ってんじゃねぇか、だから太んだよったく。俺の母ちゃんは太ってる、そしてパーマをかけている、そして常にエプロンをしている、なんか昭和かっ! ってツッコミたくなる母ちゃんだ。

「ああ、そうだ一茶」

母ちゃんは起き上がりキリっとした真剣な顔で俺を見る。

なんか…元から怖い母ちゃんにこんな顔されると、怖い。

あっ、俺の顔が怖いのは母ちゃんの遺伝か。

「誰が強面だ。私が二枚目に産んでやったんだ、顔が怖いなんて思うんじゃないよ」

うぉう、聞こえてたのかよ、思うなって言われるんだから仕方ねぇだろうが。

それにしても母ちゃんがこんな真面目な顔すんの珍しいな、なんかあったのか? 離婚したとか。さすがにそれはないか……

「あんた、卓球はするのかい?」

また、それかよ。今日で三回目だっつーの、なんでやらないって決まってることに答えなにゃらん。

面倒くせーな…傷をえぐるんだっての、そういうのは。

俺は床に置いた鞄を手に取りリビングのドアを開けた。

「しねぇーよ、卓球なんか。面白くねぇし、飽きた」

俺はそう言うと階段を上ってゆき自分の部屋に入り、ベットにダイブする。

そうだよ卓球なんか……卓球なんかもうしないって、あの日決めたんだ。もう、あんな悲しい思いはしない様にってもうあんなに泣かないようにって決めたんだ……ヤベ、泣けてきたぜコンチクショウ…チクショウ。

俺は仰向けになり涙を手で拭い、目に腕をあてた。すると、当たり前だけど目を開けていても光は一切遮断される、俺はそれが心地よくゆっくりと目をつむった。


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