異世界恋愛では定番の婚約破棄の現場に登場する宗主国の話
「マルガリッタとの婚約の破棄を宣言する!我はミミリーと婚約を結ぶ」
殿下が婚約破棄を宣言した。
やめて・・・
今、ここは。
「殿下、承りました!ですから早急にその壇から降りて下さいませ。
今日は宗主国をお迎えするパーティーでございます」
そう、宗主国という化け物を出むかえる歓迎式典だ。
「はあ?」
「殿下ぁ、宗主国ってなに?」
「ガイア帝国だよ。ミミリー」
「お金持ちの国なの?」
盟主とも違う。
「まあ?マルガリッタ様は宗主国の皇子と結ばれたいのかしら」
違う。この頭空っぽの・・・何家かしら?
「宗主国の皇子がこの国に来る道理がございませんわ」
宗主国・・・としか表現出来ない。それは強いて言えばシステムだわ。
金の流れ。欲望の流れ。
「殿下、ご存じですか?宗主国は支配国で麦畑を潰し農民に綿を作らせました・・一つ値崩れをすれば飢饉でもないのに餓死者を出しました。
農民は減り。
それでも農民が減ったと聞いた宗主国は『では税金をあげる』と言ったそうです」
農民が減る=税収が下がる。だから、税率を上げようと結論したそうだ。
それを聞いた出資者は拍手喝采だったと云うわ・・・
だが、この言葉は殿下に届かなかった。
「それは30年前の話だろう?」
「まだ、ございますわ」
・・・あまりに過酷な支配に民衆は蜂起しました。
それに対して列強諸国が肩入れをして誰が敵か味方か分からない事態になりました。
「宗主国は反乱した民衆を捕まえて爆裂魔法で吹っ飛ばしましたわ」
ミミリーが反応したわ。
「知っている~。それ20年前の話って習ったわぁ」
殿下が解説を入れるわ。
「ふむ。それ以来、さすがに宗主国はやり過ぎたとなって大人しくなって各国と条約を結んだ。我国もそうだ。なんだっけ。ほら、え~と」
「内政不干渉条約ですわ!」
血で血を洗う戦争の原因は内政干渉だったわ。
だから、内政干渉はしないとガイア帝国は列強諸国と結んだ。
当然、中堅の我が王国も批准している。
「それがどうした?」
殿下は何も分かっていないわ。
「つまり、婚約破棄をしても、皇子が肩入れして王権に介入することは出来ませんの」
自分で不利になるようなことを言ったが仕方ない。事実ですもの。
「当たり前だ。何で我国の王位に他国がしゃしゃり出てくるのか?」
「そうよ。そうよ」
「それだけではございませんわ!・・・」
説明しようとしたら。
宗主国と陛下と王妃殿下がやってきたわ。
「陛下、王妃殿下、ガイア帝国貿易会社メアリー様のご登場です」
「こんにちわなの~」
幼女だ。6歳だろうか?
宗主国、ガイア帝国貿易会社、それが宗主国の名だわ。背後にガイア帝国が控え。
血脈のように各国に足を伸している。
ミミリーがしゃしゃり出てきたわ。
「まあ、貿易会社?商会?あたしのお父様と同じだわ」
違う。規模が全然違うわ。
私は震えることしか出来なかった。
「何で、震えているの~?メアリーが怖いの~」
「畏れているのでございます」
私は膝をついたわ。
「何だ。子供か。そうだ。メアリー嬢とやら。私はマルガリッタとの婚約を破棄して商会の令嬢ミミリーと婚約を結ぶ。
我が王国一の港の所有者だ」
「おめでとうなの~」
「うむ。それでお祝いに金貨1万枚を献上して欲しい」
「いいの~」
メアリーという子は手形を出して渡したわ。
次にミミリーが。
「お嬢ちゃん。殿下とハネムーンに行きたいわ。一番良い船を頂きたいわ」
「いいの~」
また、メアリーは紙を書き所有権を譲渡する契約を結んだ。
「皆、仲良くなの~、平和が一番コスパいいの~」
「これは、宗主国は話せるのではないか?」
「まあね。ガイア帝国本国は小さいですから」
「何かもらえないかな」
噂が聞こえる・・・
気がつかないの。こんな小さな子が手形を振り出したり契約書を書いたりする。
・・・もしかして、前世持ち?
そして陛下が何かを思い付いたように言った。
「そうだ、メアリー嬢、商会が保有している黒い沼を返還してもらいたい」
黒い沼、油が染み出る沼だ。貿易会社が保有して開発を続けていた。
魔石鉱山に比べれば格段に価値が劣る。
だが、陛下は王国内に外国人が土地を保有するのを嫌っていたのね。
これも返還するのではと皆は期待したが。
「無理なの」
途端にメアリー嬢は不機嫌になった。棒付きキャンディーを懐から出し口にしたわ。
「ほお、法律を改正して取り上げることも出来るが、そうはしたくない」
するとメアリー嬢は棒付きキャンデーをパキとかみ砕いた。
「これは会社が正当な手続きをして開発し研究した施設なの~、私有財産権を侵す王様はいらないの~」
「おう、どうするのか?ガイア帝国は遠く。商会には警備兵ぐらいしかいないと聞いているぞ」
「なら、王様を廃位するの~、賛成する貴族のお友達は王様一家を拘束して下さいなの~」
とメアリー嬢が手をあげると、半数以上の貴族たちが一斉に陛下を拘束始めたわ。
「おい、何をする!」
「やめろ」
「キャア、あたしは関係ないわぁ」
メアリー様は私を秘書官に任ずると言う。陛下を筆頭に王族たちは・・使用人に落とされた。
この被虐、まだ宗主国が残酷だった時代の名残かも知れない。
「メアリー様・・・」
「この国には投資をしているの~、その窓口はガイア帝国貿易会社なの~」
とっくに経済で支配されていたのね。
しかも、その資金力は・・・
「株式会社方式で各国から集めているから個人の商会では対抗できないの~」
「そう・・・」
メアリー様の話では反乱に悩んだ帝国は穏健な方向に舵を切った。
その尖兵になったのが株式会社?
「課題は多いの~、地球の東インド会社はアヘンを清国に売ったの~、儲けのためなの~、株式会社が本国の正規軍の倍の軍隊を持ちインドを支配し、戦争を仕掛けた過去があるの~」
「・・・それは聞いたことのない話ですわ」
「いいの~、反省して穏便な方法を採るの~、コンプライアンスを守る株式会社を目指すの~」
「でも、今回はコンプライアンス違反では?」
「内政干渉はあくまで国の話なの~、株式会社は関係ないの~」
「貴方は一体何者ですか?」
「ガイア帝国第六皇女メアリーにして貿易会社の取締役の1人なの~」
株式会社方式、これは学ばなければならないのかしら。
と思ったら、
「マルガリッタを総督にするの~」
「何故?」
「それは畏れをしっているからなの~」
結局、王権は廃止されガイア帝国の直轄地になったわ。
私は総督になったわ。
お父様の公爵家がガイア帝国の公爵位を授かり公国になる案が出ている・・・・
それまで私はメアリー様の元で学ぼうと決意したわ。
最後までお読み頂き有難うございました。




