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新生活の始まり

こっちの方が書きたくなってきました〜。もうほろそらに戻りますが、こっちもハイペースになるます〜。

 あれから結構経った。俺が死んだ事はきっともう忘れ去られたのだろうか?いや、そんな事はないか………。心配というか、やばい空気になってそうな親友が居る。あと、ふつうに多分やばい。やばいといったらやばい。もうやばい以外に言い表せ無さそうな感じ。同学年の友達が心配だ。


「………ところで柊陽ちゃん、学校とか行かなくて大丈夫なの?」


古江がちょうどその質問を投げかけてくる。正直に答えたところでどうしようも無いのだが………。

しかしこの質問をする、と言うことは恐らく行かなくて良いとは思っていないはずだ。ならば復帰する手段を手に入れたと見るべきか………?


「いや、普通にちょっとまずい………。だってまだ俺学生だし………。」

「えっ、そうなの?早く言ってよ。言ってくれてたら準備したのに………。」

「えっ知らなかったの」

「うん知らなかったの」

「……………」

「……………」


待てや。なんなんだこの空気は。俺が言わなかったことが悪いみたいな。そんな事ないだろう?


「………え〜っと、準備してくれるって事でいい……よな?」

「………………(ニコッ)」

「いやなんか言えよ。」

「なんか。」

「子供か貴様。」

「違うが?見てわかんないの〜?」

「マジでウゼェ。」


その後何やかんやあり、古江の人脈とコネを使って元の高校に入ることに成功した。やっぱり頼りになるね〜、古江は。


「………と言うことで、柊陽ちゃん。今日から高校だね。忘れ物はない?ちゃんとセットした?お友達作るんだよ?」

「前まで通ってたわ。てかオカンか。」


色々準備を終わらせ、荷物をカバンに詰め込んで、自転車に乗る。これも古江が用意してくれたものだ。古江、もしかして有能か………?

そして道路に出て、ペダルを漕ぎ出す。久しぶりの登校、涼しい風。秋らしくなってきた街路樹は、はらりはらりと枯れ茶色となった木の葉を纏わせていた。周囲に登校する学生もいる。服装を見れば、それは私と同じ高校の制服であることが分かった。見覚えはないので、恐らくは1か3だろう。話しかけるつもりも、そんなコミュ力も当然ないので無視して走り去った。


学校の駐輪場に自転車を置く。鍵をかけ、ポケットに仕舞う。転校、というていを取っているのでまずは職員室へ向かう。校内のマップは頭に入っているので───職員室に向かうことなどそうそうなかったが───何の詰まりもなく着くことができた。


そして様々な手続き、要項の確認が終わり、クラスが決まる。この学校は適当に決められているとしか思えないクラス分けなので、まあ適当な組に入ることになるだろう。

高3の学年担当の先生がクラスを教えてくれた。


「君のクラスは3組だから、一番奥に行って………」


3組。そう、偶然のこと。そしてその偶然が何よりもありがたかった。今だけは神に感謝───そう言えば蘇生時も感謝していたが───をした。


「皆さんはじめまして。私、転校生の………」


名前は古江につけてもらった。新しい、代名詞。私を表すうえでの、呼び名。それは………。


「古江、釉と申します。よろしくお願いします。」


見慣れた教室を改めて見回す。いつ見ても古臭い木製の校舎だ。そして窓際前列と黒板前列に視線を向ける。そこには2人の親友がいた。興味なさそうな顔をして、私を見ていた。また、若干の疎ましさを滲ませてもいた。


「じゃあ古江さんは中央の列の最後尾に座ってください。馴染めるよう、皆さん話しかけてくださいね。」


余計なお世話だ。

机と机の間を通り抜ける。視線が集まっているのが分かる。転校生など今どき珍しいものだ、好奇の目線は集まるだろう。ホームルームが終わりを迎える。休み時間。私は早速親友に話しかけに行きたかった………が。


「始めまして私玲美っていうの、よろしくね!」

「ねぇねぇ釉さん、SNSやってる?」

「いつもどんなことしてるの?」


………質問攻め、というより言葉の多重攻撃が私を襲っていた。私は聖徳太子ではないのだから、一度に話しかけないでほしい。

今日はその後も初日のトーク連打により親友に話しかけに行くことはできなかった。


早く独占したいのに


新しくできた───古江釉としてだが───女子の友達と別れ、帰宅する。慣れぬ下校路は少し新鮮でワクワクした。アスファルト固めの地面は変わらないが、周囲の家の並び方、木々の種類その他が新しい刺激をもたらしてくれる。鼻歌を歌いながら自転車を走らせていけば、いつのまにか古江の家に着いていた。


「ただいま〜。」


渡された合鍵で玄関の扉を開ける。和風チックな玄関には古江の趣味なのか、ジャリジャリした金属のマット───靴底の汚れを落とすためのもの───や、下駄───古江が履いているところを見たことがないが───、靴べら、写真立て、観葉植物、その他のいろいろな小物類が置かれていた。もう我が家となった古江の家は、何処か懐かしく心地よい。肩掛けカバンを自室に投げ捨て、風呂場へ向かう。制服はカバンと一緒に放ってきた。カッターシャツを脱ぎ去り、下着もポイッと洗濯物かごにぶち込めば、風呂の扉を開く。危うく忘れるところだったバスタオルを風呂天井にある竿に掛け、ガスのスイッチをオンにする。蛇口をひねり水を出す。温まるのを待っている間、無心になる。何も考えぬ時間を持つのも整理には良い。少しして温かくなったことが肌で感じられると、シャワーの下に頭をいれた。温い湯が体を滴り落ちていく感覚が何と無く心地よい。長くなってしまってそれから切っていない髪の毛をどうにかしてシャンプーすれば、リンスでキュッと染み込ませ、放置。柔らかな曲線美を描く肉体にボディソープの泡をおとす。泡ソープなので楽で助かる。毛の処理もほぼしなくて済むようになったため、この身体も案外良いものかも知れない………と思ったが、ただ薄くて見えづらいだけだったので、前同様しっかり剃る。肌がちょっと荒れるので優しめに。足にかさぶたが何個か出来た時の絶望たるやいなや、あれは酷いものであった。

そして放置していたリンスを流すと共に、ボディソープも洗い流す。効率2倍になる為、とてもやりやすい。短縮となる。ヌタつかない程度まで全身を流した後、古江がためておいた一番風呂を横取りする。


「熱ッ!………くはないか。」


足元に熱を感じ、瞬時に引っ込めるが思ったより熱くなかった、というか丁度いい温度だったため、長く浸かることにした。今日の出来事を振り返るために、頭をクリアにする。


「………今日は、まあまあな日だったな………。」


ほう、と息を吐く。暖かい湯船の中にいるので、自然と体の力が抜ける。ゆっくり全身を湯に浸していけば、体の疲れと共に心の曇りまで晴れていくような気がした。久しぶりに長く使った湯は、とても心地よく芯まで温まることができた。


「さあて………また明日も行くことになるんだけど………まあ、大丈夫だろう。うまくやれる。」


上がった後は寝巻きに着替え、自室の布団に入り、そっと、目を閉じた。揺蕩う意識の中、何かの声が聞こえる。


「……足………れ………だね………戻……く…丈夫……。」


気にしたくないほど眠気が襲ってきたので、考えることをやめた。

ねっ!

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