神の寵愛
人間誰しも、美少女になりたいと思ったことがあります(断定)。言っておきましょうか、女体化に憧れることは女性にはできません。そう、つまり女体化願望は最も男らしい願望なのだ(暴論)!ということです。なんだろう、既視感が………「男は男らしいものが好き、例えば………男!!」………これだ!これに近しいものを感じる!あとこれ系でいえば「女装は最も男らしい行為だ」ってのも出て来ますね。何だろう、俺頭がおかしくなったのかな。
俺は行き場所に困っていた。それもそうだろう。こんな夜中に少女がやって来て、それを泊めるなんてやべえ奴のやる事だ。そしてこの姿になった以上、元の友人も頼れない。終わった。そう悲観していた時だった。
「………君、一人だよね。こんな夜中に出歩いていちゃいけないよ。」
上品な洋服を身に纏った、礼儀正しそうな男性が立っていた。ほぼ無表情に近い顔で───心配の気持ちも目から若干読み取れたが───こちらを見つめていた。ここら辺では見かけない人だが、きっと最近越して来たのだろう。この人といると不思議と安心する。だから、今の状況を話しても良いと思った。男性は俺の説明を聞くと、
「そうなのか。寝泊まりする場所がなくて困っているんだよね。じゃあ、私の家に泊まって行きなよ。」
と、手を差し伸べて来た。普通なら絶対にお断りと言いたいところだが、何だかこの人なら信用できると思った。誘われるがままに男の手を握り、暗い夜道を男と一緒に歩く。
「………まだ名前を言ってなかったね。私は古江扇斗。小説家だよ。よろしくね。」
男の柔らかい笑みは、不思議と俺を安心させた。何か大きいものに包まれているような、そんな感覚。そういえば自分も状況を話すだけで自己紹介をしてなかったな、と思い出す。
「俺は隈風柊陽。高校二年生だった。こちらこそよろしく。」
男は安心したような表情を浮かべ、また夜道の先を見つめ直し一歩一歩暗闇へ踏み出していく。そして月の出ぬ暗黒の世界を抜けた先には、
「柊陽くん、ここが私の家だよ。早く上がって。」
一人暮らしするには大きい邸宅がそこにはあった。電気など一切ついていないが、ほんの少しばかりの街灯の光でそれがかなり立派な和風の屋敷とわかった。庭も十分に広く、家庭菜園なども行っているようだ。古江は大きな玄関戸を開き、人感センサー付きの照明を光らせた。内装は和を感じさせるような木造にカーペット、木彫りの置物なんかも置いてあった。
「家の案内は………もう遅いし明日にしよっか。君の部屋まで案内するよ。」
家に上がり、そのまま古江に着いていく。入ってすぐの階段を上がり、廊下の突き当たりにある広めの和室に案内された。畳の草の匂いや、お香の香りが部屋に充満している。
「部屋には押し入れがあって、そこに色々あるから、使って良いよ。布団もそこにあるから。」
古江はにこやかに部屋をざっと紹介して、
「じゃあ、また明日ね〜。」
と襖を閉めて部屋から出ていってしまった。まだ聞きたいことがあるのに、と思っていたが、なにぶん夜遅くなっていたため大人しくお言葉に甘えて、布団を敷き寝ることにした。
───翌日───
「おはよう、柊陽ちゃん。」
「うっわあ!!」
「そんなに驚くことないじゃないか。中々降りてこないから暇でさ。」
「だからと言って枕元で囁くのはちょっと………」
目を覚ましてぼんやりした思考の中扇斗の顔が突然目の前に現れたら誰だってびっくりするだろう。しかも耳元で囁いて来た。なんでか良い声なのがムカつく。
「結局熟睡したんだね。よかったよかった。」
古江はにっこりと笑顔でこちらに近づいてくる。にじりにじりと。
「………え、何ですか?」
「……だって柊陽ちゃん、昨日入浴しなかったでしょ?案内するし服もあるから入っておいでよ。」
「え、他人の家でそんな………」
「遠慮とか要らないから。ささ、着いておいで。」
両手でこちらを抱えようと迫ってくる。
「ちょ、ちょっと………いや、いやああああ!」
─────────
俺はお姫様抱っこされ、風呂場まで連れてこられた。古江はフツーにリビングに帰ったが、何故か今の俺のサイズに合いそうな服が用意されてるし、下着も何故か上下あるしおかしいな。古江って男だよな?もしかして変態…?
「………今はともかく風呂に入るか………」
その後、色々なことが起こって、のぼせたわけでもないのに顔真っ赤で風呂から上がり古江に心配されたのはまた別のお話。
女体化したい。そして古江みたいなやつに拾われたい。終わってる願望。




