日常の始まり
新シリーズ開幕です。夜道を歩いている時にふと頭の中に浮かんだアイデアをそのまま文にしました。私自身の願望が滲み出ている、いやタイトルにモロに出ているんですが、最初はキャラの性格認識、交友関係認識ですので話は進みません。日常系として読んでくださるとありがたいです。
高校2年生、16歳、性別男。名前は隈風柊陽。それなりに高い偏差値の高校に通い、なんだかんだで毎回定期テスト三位以内には入る、自慢する様だが優等生だ。容姿はそれなりと自負している。真っ黒の黒髪で、これは父親譲り。目はぱっちりしていて顔の輪郭もシャープ。やや痩せだが筋トレをしていて、力瘤ができるくらいには鍛えている。不得手とする特筆すべきことはなく、運動もまあまあ平均ちょっと上ぐらいを行く。注目を集めることもあるが悪目立ちするわけでも極端に影が薄いわけでもなく、クラスの皆から友達認識をされるくらいには人望があり、クラスの中心ちょっとハズレぐらいのあまりいなさそうな男子高校生だ。係にも推薦され、大体の対抗馬は俺がいるだけでちょっとやる気をなくす。まあそれは大体俺が長文の発表や意見を言ったりしてクラスカースト超上位の顔見知り以上親友以下からすげえと小突かれるからなのだが。
そんなこんなで俺は今日も友人と話していた。俺はクラスで人気者に片足を突っ込んではいるが心からの親友は大体別クラス配属で、喋る相手がこのクラスに二人しかいない。だからいつもちょっと席から立ち歩き、少し離れた友人に話しかけに行く。俺の友達、富川葉樹は男子からも女子からも絡みに行きやすいやつとして認識されている、クラスに一人はいるタイプの人気者だ。若干太り気味なのも愛嬌や親しみやすさの一因だろう。俺と同じオタク仲間だ。昔ニッチなゲームの趣味で知り合い、そしてその後のメールでのやり取りやボイチャなどで同じ高校であることがわかりそして現在に至る。今では漫画の貸し借りやゲームソフトの共有、仲間内でのゲームの協力プレイなどをする一番の親友となっている。おそらく今後コイツより仲の良い友人はできないだろうなと言う勘が働いている。もとより葉樹は多趣味なので母数が多いぶん趣味が被るのは当然のことなのだがそれにしても共有できる感覚が多く、何より話しやすい。最近ではTRPGをよくもう一人の親友とやっている。
そう趣味の話をしているところに、もう一人の親友がやって来た。名を長谷川忠直と言い、運動部のエースで恵まれた体格、面倒見が良く誰でも等しく接する穏やかで温かい性格の持ち主だ。葉樹の古くからの友人で、俺が紹介される形で知り合った。大抵のことはなんでも知っており、昔好きだった物なども合うため(それは世代が同じだから当然と言えば当然なのだが)矢張りよく話す。TRPGをよくするのも、俺を含んだ葉樹、忠直の三人グループだ。
今日の話題は昨日行ったTRPGについてだ。TRPGについて簡単な説明をしよう。もし知っているなら聞き流してもらって構わない。まず、自分が演じることになるキャラクターを作る。基本的に演じたいキャラをなんでも作っていい。まあ流石に全知全能の神とかは無理だが。そして次にゲームマスターがゲームのシナリオを進ませる。キャラクターの行動によってエンドが多数に分岐するのも醍醐味だ。とまあ、より詳しく知りたい方はウィキ◯ディアを参考にしてくれ。
とまあ、そんな感じのゲームについて話していた。あのプレイは爆笑だっただの、あのセリフ馬鹿か?だの、ともかくくっだらない、意味のない非常に面白い会話を続けていた。休み時間になれば授業からの解放と共にすぐさま片付けの後、葉樹の机に集合した。
今日の一日も無事に学校が終わり、下校となる。家の方向も同じ三人だ。一緒に帰ることは明白だろう。矢張り下校中も実りのない楽しい会話を続けた。昔遊んだゲームはこんな感じだった、あの本面白いよ、世界終わりそうじゃない?などちょくちょく話題が変わっていくから飽きがこない。
家に近づけば近づくほど別れが早まる。また明日ね、と手を振りそれぞれの道を歩く。友人はもう別れ道で違う方向の家に帰り、夕方の光が眩しく目を眩ませた。今日も楽しかったな、と空を見上げれば、オレンジ色の雲が美しかった。
家まであと少し。早く帰って学校帰りの疲れを取ろう。そう思って足を前に強く踏み出した。世界がスローになる。腹部に何か違和感を感じてみれば、今自分は宙を舞っていた。変な気持ち悪さに顔をしかめれば、口から赤い内臓が飛び出した。直後壁にぶつかる自動車の音。ぼんやりとしかけた意識の中、前方がひしゃげた車が走り去っていくのが見えた。
寒い。全身から力が抜けていく。うつらうつらと瞼が降りて船を漕ぐ。神経はいかれたらしい。もう何も感じない。ただ眠たさだけがあり、とろける様な心地で最後の眠りについた。
声が聞こえた。優しい、暖かな声。聞いているだけで精神が落ち着くような………。
「………死にたくないのでしょう?………」
安らぐ声かけに、うんとうなづく。
「………では、この契約をしましょう………。」
難しい漢字が書かれた長文の契約書を手渡される。今こんなものを読む気力はない。それにこんなに心が幸せになる声を発する人が悪意を持っているはずがない。右手を差し出せば、握られた感触があった。
「契約、成立です。それでは………。」
だんだんと遠くなる視界。また襲ってくる眠気。これはきっと死ぬ間際の脳が作り出した幻影なのだろう。でも、これが本当だったら………いいなぁ………。
ふと、目を覚ます。様々な疑問が頭をよぎりパニックになる中、辺りを見渡してここはどこだろうと推測する。あたりは暗く、木造建築の家が立ち並び、アスファルト舗装の狭い道路が整備されていた。よろよろと疲れ切った様に立ち上がる。まだ眠さと倦怠感が残る脳を働かせながら、とりあえず大通りに出てみようと道を歩く。左右に並ぶ石の塀のせいで景色が全く変わらなかったのが不安だったが、十数分歩けば交通量の多い、幅が広く取られた道路についた。もちろん歩道を歩くのだが、キョロキョロと周囲を見渡している間に気がつくことがあった。見覚えがある、と。前にどこかで見たことがあるな、程度ではなく、記憶の箱にこびりついたシミの様に深く深く覚えているものだった。予測通りなら………。
大通り沿いに十分ほど歩くと、矢張りと言うべきであろうか、人だかりができている箇所があった。周囲の景色から判断する。警察車両が路肩に停められていて、色々と何かが起こっていた。ここからでは流石に何をしているかはわからなかったが、あの人だかりの原因ははっきりとわかる。
あの場所は俺が車に跳ね飛ばされ、壁と車のフロントとの間で挟まれ、そして死んだ場所だからだ。見覚えがあるなんてものじゃなかった。今まで見て来た景色、全ては生まれてこのかたずうっと暮らして来た我が町だったのだから。乾いた笑いが出た。まさか夢の中と思っていたあの出来事が現実だったとは。そしておそらく神であったのであろう人物の契約内容に対して。
今なぜ俺はここで生きているのだろうか。不思議に思って自らの体を見下ろした。実は幽霊になっていて、足がなかったとか、腹部の損傷がそのままです、などだったらたまったものではない。そう思っていたのだが………目に入ったのは予想を斜めに上回って来た事実だった。
「………なんだか小さい………いや待て、肩にかかるほど俺は髪が長かったか?白く染めていたか?こんなに華奢な体型だったか?肌の色が白過ぎないだろうか?」
慌ててガラスで自らを確認する。そこには本来であれば長身の黒髪ちょいイケが映るはずだった。だがそんな俺はどこにもいなく、中学二年生だろうかと思われる白い長髪で全体的に色素の薄い美少女が映っていた。みすぼらしい格好ではあるが気遣いなのか服は着ていた。ここで契約内容を少し思い出す。
「性別が転換した状態での新しい人生となる」
不思議な神だ。一体何がしたいのだろう。しかしこの体になってしまったことを嘆いている余裕はない。こんな夜中に少女が一人で出歩くのは危ない。とりあえず寝泊まりできる場所、泊まらせてくれる場所を探そう。
ガヤガヤとした野次馬が死体に集っているのを横目に、新しい人生の一歩を踏み出した。
文章量がとんでもないですが、一話はこれぐらいでいいでしょう。なんならもっと多くした方がいいかもしれませんね。色々平和じゃない始まりですがなんとか日常系になると思うので気に入ったらお気に入りに登録よろしくです。




