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第3話 スキルの検証


 「さあ、そのスキルを使ってみてくれ。」

 「わかりましたよ。じゃあ……いきますよぉッ!?」


 白石さんに急かされる形で僕は自分のスキル(念動力)を行使します。ええと…、どうやって使うんでしょうかこれ。とりあえず燭台をじっと見てッ!?



 ───■■■■■■■───



 ……なんでしょう。なんかこう……ゾワッと脳内から湧き出してくるような、とにかくスキル(念動力)の使い方はわかりました。

 えぇと…こうやって……えいっ!!



 狙いを定める────燭台(対象)は反応を示さない。



 イメージする────燭台(対象)はカタリと音を立てる。



 念じる────燭台(対象)はメシリッと音を立てながら棒状に圧縮され、浮かび上がる。



 出力する────さらに細くなったに燭台(対象)は先端を窓の外に向ける。



 結果を確定する────燭台(対象)は窓の外に向かってダーツのように弓なりに翔んでゆく。



 結果として────燭台(対象)は窓の外に落下する。








☆☆☆


「これはすごいですね。」


 机に置いてあった羽根ペンや紙をふわふわと浮遊させながらベットの上でゴロゴロしていた僕はスキル(念動力)の検証結果に満足していました。

 検証でわかったのは3つ。


 

───一つは、使うのにはタイムラグがあること。


 スキル(念動力)の発動の際には若干の"溜め"が必要なようです。使うたびに段々と発動時間は短くなっていますが、これはきっと慣れの影響でしょう。"慣れ"だけで完全に発動時間をなくせるのかはわかりませんが、日々使うことで体に慣らしておくべきでしょう。



  ───一つは、スキル(念動力)は使用者が認識していないと発動しないということ。

 

 死角からや意識していないときに突発的に行動されるとそれに対応することができないのです。目の前で動いているならともかく、背後からや目に追えないほどの速度で動かれるとスキル(念動力)の発動が追いつきません。例えば、後ろから物を投げられた時に気配を察知できればスキル(念動力)で止めることができますが、睡眠中など周りの状況を認識できていない時には防ぐことができないようです。もしかしたら、スキル(念動力)によるバリアなどを条件を付けることで認識外でも発動することもできるかもしれませんが、それには訓練が必要でしょう。


 ───そして最後に。スキル(念動力)を使用するときに精神的な()()()を消費するということ。

 ゲームで言うところの魔力や氣のようなものでしょうか。"溜め"を放って発動するスキル(念動力)の使い方だとそれに伴う"疲れ"が生じるようです。ただ、これは何とかする方法があって……



 「あのさ。ここは俺の部屋なんだが。」

 「それがどうかしたので?大丈夫です。もし気迷いを起こしたのなら捻りもいであげますよ。」

 「捻りもぐっ!?何をもがれるんだよ!?」

 「何を……って、ナニをに決まってるでしょ?」

 「何さも当然かのように言ってんだ!?」

 「さっきからナニナニうるさいですね。……ところで今何秒ですか?」

 「……………180秒………3分だな。」





 検証の時に判明したことですが………スキル(念動力)の使用の際に生じる"疲れ"は、少しずつ回復するようです。というか、回復しないと困るところでした。まあ、何にせよ、スキル(念動力)の発動に使用する───そうですね。魔力としておきましょう───力が減るものではないとわかった時、僕の頭の中には一つの考えが浮かび上がりました。





 そう!"溜め"を()()時に"疲れ"が生じるなら───




 ───"溜め"の状態をそのまま()()すればいいじゃない!





 そんな説をたてた僕はさっそく証明のための実験を始めたわけです。そんな実験結果はおおよそ成功。スキル(念動力)の使用の際は()()的な出力より()()的な出力の方が"疲れ"───魔力の消費は少ないです。おおよそといったのはこれが理由で、魔力の消費が全くないわけではなく、"溜め"の状態での維持でも少しは消費するようです。ただ、回復と消費が釣り合っているので続けようと思えば意識している限り続けられますが。

 問題は意識し続けるには魔力とはまた別に集中力も必要なことです。さすがに3分も物をふわふわと浮かせるように意識を割くのは疲れますね。結果に満足したので今日はもうおしまいにしましょう。




 「こんなところですかね。今日だけでいろいろなことが分かったので僕はそろそろ部屋に戻ります。」

 「わかった。この辺で切り上げるとするか。まだ、この世界に来て一日も経ってないし。」

 「はい。では失礼しました。良い夜を。」

 「あいよ。」



 軽く手を挙げてベットに散らかった羽根ペンと紙を片付ける白石さんを視界の端に入れながら、僕は自分の部屋に帰ることにします。扉を開けるとそこに見えるのは学校の教室と同じくらいの幅の廊下。窓の外はいつの間にか真っ暗になっていました。部屋に戻り、窓の外を除いても見えるのは何処までも続く暗闇。そんな現代の文明社会ではすっかり貴重になってしまった景色を見て。


 ────異世界だな〜


 なんて、僕は思うのでした。






──────




───例えば、なんの力も持たない者がいて




───例えば、そんな人間が天上の力を手に入れたとして




───例えば、その力を大手を振って使える世界に送られて




───例えば、自分以外に大切なものがない世界で




───同格の存在が自分も入れて20人しかいないとわかった時




───あなたはこの世界で何を為す。

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