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第1話 ここまでがテンプレ

 ──拝啓、お母さま、お父さま、残暑厳しいこの頃、いかがお過ごしでしょうか。私はまだ見せてないテストの成績がいつバレるのか恐怖で毎日涼しいです(苦笑)。

 さて、そんな日々にも別れを告げることになったことをお知らせします。

 事態が起こったのは今日の昼食後、優雅なお昼寝タイム(古典の授業)と洒落込んでいた時でした。

 クラスメイト達の騒ぎ出す声に驚き、目を開くと突如として床一面が光だし──






 ──ここ、どこだ?

「おお!ついに、ついに成功したぞ!!」

「さすがです。王女様!これで我が国は──」




 ──誰だ、こいつらは。

「うん?にしても、やけに多いですな。」

「ふむ。確かに言われてみれば」

「伝承によれば、四人程度のはずなのですが。」



 ──何が起きてる。

「まあ、そんなことはどうでもいいではないですか。」

「そうですな。──が増えたと考えれば。」

「おや。皆様気づかれたご様子。王女様、彼らに説明を。」

「お任せください!──ようこそおいでくださいました──」



 ──………。

「──勇者様。」



 ──……へ〜。ふ~ん。まあ。


 ──()()()()()()





 ☆☆☆

 〜ちょっと前〜

「──まっ、というわけで皆さんは異世界に行くことになりました〜〜。」


 ………、はい。そういうことらしいです(説明放棄)。

 せっかく気持ちよく寝てたと思ったら、いきなり周りの人が騒ぎ出すものだから、驚いて目を開けば教室の床はピカピカ光ってるし、教壇に立っていた先生は教室を飛び出すし、それに続こうとした僕らの身体は動かないし。そんでどうしようかと混乱する状況の中どんどん光の強さが増してきて──





 ──それで気付いたらクラスのみんなと真っ白な空間にいたわけです。


 ………、はい。まず最初に言いたいことがあります。あっ。みんなも同じ気持ちなんですね。じゃあいっせいのーで言いましょうか。

 すぅ~〜〜。いっせいのーで。


「「「「あのクソ教師一人だけ逃げてんじゃねぇ!!(怒)」」」」


 そうです。なんで、あいつだけいないんですか。しかも、あの場面で動けるならなんで僕らを助けないの?百歩譲って、驚きのあまり気が動転してたことにしましょう。でも、あなた床の光が増し始めた瞬間、猛スピードで教室を飛び出したあと戻ってきませんでしたよね!?床が光り始めてから結構時間ありましたよ?少なくともお互いに身体が動かなくて、みんな同じ光景を見てるからこれが夢じゃないって確認しあえるぐらいには。最後のほうなんて、外と連絡が取れないかスマホをいじりだす人もいましたからね。はぁ〜元々みんなから嫌われてた先生だけどまさかここまでとは(呆れ)。



 すぅ~。はぁ~。

 ……、すいません少々取り乱しました。僕の名前は川瀬楓。かわせ、かえで。趣味はストラテジーゲームなインドア派の高校生です。大学受験に向けてそろそろゲームを控えようかと思ってましたが、今の状況を見るにどうやらその必要はなくなったみたいですね。一面真っ白い空間。窓どころか扉すらなく、なんなら照明すらありません。でも明るい。というか、この空間距離感が掴めません。どこまでも続いてるようで手を伸ばせば壁に触れれそうなそんな不思議な空間です。危ないオクスリをキメたりしてない限り、あり得ない場所ですね。……っと、しばらくするとどこからともなく声が聞こえてきました。


「皆様ようこそおいでくださいました〜。ここは■■。……、皆さんがわかりやすいように言い換えるならば、ゲーム開始前のキャラクター作成をする場所みたいなものです!皆さんは今からいせ「ちょっと待ってくれ!」──か……、はいどうぞ〜。」


 おや、誰かと思えばこの声は委員長じゃないですか。確か名前は──



「話を遮ってすみません。こちらも少々どころじゃないほど困難していまして。いきなり、キャラクター作成やらゲームやら言われても理解が追いつかないんです。あぁ、私の名前は秋月湊斗あきつきみなと。一応、このクラスで委員長をしています。」




 ──あぁ、思い出しました。秋月くんですね。ええ、もちろん忘れたわけではありません。少子化の進むこの国において3年間全くメンバーの変わらない20人のクラスメイトのうちのひとり。毎年五十音順で一番最初に来るせいでのせいで一時的な繋ぎとして臨時の委員長に任命されてそのままクラスの役職決めの時に続投させられる人です。かわいそうですが僕達が面倒を避けるためにはこうするしかないと毎年1秒だけ感謝してみんなと一緒に票を入れてます。仕方ない仕方ない。



「いえいえ〜ぜんぜん気にしてないですよ〜。確かにいきなりこんなところに連れてこられたら混乱するのも当たり前ですね〜。配慮に欠けていました〜。」


 ごめんなさいね〜。なんて言う不思議さん(暫定)。全然反省してない声ですね、これ。



「では、簡単に説明させていただきま〜す!!」



 そうして不思議さん(暫定)が語ってくれたことによると、どうやら群雄割拠の戦国時代と化してる惑星テルース。そこは剣と魔法のファンタジーな異世界で僕たちはその中のユニレ王国という国が行った召喚魔法によって元の世界から送り込まれるのだとか。因みに拒否権はないそうで。ひどすぎる。救いはないんですか救いは。



「もちろん、何も持たない状態でいきなり異世界に召喚されるのは流石に理不尽極まるということで、こちらからもいくつかの特典を付けさせてもらおうと思いま〜す!!」



 良かった。救いはあった。そうですよね。いくら現代という進んだ文明で暮していても所詮僕達は暴力すら振るったことのない一学生ですから、いきなり異世界に連れてこられても何の役にも立てないのはわかりきっています。話している感じその特典とやらは複数つけてくれるそうなので、召喚されてそうそう簡単に死にはしないでしょう。



「そこで先ほどのキャラクター作成の話につながるわけです。」



 そう言うといきなり僕の目の前に透明なディスプレイのようなものが飛び出してきます。中には僕の名前、年齢、スキルという文字が上から並んでいますね。名前は「川瀬 楓」、年齢は18歳(誕生日が4月なので他の人より早いんです。……他の人の誕生日知らないけど。)、そして最後に……、スキル。



「さて、今皆さんの前に出ているのはいわゆるステータスボードと言われるものです。皆さんはそこに出ている"スキル"の項目を一つだけ選択することができます。他の人に選択されたスキルはもう選ぶことができないので欲しいスキルがある方はお早めに〜。」



 まあ、どのスキルも主人公になれるぐらいにはち〜と?なので〜。なんて言ってる不思議さんを無視して僕は大急ぎでスキルの項目に目を通します。他の人との話し合い?周りをみてご覧なさい。みんなすごい無言で目の前を睨みつけてますよ。うちのクラスに協調性なんて欠片もないんです。


 さて、何にしようかな〜。








 ☆☆☆

 ……さて、やっと決まりましたよ。顔を上げればどうやら他のクラスメイトも決まった様子。他の人に選択されたスキルは選べないと言われてましたが、その選択されたスキルがわからないくらいには選択できるスキルの数が多かったです(疲労)。ともあれ、僕の選んだスキルは「念動力(テレキネシス)」。触れたりせずとも僕の意思一つで物体を動かせるものです。

 どうやら選択できるスキルはファンタジー系ラノベやRPGでよく見るものではなく、どちらかというとSFとかで見る所謂「異能」や「超能力」が近いイメージでした。某学園都市のキャラが持ってるようなやつですね。僕が選んだスキル以外にも「瞬間移動(テレポーテーション)」や「発火能力(パイロキネシス)」、「読心能力(サイコメトリー)」なんかもありました。

 念の為まだ押してなかった決定ボタンを押して確定。《本当によろしいですか?》の警告文に《はい》を押します。よし、これでオーケー。



「は〜い。これで皆さん決まったようですね〜。」



 どうやら僕が一番最後だった様子。不思議さん(暫定)が話し始めるのと同時にだんだんと部屋の光量が上がってきました。これ、アレですね。僕達が教室で見たやつと同じです。



「では、今から皆さんを召喚先へ転移させます。これから様々な困難が皆さんへ立ち塞がるでしょう。ですが、そのスキルとこちらから付与した特典によって乗り越えてくれると信じています。」



 真剣な雰囲気を出し始めた不思議さん(暫定)の声に少し驚きつつも僕もこれから来るであろう未来に覚悟を決め──



「あっ!言い忘れていましたがスキル以外でお渡しした特典は基礎能力の強化と不老です!!上手く使って下さい!!」



 ──って、おい!?それを先に言えよ!?





 ☆☆☆





 ──勇者様方。どうか我らをお救いください。」



 ……………まあ、


 頑張ってみますか。









─────



 ステータステンプレート(■■■視点)


 名前:《》


 年齢:《》(寿命:無し)


 スキル:《》


(加護:基礎能力強化、異世界言語習得)

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