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第十九話 転生陰陽師は記念写真を撮る

 短剣で髪を切ったということもあり、写真を撮る前に美容師に整えて貰いホテルで写真を撮る。

 この時代では記念に写真を撮る文化があり、婚約者達は雑に引き切った髪を整えつつ化粧をしている。


「それでは撮りますよ。ハイ、チーズ!」


 掛け声に合わせカメラマンがシャッターを切る。


「めっちゃいい笑顔だよー。次は守り刀構えて見ようか!」


 さすがはプロ人の扱いが上手い。

 煽てる語彙は少ないものの言われて悪い気はしない。

 貸衣装の数も多く洋装から和装まで幅広い。

 女の子用の衣装はプリ〇ュアからプリンセスドレスまで幅広い。

 家族写真とは別に少女たちと何枚も写真を撮ると億劫になる。


「直毘人くん飽きてない?」


「う゛……」


「ミナトちゃん。直毘人くんはそんな酷くないよ」


「セオリちゃんの言う通り! だってわたしたちの婚約者なんだよ?」


何だか子心が痛い。


「飽きちゃった?」


 湊ちゃんは涙を浮かべる。

 カメラマンが「泣かすなよ!? メイク大変なんだからな!!」と雄弁な視線で語りかけてくる。

 どないせいちゅうねん。


「そんなことないよ。三人の色んな綺麗が見れて俺嬉しいなー湊ちゃんの白いドレス黒髪とのコントラストが素敵だなさっきの赤のよかったよ!」


「ほんと……」


「ホントだって……でもさっきうわの空だった……」


鋭い……。


「褒める言葉を考えてだけだよ。瀬織ちゃんのピンクのドレスもさっきの黄緑のドレスもよく似合ってる」


「ありがと……」


「伊吹ちゃんも白も青もピンクも赤もよく似合うね……」


「もう!」


「みんな綺麗だから何でも似合うなあ~」


 姪で慣れているとは言え子供の相手は面倒くさい。

 平安時代では身分があれば男女共に、育児なんてしなくてよかったのに今の時代ではしなくてはならないようだ。

 面倒くさい。


「えへへ……」

「もう! 直毘人くんたら……」

「もっと褒めてもいいのよ!」


 と三者三葉の照れ方を見せる。

 カメラマンが白目を向いて「おそろしい子」とでも言いたげな表情を浮かべている。

 お前が差し向けたんだろ?






「……あれ? 直毘人くんって女の子の扱い上手くね? なんていうの天性の女たらし? ホスト?」


「そうだな……最低三人を相手するんだ。アレぐらいできないとハーレムなんて維持できんだろ……男としては尊敬するけど娘を持つ親として複雑な気分だ……」


適合者アデプタの女がホストにハマるなんて話を聞くことがあるが、直毘人くんを見てるとああ……ゴリラ扱いしてくる男がいる職場じゃなくて酒と男に逃げてるんだって、ゴリラ女じゃなくて娑婆の一般人の女に走る。男とおんなじなんだって初めて理解できた」


「「「「……」」」」


 四人とも自分の子供を見て歌舞伎町などに入り浸る同僚を思い出し、そして自分にも心当たりがあったからだ。


「俺の息子ながら末恐ろしい。あれが器の違いなのか?」


「ぜってーちげーよ!」





「女の子の扱いが主人より上手いわ……」


 口を滑らせたのは土御門夫人だった。


「少し拙い部分はありますが……いえ完璧な方が将来怖いですけど……」


「確かに……あれは女を泣かせるタイプだわ……」


 視線が自然と吉田夫人に集まった。


「な、なんですか?」


「教育がいいのかしら? 是非主人を調教したいから教えて頂戴!」


「ドラマや漫画でしょうか? あのこ私が見てるを一緒に見てて……」


「……英才教育ってどこにでもあるのね……」


「私初めてホストにハマった同僚の気持ちが分かったわ……息子が産まれたら絶対直毘人くんみたいに育てる!」


「自分の子供で若紫するつもり!」


「若紫したのが吉田さんなんだし、私も跡部様が欲しい!」


「分かるけど……リョーマくんか……」


「幸村くんか……」


「「「ありね!」」」







「可愛く撮れた!」

「私の方が綺麗よね?」

「あのドレスも着たい!」


子供は元気だな……俺はもう疲れた……


「皆さまお疲れさまでした。お写真はSDカードとクラウド、SNSで共有させていただいています後ほどご確認ください。アルバムについてですが、後日郵送させていただきます」


 服を着替え寺社に向かう。

 このホテルがあるお台場の近隣で七五三で有名な寺社と言えば、赤坂の『乃木神社』)と『日枝神社』、日本橋の『水天宮』、大田区の『多摩川浅間神社』など東京だけでも数多い。


俺の死後の人間が神と言われても何とも微妙な気分になる。しかし、特に安徳天皇なんて可哀想すぎる。おのれ源平滅ぶべし……


 父は徳川家の氏神である大山咋神(オオヤマクイノカミ)を祭った『日枝神社』が良かったようだが別の寺社になった。

 個人的には皇居の鎮守とされているので『日枝神社』でもよかったのだが……しかしどちらかと言えば天孫である邇邇芸命ニニギノミコトの妻で神武天皇の祖母である木花咲耶姫命コノハナサクヤビメノミコトを祭った『多摩川《《浅間》》神社』に心惹かれる。


 江戸時代以降では浅間大神と同一視され霊峰富士山が御神体であるとされたとか……時代が変われば信仰も変わるのだろう。


 寺社の選定は土御門、倉橋、勘解由小路かでのこうじの家格の高い三家に選択を譲った(委ねた)カタチになる。

 特に京都・奈良を本拠地とする土御門、勘解由小路かでのこうじと異なり、倉橋は東京を拠点とする陰陽道三大宗家の一角だ。

 ただでさえ公家系に下に見られる武家系で、さらに呪禁道じゅごんどうを色濃く伝えて来た我が家としては波風を立てたくないのだろう。


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