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第44社 好奇心もほどほどに

「ただいま~」

「あ、やっと帰ってきた。そっちは大丈夫だった?」

「まぁ、色々あったけど何とかなったよ。エルの方は?」

「さっき起きたばっかりだから事情は聴けてないけど、今は応接間で待ってるよ」

「了解」


 私たちはエルから女子中学生2人の居場所を聞くと、応接間の方へと向かう。部屋の障子を開けると、そこには俯いて申し訳なさそうに座っている2人がいた。部屋の中に入ると、向かいのソファに座りながら目の前にいる2人へ声をかける。

 


「おはよ~。気分はどうかな?」

「あ、えっと……その……。すいませんでした……!」

「本当に迷惑かけてすいません!」

「へ……? ど、どうしたの?」


 話しかけた途端、深々と頭を下げながら謝ってくるものだから、訳が分からず、混乱してしまう。

 すると、隣に座った織部先生がこう言った。

 

「多分、制服から見るに修学旅行生や。大方、旅館から抜け出して観光でもしとったんやろ?」

「あ、観光と言いますか……心霊スポットがあるって聞いてつい……」

「それで、行ってみたら見たこともない奇妙な奴らが襲ってきて……それで……」


 2人がどうしてあそこにいたのか話してくれるが、だんだんと声の大きさが小さくなっていく。

 

 んー、まぁ気持ちは分からんでもないな。そういう場所って行きたくなるよね~。

 

 そう思っていると、私の真後ろに立っていた薫から聞いたこともない低い声が発せられた。


「んー、なるほど。君たち、アホかな?」

「……か、薫さん?」

「あのね、そういう場所に不用意に近づくと危ないんだよ? 今回は私たちが近くにいたから良いものを……。私たちがいなかったら今頃殺されて天に召されてんだからね? それ分かってる?」

「す、すいませんでした……」


 いや、怖いって! 怒るのは分かるけど、もう少し抑えよう? ね? 目の前の2人縮こまっちゃってるよ?

 

 なーんて言ったら、薫に何て言われるか分かったもんじゃないので、内心でグッと留めておく。すると、隣で聞いていた先生が何故か悔しがっていた。

 

「それ、教師である俺の台詞やねんけど……」

「どんまいやで、しのぶちゃん」

「お前なぁ……」

「あはは……」


 熾蓮がフォローを入れようと声をかけるが、全く持ってフォローになっておらず、先生に睨みつけられる。私が苦笑いを浮かべて様子を見ていると、先生が仕切り直すように咳ばらいをした。


「にしてもや、君らよう視えたな?」

「あー、なんか元々霊感あるらしくて……」

「私も同じく……」

「なるほどな……。一応、またなんか事情とか聞くかもしれへんから、念のため学校名と名前、泊ってる旅館教えてもらってもええか?」


「あ、はい。私は夢咲芽衣(ゆめさきめい)で、隣に座ってるのが――」

佐城日向(さじょうひなた)って言います……」


 その後、学校名を芽衣が話した。どうやら関東の方にある学校らしい。ちなみに、旅館は渡月橋を渡ってしばらく歩いた先にある、嵯峨嵐山駅の近くとのこと。

 遠路はるばるご苦労様だな~と思っていると、メモに控え終わった先生が私たちの方へ話しかけてきた。


「ほな、俺は旅館の方に連絡入れるさかい、その間仲良う話でもしといてんか」

「あー、分かりました」

 

 私たちは先生が戻ってくるまで雑談をしていた。彼女たちは昨日、奈良に行き、今日と明日で京都市内を回るらしい。

 

 修学旅行か……私のときは中部地方に行ったな~。いや、懐かし。


 先生が戻ってくると、私たちは2人を送り届けるために、嵯峨嵐山駅近くにある旅館へと向かった。無事に送り届けると、彼女たちは先生にこっぴどく怒られていた。私たちがその様子を後ろの方で見届けていると、織部先生が話し出す。


「君ら、絶対に修学旅行のとき抜け出したりするんとちゃうで?」

「も、勿論です!」


 私たちはコクコクと必死に首を縦に振る。その後、先生からお礼を言われると、私たちは神社へ戻るために真夜中の嵐山をパルクールで移動するのだった。

 

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